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クソ異世界にラリアット  作者: 狂兵
大商人 編
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46話.ゼロからのスタート

 明くる日、俺達は大都市アトン領主に呼ばれ、


 この大豪邸の領主の屋敷に来ていた。


「やぁ、良く来てくれたね」


 領主の指示で、召使い的な女性が俺達のテーブルの前に紅茶を置いていく、


 何とも事務的な、それでいて無駄の無い動作だ。


「たいしたものじゃないが、良ければどうぞ?」


 いつかみたく、リズが紅茶にケチを付けないかヒヤヒヤしたが今回は流石のアイツも大人しくしているようだ。


「あ、この紅茶美味しい」


 紅茶に口を付けたエイルがボソリと呟く、


「ふふ、気に入って貰えたなら良かったよ」


 領主は少し圧のある微笑みを浮かべる。


 コンテストの審査席にも座っていた為、


 遠目で見てはいたが、実際に直接会うと、


 凄くオーラがある仕事が出来る上司みたいな雰囲気が漂っている人だった。


「早速だが、今回君達を呼んだ件なんだけどね?」


「はい」


「今回の騒動は、アルフォードが主犯だった事は分かっている」


「…はい」


「君達が被害者だったのも部下からの報告で聞いている…だけどね」


 淡々と事務的な口調で、領主は言葉を続ける。


「あの君が壊したって言う地下路。あれを壊した事で、目には見えない街への損害が凄いんだよ」


「………なるほど」


 今回領主が俺達を呼んだ理由はこれか、


 アンナ・ケネディも街の一部を壊した損害賠償を請求されたと言っていたが、


 まさか俺達も同じ鉄を踏む羽目になるとは。


「そこでね…単刀直入に言うと、君達にはその修繕費を全額払って貰う事になるんだ」


 現在俺達の所持金は、16965G。


 現代の感覚で言ったら、169万と残り6500円。


 自慢じゃないがケルヌトの街で貯めれるだけ貯めた、後は領主からの請求金額がどれくらいかによる。


「………いくらですか?」


 俺と領主のやり取りに緊張感が走り、


 リズもエイルも青ざめた顔で黙っている。


「うん、君達にはアルフォードを倒して貰った功績もあるからね…それを差し引いて、20000Gが君達が領主である私に支払う金額になる」


 まじか、まじか、まじか、まじなのか、


 足りない、全然金が足りない。


「………因みに、今現在の手持ちはどれくらいかね?」


 領主は内心焦りまくっている俺を見越してか、早速金の話を詰めてくる。


「………16965G」


 今の一瞬で口の中がカラカラに乾いてしまい変な声が出てしまう、


 俺はそれを誤魔化すように一度咳払いをした。


「うん、思ったより持っているようだね」


 領主は少し圧のある笑みを浮かべ、話を進めていく。


「取り敢えず手持ち分は今から全額支払って貰うけど、額が額なんで残りは少しずつ払って貰う形で構わないよ?それでいいかな?」


「…………はい」


 請求額が20000G、


 所持金から差し引いても残り3035G足りない、


 つまり、俺達は30万以上の借金を背負う事になる。


「それまで君達はこの街から出れないからね?そこの意味は説明しなくても分かっているよね?」


 借金、異世界に来てまでも借金を抱えるなんて、


 マジで俺の人生こんなんばっかりな気がする。


「それで、最終的な支払い期日なんだけど」


 それから先の領主の話は全然頭に入って来なかった。



 ◇


 

 マルコの宿に戻る途中にギルドに寄ってみたが、


 やはり俺の想像通りだった。


 大都市アトンのギルド登録料、一人当たり100G。


 流石、大都市アトン、水の街アトン。


 クエストするにしても、


 普通に生活するにしても、


 水のようにお金が流れていってしまう街。


「……はぁ」


 トボトボ歩く俺の背後でエイルとリズがヒソヒソと話している、


「確かにあの金額は僕もショックでしたけど…カトーさんの落ち込みよう半端ないですね…」


「………きっと借金しちゃったからだよ」


 小さい声で喋っているようだが、


 めちゃくちゃ聞こえているからな?


「…えーっと、でも返済期限は割と長めに取ってくれてましたし、少しずつ返してくれたら良いって言ってくれてたじゃないですか?」


「……カトーさん、借金恐怖症なんだよ」


「え!?何ですか…それ?」


「ステータスに表示されてるの…何か元の世界で色々あったみたいでさ?多分借金のせいで…」


「お前等なぁ」


 クルッと後ろを振り向き、


 驚いた顔の二人を交互に見る。


 金を返すって言ってもどうやって稼ぐんだ?


 そもそも、今夜からどうやって食い繋ぐ気なんだ?


 それに領主はあんな風に言っていたが、


 もしかしたら、利子とか発生するんじゃねーのか?


 お前等呑気にへらへらしてるけど、


 今この状況がどれだけやばいのか分かってんのか?


 と、言おうと思ったのだが、


「………はぁ」


 もう、何かいいやって気分になり、


 大きなため息を吐いた後に俺は再びトボトボと先頭を歩き出す。


「これは……かなり重症ですね…」


「……うん」


 そんな俺の行動に、


 ますます後ろの二人はヒソヒソと話し合うのだった。


 

 ◇



「えぇ!?何よそれ…そんなに請求されたのっ!?」


 宿に戻り、今俺達が置かれている現状をエイルがマルコに説明をしていた。


「そうなんです…」


「……やっぱあの領主クソね」


 マルコは吐き捨てるように一言呟き、


「みんな、安心して頂戴」


 直ぐに表情を切り替えニッコリと笑った。


「暫くの間みんなの事、あたしが面倒見るわ」


「え?」


「いいの?」


 エイルとリズは、マルコのその言葉にパッと表情を明るくする。

 

 ――出た。


 どうせこうなるだろうと思ってた、


 流石にそこまでマルコに甘える訳にはいかない。


「勿論、タダとは言わないけどね?」


 そんな俺にチラッと視線を向け、


 マルコは分かってるわよと言わんばかりの表情でウインクを飛ばしてきた。


「え……でも、僕達お金ないですよ?」


「うふん、分かってるわよ。だからあんた達にはその身体で払って貰うわ!!」


 マルコの言葉に、


 サッと両手で自分の身体を守るよう隠す青ざめたエイルと、


 意味が分かんないと言った様子でキョトンとしているリズ、


 二人様々な反応を見せる。


 マルコは俺の顔を見つめ、


 どうかしら?と目で訴え掛けてきた。


「……全く」


 本当にこのオネェは、


 お人好しなのにも程があんだろ。

 

「性的な奴じゃなく、ちゃんとした労働の方で頼むぞ?」


 冗談まじりに笑いながら呟き、


 俺はそんなマルコの好意と配慮を素直に受け取る事にした。

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