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クソ異世界にラリアット  作者: 狂兵
労働とプロレス
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53話.労働とプロレス Part2

 リング上でバーナードを見ると、もうプロレスラーにしか見えない。


 何故かと言うと元々プロレスラー似の面もそうなのだが、試合用にわざわざ着替えてきたバーナードのコスチュームも完全にプロレスの衣装そのものだったからだ。


「うっす!!試合のコールを頼むっす!!」


 バーナードはリング外に居る、知り合いらしき男に言葉を投げ掛ける。


 するとその男はコクリと頷いた後、


「それでは皆様お待たせしましたぁあ!!労働者による労働者の為の労働者達の決闘を今、始めたいと思いまぁあああす!!!」


 司会者のように声を張り、場を盛り上げ始めた。


「「おおおおお!!!」」


 そして人々の反応に満足した様子の男はコクリと頷き、


「赤コーナー。暴走モンスター、J・バーナードォオオオオ!!!」


 何処で覚えたのか、まるでプロレスの試合そのもののリングコールを大声で叫ぶ。


「よっ!!いいぞーバーナード!!」

「待ってましたー!!やっちまえー!!」


 歓声の中、ドヤ顔で周囲に手を振るバーナード。


「いやいやいやいや…プロレスじゃん」


 絶対に異世界人の入れ知恵だろ、


 コイツ等に仕込んだヤツまじで出て来い。


「続きましてー、青コーナー。挑戦者、カトーリョーヘー!!!」


 男のリングコールが終わると、


 俺に向けての歓声も凄かった。

 

「今度はぶっ倒れんじゃねーぞ?兄ちゃん!!」

「いつも美味い飯あんがとよー!!」

「兄ちゃん頑張れー!!」


 周りを見渡すと、


 カンナやマルコ、エイルにリズの姿もある。


 一瞬リズと目が合うが、彼女はフンッといじけた様子で顔を逸らした。


「相手を気絶、もしくは降参させれば勝利となります。では、ファイト!!」


 リングコールをしていた男が試合説明を行い、


 何処で仕入れて来たのか、カーンと金属の鐘を叩き試合開始を告げた。


 リングの上は、俺とバーナードのみ。


 どうやら流石にレフェリーは居ないようだった。


「さぁ、先輩。どっから掛かってきますかぁ?」


 手をポキポキと鳴らしながら、


 リングを旋回し、俺との距離を縮めてくるバーナード。


 つか、何でこんな展開になったんだ?とか、改めて色々ツッコミたくなる気持ちはあるが、


 せっかくの機会だ、この際深く考えるのは辞めて、このリングでの試合を楽しむ事にした。


「あー、でも何かプロレスだと思うとワクワクしてくるな…」


 小さい頃は弟とよく二人でプロレス観戦をしり、実際にプロレスごっこをして遊んでいた事もあり、実際にこうやってリングの上に立つのは何かこう込み上げて来るものがあった。


「プロレス?さっきから何すか?それ?…そうやって、余裕ぶってんのも、最初だけっすよぉおおおお!?」


 突然バーナードが突進し、掴み掛かって来る。


「うお!?」

「ふふ、掴みさえすりゃコッチのもんっすよ!!」


 そのまま馬鹿力で、ロープ端側まで押されて行き、


「自分の必殺技を、食らうっす!!」


 バーナードはそのまま勢い良く俺を対角線上のロープ目掛けて押し出し、走らせる。


 プロレス界隈で言う『ハンマースルー』と言う奴だ。


「やっぱ、プロレスじゃねーかっ!?」


 バーナードに無理矢理身体を押された事で走り出した身体は中々簡単に止まる事が出来ない、


 俺は反対側のロープまで走り、


 そのまま身体がロープにぶつかり、跳ね返るように、


 再びバーナード目掛けてノリで身体が走り出す。


「待ってたっすよ!!先輩!?」


 俺を待ち構えていたバーナードは、ニヤリと笑い、


 その場で高くジャンプする、


「バーナードドロップキック!!!」


 そして、何ともネーミングセンスの無いドロップキックを繰り出して来た。


「必殺技に自分の名前付ける痛いヤツな!!それ!?」


 思わずツッコミを入れながらも、


 俺はスライディングで、バーナードのドロップキックを避ける。


「おおっとぉ!!バーナードドロップキックを間一髪で避ける挑戦者カトー!!!」


 リングコールをしていた男が興奮気味に実況までし始めた。

 

「…だから、あんなん何処で覚えて来たんだよ?」


 少し呆れた様子で場外に居る実況男を見つめていると、


「リングで余所見は命取りっすよ!!先輩!!」


 いつの間にか背後にまで迫って来ていたバーナードが、振り向いた俺の胸元目掛けて逆水平チョップをかましてくる。


 ――バシッ!!


「ぐっ!?」


 ガツンと胸に痛みが走る。


 バーナードの奴、中々の攻撃力だ。


「まだまだまだまだぁああああ!!!」


 その痛みで、少し隙が出来た俺に連続で同じ逆水平チョップを繰り出してくる。


 ――バシッ!!バシッ!!バシッ!!バシッ!!バシッ!!


「「「ふぉー!!ふぉー!!ふぉー!!ふぉー!!ふぉー!!」」」


 客達はバーナードのチョップに応えるように、ふぉーふぉーふぉーふぉー嬉しそうに歓声を上げている。


 バーナードは客の反応を見て満足気だが、このノリは間違いなく、リックフレアーと言うプロレスラーのパクリである。


「くっそ……いってぇなぁ!?」


 俺はバーナードの胸元目掛けて、右肘を振りかぶりそのままエルボーを放つ。


 ――ドンッ!!


「ぐはぁ!?」

 

 俺の攻撃で顔を歪ませて怯むバーナード。


 行ける、スキルを使わずとも行ける。


 レベルが130まで上がった事により、


 俺の基礎ステータスも上がっていたようだ。


「ふぉーふぉーうるせーんだよ!!バルタン星人かよっ!!」


 俺はそのまま連続でエルボーを放っていき、


 ――ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!


 バーナードを角のコーナーポストまで追い込む。


「うっくぅ……ゲホッ…ゲホッ…」

 

 やはりレベルに差があったのか、


 俺の攻撃で既にバーナードはボロボロになっており、そのままコーナーポストを背もたれに寄り掛かり出した。


 俺は少し距離を取って、


 助走をつけてからバーナード目掛けて走り出す。


「これで終わりだ!!!」


 左足を二段目のロープに乗せ、踏み台にして、


 右膝をバーナードの顔面に叩き付ける。


 ――ゴンッ!!!


「ほげっ!!?」


 確実にクリティカルヒットとなった、俺の渾身の串刺しシャイニングウィザードでバーナードは完全に気絶したように見えた。


「おおっとぉ!!何と!!何と言う技なんでしょうかぁ!?挑戦者カトーの凄い技が炸裂ぅうう!!」


 これで、もう俺の勝利だろう。


 結局コイツが俺の目を覚まさせてやるとかどうとか言っていたが、口程にも無かった。


「すげーぜ!!兄ちゃん!!」

「あの兄ちゃんめっちゃつえーじゃねーかよぉ!!」

「きゃー!!カトー様素敵よー!!」


 歓声が飛び交う中、俺はそのまま静かにリングを降りようとした。


「……待ってやって下さいよ……自分……まだ…やられてねーっすよ…」


 その時、突然ロープを掴みフラフラと起き上がるバーナードがリングを降りようとする俺を呼び止めてきた。


「……お前、もうやめとけって」


 ボロボロなバーナードの姿を見て、試合を終わらそうと提案するが。


「…自分は…まだっ……負けてねーっす…」


 頑なに負けを認めないバーナードは、


 意地でも試合を続ける気だった。


「はぁ……はぁ……先輩の目を……覚まさせてやるって…言いましたでしょ!?」


 だから、目を覚まさせるって、


 もう俺は既に目を覚ましてるっつーの。


「意味分かんねーから」

「意味分かんねーのは先輩っすよぉおおおおお!!」


 バーナードはボロボロな身体を全力で動かし、


 俺目掛けタックルで襲い掛かって来た。


「出たぁあ!!バーナードタックルゥゥゥ!!!」


 実況が興奮気味に叫び声を上げる中、


「だからっ」


 俺はその場で高くジャンプをして、


 俺目掛けてタックルしてくるバーナードを、


「技に自分の名前を付ける痛いヤツなっ!!!」


 ドロップキックで迎撃した。


「まさかのぉお!!カトーはカウンターでドロップキックを放ったぁあああ!!!」


 実況含む、観客達は完全に俺とバーナードとの試合にのめり込み既に周囲の熱気が凄い事になっていた。

プロレス用語技解説。(興味ない人はスルーして下さい)


【ハンマースルー】

プロレスに興味ない人でも一度は見た事があるんじゃないだろうか?相手をロープに向かって走らせる行為をハンマースルーと呼ぶ、走らされた相手はそのままロープに跳ね返り、再び相手の元まで走って帰ってくるのがお約束なのだ。


たまに帰ってこないKY(空気読めない)レスラーもいるが、それはそれでアリだったりもする。

 

【ドロップキック】

プロレス定番技の一つ。

その場で高く飛び上がり、両足を揃えて相手を蹴り飛ばす技の事だ。


【逆水平チョップ】

手刀打ち派生の技の一つ。

掌を下にした状態で手をピンと伸ばし、水平な状態で真横に動かし相手に打ち付ける手刀打ちの事。


【エルボー】

腕を振りかぶり、殴るようなモーションで拳ではなく肘を相手に打ち付ける技。


【シャイニングウィザード】

武藤敬司が開発した、必殺技。

一躍プロレス界にカルチャーショックを起こし、

様々なレスラーがこの技を真似た。


相手が片膝立ち状態に使う技だが、色々と応用方もある。

助走を付けてから相手の膝に片足を乗せ、階段を上るようなモーションでもう片方の膝で相手の顔面をぶち抜く危険な技。


今回主人公が使ったのは、コーナポストに背もたれでいる相手に使う応用版で、壁際で放つ事により、串刺しシャイニングウィザードなどとも呼ばれる技だ。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


次回更新 10/13 深夜00:00

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