27話.大都市アトン美少女コンテストPart D
ステージ上に全員女性達が揃うと、会場の熱気は凄い状態になっていた。
「うぅ…緊張やばいんだけど…」
隣に立っているカンナがボソリと呟く、
「あの観客席に居る人達みんな、野菜だと思えば大丈夫だよ」
そんな緊張気味な彼女に対してボクはアドバイスをする。
「や、野菜!? あ、な…なるほど…」
ボクの言葉に必死に頷く彼女は、実際にそのアドバイスを実行しようとしている風に見えた、
「……た、確かに…少しマシになったかも…」
そしてさっきよりは、いつものカンナらしい表情に戻った彼女は、辺りをキョロキョロと見渡す。
「うげっ……あの人やっぱり来てる…」
あの人とは、カンナがさっき話してくれた例の好きな人の事だろう、
どんな人か興味があった。
「どの人?」
「あー、あはは…うん、あんま自慢出来るようなキャラしてないから…」
自慢出来るようなキャラをしてない?そんな風に言われると尚更興味が湧いた。
「えー、凄く気になるんだけど」
「私の方はいいの。 で?リズちゃんの彼氏はどこにいるの?もちろん、来てるんだよね?」
「何それずるい」
ボクの言葉が聞こえているはずなのに、
わざと聞こえていないフリをしながらキョロキョロとカトーさんの姿を探すカンナ。
それにあの人は彼氏とかじゃないんだけど。
「…これだけ人が多かったら中々見つけられな……ぁ」
こちらに向かい笑顔で手を振るエイルの姿を見つけてしまった。
「いたの!?えー、どの人どの人!?」
カンナがボクの視線を辿る、
「え、あの金髪美少年!?違うよね!?」
エイルの姿を見て、カンナは興奮気味に声をあげる。
「………」
ボクの方に向かって全力で手を振っているエイルの隣に、カトーさんの姿があった。
彼は笑うでも怒るでもない表情で、ただただボクの方を見つめている。
「…あー、分かった。その隣の人だ!?そーでしょ!?」
カンナがカトーさんの事に気が付いたタイミングで、ボクはカトーさん達から顔を逸らす、
「えー、めっちゃカッコいい人じゃん?何かイメージしてた人より更にイケメンって感じなんだけど?」
「……雰囲気イケメンってだけだよ、実際みると結構普通だし…」
そしてボソリと彼の悪口を呟いたら、何故か止まらなくなってしまった、
「…それにいつもうるさいし、凄く細かいし、ケチだし、意地悪だし、頑固だし、捻くれてるし、口も悪いけど…」
だけど、止まらなくなってしまった悪口は次第に支離滅裂なめちゃくちゃな言葉になってしまう。
「…けど、何だかんだ優しくて、一緒に居ると凄く安心できて、それに……いつもボクの味方でいてくれてた…」
次第に声が震えてしまっている事に気付く。
「リズちゃん…」
カンナがいつもより優しい口調で語り掛けてくれる、
「コンテスト、一緒に頑張ろう?そしてそれぞれ好きな人達に私達の可愛い姿見てもらおうよ?」
そしてニコッと眩しい笑顔を見せる。
「……別に、好きな人じゃないし」
そんなカンナに少しいじけたような口調で返答する、
「っぷ」
すると彼女は突然吹き出し笑い、
「も〜、何その言い方?リズちゃんちょっと可愛すぎなんだけど?」
ステージ上にも関わらずボクに抱き付いてくるのだった。
◇
オープニングの後は、先頭スタートの人を除きバックヤードに戻る。
そしてそのまま、先頭の女の子によるアピールタイムが始まった、
事前に聞いていた通り、一人数分間特技やトークなどで自分をアピールするみたいだった。
「うわ〜、あの子めっちゃ踊り上手!?」
先頭の女の子はアピールタイム中、踊りを披露していた、
また、きわどい衣装だからか、女の子が激しい動きをする度に会場にいる男性層からの歓声が凄い。
「…でも、顔があんま可愛くないよね」
そう、言ってしまえば彼女よりもカンナの方が数倍可愛かった、
「…そ、そうかな?でも私に比べたら…」
何よりカンナはあの愛嬌満点の笑顔がある、正直同性のボクから見ても、あの笑顔は破壊力あると思うくらいだ。
「大丈夫!ボク達なら絶対に決勝まで進めるよ!」
弱気なカンナを励ましてて気付いたけど、
今日この子と出会ったばっかなのに、
ボク達、励ましたり励まされたりしてばっかだなって思った。
「うん、そうだね!私も全力で頑張るよ!」
パシッと両手で自分の頬を叩き気合いを入れ直すカンナ。
ボク達が今一番集中しないといけない事は、
このコンテストに全力を尽くすって事、
今はその事だけに集中すると、決めたんだ。
◇
アピールタイムを、ほぼ愛嬌満点の笑顔とトークで費やしたカンナがステージから戻って来た。
「うわ〜、めっちゃ緊張したんだけど〜」
片手で顔を煽り、汗だくになって戻って来たカンナは言葉とは裏腹に、凄く満足そうな表情だった。
「お疲れ、凄く良かったよ」
「ありがと〜、リズちゃ〜ん!」
ニッコリと相変わらず眩しい笑顔を浮かべるカンナ。
「次はリズちゃんだね?頑張ってよね!!」
「うん」
そして、とうとうボクの出番がやって来た。
ステージまで繋がる階段をカンナと入れ違いで登る途中に、ボクは彼女に向き直り声を掛ける、
「あ、そう言えば言い忘れてたんだけどさ?」
「え、何?」
「ボクってば、実は超絶美少女なんだよね?」
そして、ずっと使用禁止とされていた、
懐かしのお肌つやつやスキルを発動させ、
今日一のドヤ顔をカンナに見せる。
「わっ、何突然?」
彼女は再び笑いながら尋ね返してくる、
「悪いけど、優勝するのはボクって事!!」
そんな彼女にボクはニコッと笑いピースサインを向けるのだった。




