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クソ異世界にラリアット  作者: 狂兵
大商人 編
39/60

37話.地下オークション

 神の脚を使い高速で次の階に進む俺に遅れを取らずに着いてくるマルコ、


 名前は忘れたが、何かステータス強化魔法を使っているそうで、まじで万能なオネェだった。


「…それにしても、あんな反則技使えるなら最初から出し惜しみしないで頂戴よ?」


 先程の神の腕を見ていたマルコがその件に付いて絡んでくる。


「…うるせーな、色々あんだよ色々…」


 正直コチラの切り札はもう使ってしまった、


 しかし、今現在オークション会場で起こっている事を考えると後悔など何もなかった。


「んな事喋ってる暇あんなら、さっさと走れよ!」


 俺の頭にはさっきの水晶に映っていた光景が焼き付いて離れずにいる、


「いや〜ん、カトーさん怖いわ〜」


「…まじ、うるせーな」


 こうやってオネェと軽口を叩き合ってる間にも、


 一秒刻みでリズの順番が近付いてきているのだ、


 そう考えれば考えてしまう程、


 俺の心は焦りと苛立ちで支配されてしまっていた。


「うふふ、冗談はここまでにして…絶対に助けましょうね?」


「……あぁ」


 そして再び次の階で待ち伏せていた巨大キメラを、

 

 俺達は高速移動を駆使して完全スルーし、


 また次の階を目指し階段を駆け上がる。


 

 ◇



 どれだけ上の階に進んだか全く把握できなくなってきた頃、


「ここはっ……なるほどね…こう繋がったのね…」


 マルコが突然甲高い声をあげ、一人で何やら納得している。


「ここからならもう例の会場まですぐよ?」


「……道案内頼む」


「えぇ、任せて頂戴」


 マルコはウインクを飛ばし、


 すぐにその方向に向かい進み始める。


 ――もうすぐ、もうすぐだ、もうすぐでリズ助の元に辿り着ける。


 アルフォードがどんなカードを隠しているか何てどうでもいい、絶対突破して見せる、俺ならやれる、何せ、俺は、


「……主人公野郎だから」


 マルコに聞こえないくらいの声量でボソリと呟き、


 俺は先頭を走るマルコの後に続いた。

 

 

 ◇



 勢いよく扉を蹴飛ばし、俺達は人身売買が行われている地下オークション会場にまで辿り着く、


「アルフォードォオオオオ!!!」


 突然の乱入者により、会場はざわめき、


 一瞬でパニックになる、


「おやおや、カトーさん意外と早かったですね?」


 そんな中、一人余裕の表情を浮かべるアルフォードは、


「皆さん!!大丈夫です!!落ち着いて下さい!!」


 慌てふためく観客に大声で呼び掛け、落ち着かせようとしている、


「余興の第二弾といきましょう!!」


 そして満面な笑みを浮かべ、再び司会進行するような口調で観客に語り掛ける。


 そのアルフォードの声に落ち着きを取り戻した観客達は、拍手で答える。


 観客達はよほどアルフォードを信用しているのだろう、


 まるでいつかの俺達と同じだ。


「……舐めんじゃねーぞ」


 アルフォードのふざけた面を見れば見る程、


 抑えてきた奴に対する怒りが込み上げてくる、


「おぉ〜、おほほ…カトーさん?お顔が怖いですよ〜?」


 へらへら笑うアルフォードが立っているステージ上では、亜人の少女が売買されている途中で、


 その横には鎖で繋がれ、まだ眠ったままのリズの姿もあった。


「……こんなふざけたオークションの為に、俺達に近付いたのか?」


「こんな、ふざけた…?」


 俺の言葉に、さっきまでへらへら笑っていたアルフォードの表情が一瞬で曇り、


「…この地下オークションこそが私の全てなんですっ!!」


 そして突然鬼の形相に切り替わる、


「希少な商品を見つけ、大事に育てて、付加価値を付け、そして私が大事に育てた商品に値段と言う価値が付く瞬間こそっ!!!」


 次第に彼はうっとりと恍惚な表情で言葉を続け、


「あぁ〜、私にとって堪らない瞬間なんですぅううううう!!!!」


 自分の身体を両手でまさぐり、身体をくねくねと動かし悶える。


 あの日、世界から人身売買を無くしたいと熱く語っていた彼の面影は今微塵も感じられなかった、


 しかし、これが奴の本性で、


「……変態野郎が」


 そんなアルフォードにこれ以上何を語っても無駄な事が分かった。


「ふふふ、それは私にとって褒め言葉ですよぉ?」


 奴を睨みながら、


「…さっさと、リズを」


 俺は体勢を低くし、神の脚を発動させ、


「返しやがれええええええ!!!」


 ステージ上を目指し高速で移動する。


 ――パンッ!


 突然アルフォードが両手を叩き合図をする、


 その瞬間、四方八方から例の超巨大キメラが俺達の前に現れステージまでの道を塞いだ、


「……くっ!?」


 そのキメラ達は意志があるかのように、


 互いに肩を組み合い俺達を完全に包囲する。


「…まるで、キメラの折ね」


 周囲を警戒しながらマルコが呟く。


 少しの隙間からアルフォード達が見えてはいるが、


 まさにキメラの折に閉じ込められた俺達は完全に身動きが取れないでいた。


「っぷ、ははは!!カト〜さ〜ん?早くそこから抜け出して下さいよぉ?」


 ケラケラと腹を抱えながら笑うアルフォード、


「……テメェ!!!」


 俺はそんな奴をキッと睨み付ける、


「テメェ!!からの〜?ん〜?」


 奴は完全に俺を馬鹿にした様子で、耳を傾げるポーズで俺からの返答を待っている、


「…………くっ!!」


 奴を睨むだけで、結局何もできない俺を見て、


「カト〜さ〜ん、神の腕使っちゃったんですねぇ?」


 満面な笑みでそう言葉を述べた。

 

「あのスキルは最後まで取っとかなくちゃ駄目ですよ〜」


 やはりだ、やはりアルフォードは俺のスキルを調べ上げていた、


「その神の脚だけじゃ、まだカトーさんのレベル的にそのキメラ倒せないですって〜」


 そして、あの時敢えて俺を挑発し、


 スキルを使わせるつもりだったんだ、


「もぉ〜、ほんっとに馬鹿なんじゃないですかぁ〜?」


 分かってた、俺が奴の掌で踊らされている事くらい、


「……べらべらと、うるせーな」


 でもそれが分かってる上で俺はあの時、


 神の腕を使ったんじゃねーか。


「……そこで、黙って見てろっての!!」


 片っ端から超巨大キメラ達に連続の蹴りを放ち、


「マルコッ!!」


 追撃で魔法を放つよう、マルコの名を呼びかける、


「おい、マルコッ!?」


 しかし、彼の方を横目で確認すると、


「なっ!?」


 彼は超巨大キメラ達の触手により、


 身体を完全に巻き付けられ、


 言葉も喋れない状態になっていた。


 俺は蹴り続けていたキメラの身体を踏み台にし、


 ――ダッ!ブンッ!!


 三角飛びからのフライングニールキックをマルコに巻き付く触手に放つ。


「…クソがぁあああ!!」


 ――ドンッ!!

 

 触手にヒットした後、


 激しい衝撃音は響いたものの、


 全然手応えを感じなかった、


 ――ニュル、ニュル。


 その隙を逃さないと触手達が俺の脚に巻き付き始め、


「…ちっ…クソォ…」


 どんどん身体を縛り付けていく、


「あ〜あ、大した事ないですね〜」


 完全に身動きが取れなくなり言葉も発せなくなった俺を見て、


 アルフォードが呆れたように鼻で笑う、


「それでは、そろそろオークションを再開しましょう。カトーさんはそこで大人しく見てて下さいねぇ?」

 

 そして、仕切り直しと言わんばかりに、


 何事もなかったのような口調で彼はオークションを再開した。



 ◇



 ステージ上では、亜人の少女が高額で落札され、


 その少女を買い取った貴族がステージに上がる、


 そしてその貴族は薄汚い笑みを浮かべながら、


 その亜人の少女に奴隷刻印が刻まれているのを眺めている。


「これで、この少女は貴方のものです、落札おめでとう御座います!!」


 アルフォードがその貴族に向けて笑顔で拍手を送る、


 会場からは彼女を落札できなかった者の悔しがる声と、


 最後のオークションを待ち焦がれていた者達の興奮した声と共に盛大な拍手が鳴り響く。


 その少女を落札した貴族はステージ上でガッツポーズをした後、


 自分のものになった少女の頬をペロリと舐める、


 そして動物がマーキングするように、


 彼は少女の顔まわり、首筋、獣耳をべろべろ舐め回し自分の唾液をベッタリ付けていく。


 当たり前だが、少女が途中でその行為を嫌がる素振りを見せる、


 するとその男は、ステージ上にいる事を忘れてしまっているんじゃないかってくらい怒り狂い、


 少女の頬を何度も激しく叩き、


 よくわからない奇声を発している。


「おやおや〜」


 その様子を怒るでも止めるでもなく、


 微笑ましそうに眺めるアルフォード、


 彼だけじゃない、この会場にいる全員がアルフォード同様な表情でステージ上の光景を眺めている。


 少女は何度もぶたれた事により、


 完全に男に対して逆らう事をしなくなった、


 その様子に満足したように男は少女の頬を今度は優しく撫でる、


 そしてクイッと少女の顎を持ち上げ、


 男は少女の唇に自分の唇を押し当てた。


「皆様、もう一度彼に盛大な拍手をっ!!」


 まるでこれが見せ場だと言わんばかりにアルフォードは声を弾ませ、観客に拍手するよう呼び掛ける、


 そんなアルフォードの呼び掛けに答えるように、


 少女を落札した彼を称えるように、


 会場からはもう一度盛大な拍手が鳴り響いた。


 ――狂ってる。


 こいつ等全員狂ってやがる。


 もしこんなキチガイみたいな貴族達にリズも売られてしまったらと思うと、


 そんな事を想像するだけで吐き気がする程の不快感と、はらわたが煮えくり返る怒りが込み上げてくる。


 アルフォードや観客達に敵意剥き出しの眼差しを向けたまま、俺は必死にここから突破できる方法を考え思考を巡らせていた。

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