お茶会2
(何故このようなことに……)
(何でこんなことに……)
二人の気持ちは同じであった。片や顔を気にし、片や服を気にする。
イザベルはやや特殊ではあるものの、年頃の令嬢あるあるなのかもしれない。
そんな二人の事情など知らないミーアはイザベルを急かす。
「リリアンヌ様は既に応接間でお待ちとのことです。急いでください」
そして、イザベルが決意を固める間もなく扉をノックし、開かれた。
開かれた扉の向こうの目を見開いたリリアンヌの姿に、イザベルは心臓が潰れそうだった。
(見られてしもうた。あぁ、言葉も出ぬか。このような醜悪なものを見せて申し訳ない)
悲嘆するイザベルだが、リリアンヌが見ていたのはイザベルの顔ではない。見ていたのはその下。服装であった。
(ワンピース!!イザベルもワンピースだ!!よかった、本当に良かった……。私に合わせてくれたんだろうけど、これでイザベルだけドレスだったら辛すぎて泣く)
リリアンヌはすっかり先程までの憂鬱さなど忘れ、人好きのする笑みを浮かべた。
「本日はお招き頂きありがとうございます」
「こちらこそ、来てくれてありがとうございます。ゆっくりしていってくださいね」
(イザベルって本当にビックリするぐらい美人だわ。何でいつも顔隠してるんだろう?
男避け……はルイスに溺愛されてるから、必要ないだろうし。やっぱり、あれかなぁ、かわいそう……。ここはイザベルが切り出すまでは見て見ぬふりをしてあげよう)
(慈悲!!慈悲の心じゃ!!うぅ……、申し訳ないやら、有り難いやら……)
お互いに助かった!!という気持ちは同じものの、その他は全く噛み合わないままオカメお茶会は始まった。
そして、イザベルのオカメコレクションを二人で見る。
「このオカメはさっきのものと一見同じみたいだけれど、素材が違うの。あと、裏地が桜模様で見えないオシャレをーーー」
イザベルが話し、リリアンヌは相槌を打つ。
オカメに興味はないものの、今日のお茶会の主目的である為、イザベルの話に適度に相槌を打ちつつ、お茶を楽しむことにリリアンヌは徹した。
(はぁ……。さすがマッカート公爵家。紅茶に詳しくないけど、フォーカス子爵家とは全然違うわ。素人でも香りの良さの違いが分かるもんなのね。
……イザベルの家ってお金持ちだし、もしかしたらコーヒーもある?こっちで一度も見てないけど、紅茶よりコーヒー派なんだよね。あぁ、思い出したらコーヒーが飲みたくなってきちゃった)
激しいコーヒー欲にかられながらもリリアンヌは紅茶を飲んだ。その間もイザベルは嬉々としてオカメの説明に励んでいる。
(イザベルが絶世の美女で微笑めば誰もが見惚れるって設定は本当だったなぁ。中身はオカメ狂いで残念だけど、性悪より遥かにいいよね。
ルイスが隠したくなる気持ち、分かるわぁ。まぁ、それも執着強すぎで怖いだけだけど)
イザベルの美しすぎる顔を眺めていたリリアンヌの中で、『学園でオカメを着けているのはルイスのせい』と疑いが真実へとあまりにも自然に変化していたのであった。
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