ハーグ~暗殺者集団~
…これが資料ですか。思った以上にしっかりと暗殺者集団が入ってきているようですね。そういった世界に精通していない私でも知っているような集団ですね。銀の刃。棟梁が純銀の刃物を使っているところからその名がつけられたという暗殺者集団です。彼らの最大の強みは人数の多さです。それこそ、強さはそこまでではないものの人数が多いというのは馬鹿にできません。いつまでも執拗に狙い続けるのが彼らの戦い方です。これではなかなかこちらも防ぐのが難しくなってきます。今回はどれほどの人数が来ているのでしょうかね。
「ハーグ様、どうされますか?」
「ハブロ、行きましょう。しかし、相手がどこにいるのかわかっているのですか?」
「わかっておりますが、その隠れ家がすべてという保証はありません。」
「大丈夫です。ここには他の兵士たちもいますので。」
外へ出ると見知った顔が多くあります。部下たちは軽装ですが、下に刃物を防ぐように鎖帷子を来ています。だから、軽装のように見えて軽装ではないでしょうね。そういう私もすでに着用しております。暗殺者は手段を選びません。それこそ、毒の使用に躊躇することはないのですから。彼らは確実に対象を殺すように準備する玄人です。こちらもそれなりの戦い方をする必要があります。いろんなところで私兵が動いているのが見えます。どこかで隠れながら暗躍するのでしょうからね。今回の狙いは殿下です。確実に始末しておきます。殿下に迷惑をかけてはいけませんから。
点在する住宅を抜けながら私兵も周りを確認していますね。しかし、暗殺者というのもそう簡単に姿を見せませんね。暗闇は彼らの得意な状況でしょうから。思った以上に警戒しているのでしょうか。姿を見せていただかなくてはこちらも壊滅させることができません。少し餌を撒きたいのですが、殿下を危険な目に合わせてはいけません。私では餌として不適格でしょう。
私兵が探し回ってすでに数刻経っています。姿を見てからこの時間が経っているのでこの場には少なくともいないですね。しかし、この隠れるところがあまりないのにどこに隠れているのですかね。
「くっ。」
剣を上に向けて剣を突き出しましたが、わずかに外れましたか。剣の先には少ししか血がついていません。すごいですね。空中で避けるとは。確実に仕留めたと思っていましたが。身のこなしは暗殺者のほうが上ですか。しかし、わき腹を押さえているのを見れば、戦闘には支障がないものの過度な動きは難しいといったところですかね。隣にハブロが来ましたか。
「すみません。油断していました。」
「いえ、大丈夫ですよ。彼は?」
「資料にはない暗殺者ですね。どちらかと言えば若い印象を受けます。」
「そうでしょうね。しかし、素晴らしい身体的能力があります。」
1人ですかね。少し考えにくいです。かなりの人数が入ってきていると報告を受けているのですが。この人だけが暗殺者として入ってきたのでしょうか。…、何か揺らぎがあるような気がしますね。ハブロを含めて部下も何かを感じ取って集まっていますね。他の暗殺者も一斉に出てきましたね。ハブロたちがそれぞれ対応しています。そこまで数は多くないですね。
「さてと、あなたはここで誰を狙っているのですか?」
他の暗殺者は部下に倒されていきます。すでに暗殺者が姿を現すところで負けているのです。彼らは奇襲が専門ですからね。奇襲が失敗した時点で退くべきでしたね。彼らにも退くことができない理由があるのかもしれませんが、失敗であるのは確かです。他に作戦があるとすれば殿下を強襲するということでしょうが、そこは大丈夫です。別の人が守っています。私と違って生粋の武官ですからね。そう簡単に殿下を討ち取ることなんてできません。彼か彼女か知りませんが、脱出経路を見ていますか。この期に及んで脱出することを考えているとは。
「逃がすと思っているのか…。そもそもこの人数でハーグ様を討ち取ることなどできないぞ。」
ハブロが詰め寄ると首が横に揺れて倒れました。…。自害ですか…。ハブロが手を当てると首を横に振りました。ちゃんと教育が行き届いていますね。情報を外へ出さないようにですか。見上げたことです。他の暗殺者も死んでいます。これで終わりと思っていいのですかね。殿下のような人間は常に狙われます。我々がしっかりとお支えしましょう。
「これで把握している人数とは合っていますか?」
「2名足りませんが、逃げているのかもしれませんね。」
「2名ですか…。まあ、いいでしょう。殿下にもとに行きましょう。」
部下とともに殿下のもとへ。血の匂いがするのは私たちからですかね。違うような気がしますね。廊下から出てきた影に反応して部下が抜剣しますが、手でそれを制しました。
「ケヴィン、お疲れさまでした。」
「ああ、ハーグ。すまなかったな。暗殺者の討伐の役目を押し付けて。」
「別に良いことです。それで2名でしたか?」
「そうだ。おそらくこれで一旦は全部だろう。」
「ありがとうございました。」
「俺は報告書を書きに行くから頼んだ。」
そう言ってケヴィンはそのまま廊下から立ち去ります。2名と言っても一刀両断ですか。
「これは凄まじいですね。」
部下がそう言うのも無理はありません。なんて切れ味です。日頃の鬱憤も彼らにぶつけてしまったのですかね。どちらにしても殿下が守れてよかったです。おそらく殿下はこういったことに疎いですから気が付いていないのでしょうね。こういうのは私たちが何とかしていきましょう。部下を帰らせて、私はそのまま執務室に籠ります。少し時間がかかりそうですね。




