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24話

 コーリン将軍の後をついていきながら、前へ前へと進んでいく。…、コーリン将軍は罠が何となくわかっているのだろうか。他の兵士が罠の有無を確認しながら進むのに対し、コーリン将軍は剣を少し使いながら簡単に進んでいく。精鋭兵以外は苦戦している。


「無理に同じ速度で行こうとするな。ゆっくりと進め。コーリン将軍は精鋭兵が守る。」


 そう言って、精鋭兵は進んでいく。最後尾にいた精鋭兵の上官が前へ進まずにそこで何もせずに立ち留まっている。彼は他の場所を見ながら、兵士たちを見ている。…、おそらく待ってくれるのだが、指揮官がここに戸惑っているのは問題ないのだろうか。彼は罠を見ながら何かを考えている。他の兵士たちは罠をしっかりと見ながら、進んでいく。5人組を崩さずに進んでいる。


 罠も最初のころよりも全然、難しくない。凝っていないと言ったほうがよかったか。それでも量が多く、進むのはかなり難しいな。徐々に進んでいく。…どうして、住処の近くになっていくと罠が少なくなっていくのだろうか。少し不自然である。


「…、妙だな…。戦闘の音が聞こえない。まさかとは思うが、奇襲されたのか…。それでも全滅というのはあり得ないと思いたいものだ。」


 彼は奥歯を噛みしめた顔をしている。焦りが僅かに見えるものの彼は焦ることはない。奇襲を受けているとして、慌てて救援に行ったところでさらに奇襲をされてしまい全滅する可能性がある。そのことを考えているからこそ彼は何もできないのだろう。固めている拳を見れば彼がどれほど早く行きたいかわかる。


 他の兵士たちも青ざめている。あの強い精鋭兵が倒されるのであれば間違いなく俺たちは勝てない。だからといって撤退するということもまたあり得ない。軍というのはそういったものだ。気持ちが急くが、ゆっくりと前へ進んでいく。


 罠を解除している間、兵士たちが話をしていたのは盗賊団の話だ。盗賊団ができたのは俺がここに来る前の話。活動自体は1年ほどになる。どうして、兵士たちが知っているかと言えば、村の住人が多く知っているからである。盗賊団は貴族だけを狙っているのだが、狙った貴族は悪人が多いという。どうしても貴族と言うこともあって、政治的な観点から裁くと政界に問題がでることから裁くことができない貴族も多いという。そのような貴族を狙って盗賊をしているから有名になった。そのせいか、住人たちは盗賊たちを好意的に見ている。だから、金銭で食料を分けているらしい。


 政府としてそのような盗賊団を倒すには勇気がいる。討った方が逆賊となるのだから。しかし、治安を悪くしているので住民にはなんとか説得する。住人にとっては日常の中の一部らしい。ああ、そういった人たちがいるなという程度。盗賊がお金で食料を買っていくが、取引相手と同じということだ。


 芸能人と同じ感覚かと思う。そうかもな。別に日常生活は普通に行うので、命に関わるような情報以外は忘れてしまう。住民は別のことで頭が一杯だ。だから、住民は関係ないように過ごしている。…少し寂しいような気もする。政府よりも自分たちに利益をもたらしてくれる盗賊を重要視するとは…。それだけ、中央政府というのは住民にとって馴染みのないものであるということだ。


 森を抜けて上官を見ると呆気に取られてその場に立ち尽くしている。彼らはその場で固まっている。見れば大きなトンネルがある。おそらく鉱山だったと聞いたから、鉱物を取るために掘った穴だろう。


 大きなトンネルまで行くとそこには多くの人間が立っている。あれは盗賊団の人たちだろうが、簡単に姿を現している。風貌は山賊のようだが、背筋もしっかりと伸びているため、山賊ではなく兵士のように感じる。何かあるのか。コーリン将軍も何も言っていない。他の兵士たちもあっけに取られている。コーリン将軍は軽く手を挙げた。…、知っているのか。もしかして盗賊団は兵士だったのか。コーリン将軍はそこの大将と話をしているようである。一応討伐として来ている俺たちは少し居場所が狭かった。物理的に狭かったわけではない。気持ちをどこにぶつければいいのかわからなかったのだ。


 それなりに緊張してここまできたのだけど。


 コーリン将軍はその場に座る。山賊の頭領がコーリン将軍に頭を下げた。知り合いのように感じる。となれば兵士ということか…。しかし、兵士が山賊になるというのは聞いたことがない。精鋭兵も戸惑っていることから、何か上層部で情報が回っていることなのだろうか。まあ、コーリン将軍が親しくしているのであれば問題ない。


「お前たち、緊張するな。とりあえず、今日はここに泊まる。少し早いが準備しろ。」


 少しは説明をしてほしいものだ。


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