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溺愛?執着?転生悪役令嬢は皇太子殿下から逃げ出したい~悪役令嬢は、絶世の美女にも関わらずオカメを被るが、独占しやすくなって皇太子にとって好都合でしかない~ 【まったり連載版】  作者: うり北 うりこ@ざまされ2巻発売決定
第一章 前世を思い出した悪役令嬢は、皇太子の執着に気が付かない

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番外編① ルイスが帰った後のイザベルとミーアのお話

番外編の始まりです!!




 ルイスから「次からはミーアが全部やるように」と言われたことにより、ミーアはイザベルに泣きついていた。


「イザベル様ぁぁぁ!!次って、次って、明日ですよねぇぇぇ!!」


 キリッとした雰囲気で仕えてくれていたミーアの取り乱しようにイザベルは目を丸くした。

 勿論、イザベルの手には扇が握られている。


「それって、殿下が言ってたことよね?」

「そうです!!お出迎えは執事の仕事だとして、お茶を入れたり、お茶菓子を出したり、部屋の隅に控えていたり、とにかくお二人が心地好く過ごせるようにするのに、いきなり明日って猶予(ゆうよ)が無さすぎだと思いませんか!?」


 (まく)し立てるミーアに、イザベルも確かに……と小さく頷く。


「そうしたら、どれくらい猶予が欲しいの?」

「えっ!?そうです……ねぇ……」


 皇太子殿下が来た時の対応をしなくてもいいと言ってくれることを期待していたミーアは言葉を詰まらせた。


 (そりゃあ、少しでも早く殿下の御前に立てるようになって、イザベル様のお力になりたいと思ったけれど、まだお茶も満足に入れられないのに……)



一月(ひとつき)あれば、何とかなるかもしれません」


 小さく呟いたのをイザベルは静かにジッと見ていた。


「確かに私がミーアに一緒にいて欲しいと頼んだけれど、無理しなくていいのよ」


 自分の浅ましさを見透かされたようで、ミーアは急に恥ずかしくなった。



「本当はどれくらい猶予が必要か分からないんです。

 私は王族の方に対する礼儀作法も知らなければ、お茶のひとつも上手に入れられません。

 何より、私は平民です。本来であれば、イザベル様の専属になることも難しい立場です。

 そんな私が公爵家にとって大事なお客様である皇太子殿下のおもてなしをしても良いのでしょうか……」


「いいわよ。折角、お客様が来た時の対応を実践で練習できる機会だもの。

 殿下が貴女のことを指名したのだから、大丈夫よ。もし失敗してもミーアに責任を取らせるなんてことはしないから安心なさい」


「責任云々(うんぬん)はいいんです。今のイザベル様がそんなことするとは思ってませんし。

 私は、イザベル様にがっかりされたくないんです!!」


 色々と言ったが、ミーアの心の大部分を占めていたのはこの一言に尽きた。

 言ってしまえば、次々と言葉が飛び出してくる。


「私は他の人にイザベル様のメイドの立場を譲りたくないんです。でも、もし失敗して失望されたら、専属じゃなくなるかもしれない。

 イザベル様が優しいことに気が付いた誰かに、立場を取られちゃうかもしれない。

 …………何で笑ってるんですか?」



 じとっと見たミーアにイザベルがちょっと困ったように首を傾げる。そんな姿も美しいイザベルにミーアは見惚れた。そしてーーー


「イザベル様、どうしてお顔を隠してるんですか?顔を見合わせて会話ができないのは寂しいです」


 思わず出てしまった本音。イザベルが目を覚ましてからずっと気になっていた。

 気にはなっていたがそれは、主に向かっていう言葉ではない。そのことに気が付いたミーアは狼狽(うろた)えた。


 そんなミーアの心情に気付きながらも、イザベルは少し考えた後、小さな声でミーアに問う。



「ミーアは私の顔を見て話したいの?」


 純粋な疑問の声に、ミーアは意を決して頷いた。


「お顔を隠されていても話はできますが、私はイザベル様の色々な表情を見たいです。

 扇でお顔を隠されますと、距離を置かれているように思えてしまって……」


 暫し沈黙が流れたが、イザベルは震える手で扇を下げた。


「私の顔を見ても、嫌な気持ちにならないかしら?」

「私は……私も、公爵様も奥様も、皇太子殿下だって、イザベル様のお顔をみてお話がしたいです。イザベル様が笑ってくれたら嬉しいし、悲しい時は力になりたい。

 嫌な気持ちになんて絶対になりません。むしろ、ご褒美です!!」

「ご褒美って……」


 可笑しそうに笑うイザベルにミーアは嬉しくなった。そうしたら、ほんの少しの勇気が湧いた。



「イザベル様。もし、皇太子殿下に粗相してお茶をかけてしまったら、どうなりますか?」


 急に元気になったミーアにイザベルは目を瞬かせた。そして、イタズラを思いついた子供のように目を輝かせる。


「お詫びして、責任をとって婚約解消をするわ。それで、ミーアと領地に帰ろうかしら。

 そうすれば、私の希望も叶うし、ミーアが罪に問われることもないもの!!」

「それって、ただイザベル様が婚約解消をなさりたいだけじゃないんですか?」


 ミーアが思わずと言ったように笑いだし、イザベルもつられて声をあげて笑う。


「私、やっぱりイザベル様と顔を見合わせて笑えるのがいいです」

「……そうね」


 この後、屋敷ではイザベルが扇で顔を隠すことはなくなった。


 たった一日の間に随分とイザベルとミーアが打ち解け、ルイスの読み通りイザベルにとってミーアがかけがえのない存在へとなっていったのである。



 ただ、ルイスにとっての誤算も生じた。


 イザベルとミーアが結託するようになり、毎日イザベルの元へとやって来ようとするルイスと攻防の末、会うのは週3日へとなってしまったのは、また別のお話。


 


 

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