再起不能な程にけっちょんけっちょんにして差し上げますわ
放課後、オカメ御一行とリリアンヌ&取り巻きーズは集まっていた。
理由はもちろん朝のリリアンヌ上履き八つ裂き事件である。
「何時からかしら?」
腕を組み、ドーンと立つイザベルは珍しく悪役っぽい雰囲気だ。オカメさえ無ければ。
「上履きは今回が初めてだよ」
先程のオカメ御一行の突撃が脳裏に過り、思わず声が震えてしまうリリーをオカメの中でイザベルは睨み付けた。
「上履きはってことは、やっぱり前からなのね!!許さなくってよ!!
再起不能な程にけっちょんけっちょんにしてさしあげますわ。オーホホホホホホ」
突如、高笑いをしたイザベルに皆がぎょっとした視線を向けた。そして、一番驚いたのはイザベルである。
「ベルリン?」
「悪いことを考えたら、何故か高笑いが出てしまったわ。不思議ね……。
でも、今はそのようなことよりもどうやって懲らしめるかだわ!!」
「そのことなんだけど、様子見しようと思うんだよね」
「泣き寝入りか?」
面白そうにニヤニヤしながら聞くルイスは、リリアンヌがそんな性格ではないことは百も承知だ。
(皇族にまで噛みつくフォーカス嬢が、どう対処するか見物だな)
気分は高みの見物である。もちろん、イザベルが危険にさらされなければという条件付きではあるが。
「今捕まえたところで、とかげの尻尾切りだもの。主犯格を捕まえなければ意味がないわ。
明日から夏休みだし、これで終わりなら仕方がないけど、多分そうじゃない」
「反リリアンヌ派のことか?」
驚きで目を見開いたイザベルに対し、リリアンヌは小さくため息をこぼすだけで冷静だった。
「やっぱり知ってたんですね」
「学園内の勢力図くらい分からないと思ったか?」
笑いながら首を振るリリアンヌに、イザベルはこの状況が日常的であったと知る。
(われは……われは、浮かれておった。リリーが大変な目に合っておるとも知らず、初めての友が嬉しゅうて、周りが見えなくなっておった。
リリーはこんなに苦しんでおったのに……)
オカメの下からはボタボタと水滴が落ちていく。それに気が付いたルイスはイザベルを優しく抱き締めた。
「ルイス様、離してください」
「泣いているイザベルを放ってはおけない」
「今、悲しいのは私ではありませんわ。リリーでしてよ。犯人には必ず地獄を見せてさしあげますわよ!!」
ルイスの胸板を押しながら、イザベルはリリアンヌに向かって宣言した。そのイザベルの姿が何となくキミコイのイザベルに重なって、リリアンヌは不安を感じた。
(何でだろう。急にベルリンが悪役っぽくなっちゃった。
そもそも、怒ってはいるけど、全く悲しくないんだよね。気付いてるんだから、ルイスも訂正してくれればいいのに……ってルイスがするわけないか。
私が言うと我慢してるとか勘違いされそうだから、別の人に言って欲しかったんだけどなぁ。仕方ない……)
「ベルリン。そもそも私、悲しくないからね?」
「えっ、でも……」
案の定、疑いの視線を向けられてしまった。だが、意外な人物がリリアンヌをフォローしてくれた。
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