23話.相方で自称魔法使いのクソガキと俺が何かあるとかまじでありえないのだが。
突然裏社会の奴隷事情を語るアルフォード。
彼はこの大都市アトンでもそういった奴隷商達の尻尾を掴もうと日々情報収集しているようだった。
「…あのマルコが」
確かにリズとのあの件で、彼がダークエルフに対して嫌悪感があるというのが明らかになった、
そしてあれ以来、彼とは全く会っていない。
「街で情報収集する時はあの宿周辺にあまり近寄らない方がいいと思います」
「…分かった」
アルフォードの言うようにもしマルコが奴隷商だったら、それこそ危険な奴に違いないのだが、
正直言って価値観の違いはあれど『マルコがそこまで悪い人間には思えない』が俺の正直な感想だった。
「お仕事のお話ですかぁ?」
俺の隣に座る亜人少女が絡んでくる。
「あはは、すみません。真面目な話はこれまでにしますかね、カトーさん?」
アルフォードはそう言い、俺にウインクを飛ばす。
「…キモいからやめろ」
とは言ったものの、流石イケメンのウインク、男の俺がされてもそんなに不快感はなかった。
これこそ、アレだ。
ただし、イケメンに限るって言う奴だ。
「ふふふ、カトーさんも本当に素直じゃないですね?」
「うるせーな」
「おー、怖いこわい」
暫く軽口をたたいた後アルフォードは、
「うわーん!カトーさんがいじめるんですー!慰めてー!」
と、ふざけながら隣の亜人少女に抱き付くのだった。
「よしよし〜、アルフォード様ぁ、大丈夫ですよぉ?」
アルフォードの頭をよしよしと撫でる亜人少女。
「……まじかよ」
その様子を見て呆れている俺に向かいアルフォードは、
『カトーさんも楽しんで下さい』と言うような笑顔を見せる。
「もっとよしよししてくれたら、平気になりそうです」
気持ち悪い声で少女に甘えるアルフォード、
「うふふ、アルフォード様ったらぁ可愛いんだから」
そんな二人はエイルに達に引けを取らないくらいのいちゃいちゃっぷりを見せ付けてくれた。
「………」
周りを見渡してみても、他の男性客達は亜人のホステスの少女達にデレデレしながら、きゃっきゃうふふしている。
いやいやいや、やっぱこの店アウトだろ!?
そして異世界の男性達よ!お前ら確りしろ!!
周りを観察していると、チラッと獣耳を付けたケネディさんが他のお客さんに接客しているのが見えた。
相変わらずぎこちない動作で、追加のビールを注文する事だけに全力を注いでいるようだった。
「カトー様ぁ?よそ見し過ぎですよぉ!!」
亜人の少女が、突然俺の両手をぎゅっと握る。
「あ?あぁ、悪い悪い」
俺はしれっとその手をどかして、ビールを口にする。
手をどかされて、一瞬眉をぴくりと動かす亜人少女、
しかし彼女もプロだ。
すぐに完璧な笑顔を作り直し、めげずに絡んできた。
「うふふ、カトー様ってお酒お好きなんですねぇ?」
何気ない会話をしながらも、スッと俺の太腿あたりに手を乗せてくる亜人少女。
「まぁな」
俺はしれっと、彼女の手をどかしながら淡々と答えた。
「うふふ、うふふふ、カトー様ってちょっとシャイな方なんですね?可愛い!」
「…あのさ?ビールおかわり貰っていいか?」
完全に彼女の話題をスルーで、こちらの要件を伝える。
「あ、は…はい!分かりましたぁ!うふふ」
一瞬戸惑った様子の彼女だったが、すぐに完璧な笑顔でビールの追加をしてくれた。
追加のオーダーを頼む時の要領の良さや、完璧な営業スマイルを見て、この少女かなりのやり手だなと思った。
ホステスとしてはかなりレベルが高い子なのだろうが、俺からしたら逆にその仕事熱心な接客がうざかった。
「あとさ?…悪いんだけど、静かに飲みたいんだよな?」
ここはお互いの為にもハッキリと言ってあげた方がいいと思い、ストレートに伝える。
「………あ、あはは。なるほどなるほどぉ」
ぎこちなく笑いながらも、彼女なりに知恵を絞り別のアプローチを考えたのか、
「…じゃあ、こーゆーのはどうでしょうかぁ?私は何も喋りませんからぁ?」
俺の肩にピタッと寄り掛かってくる彼女、
俺の様子を気にしているのか、本物の獣耳がピクピクと動いててくすぐったい。
そんなあざとさ全開の亜人少女に、流石にイラッとしてしまい、いつもよりワントーン低い声で呟く。
「……おい、まじでそういうのいいって言ってんだろ?」
身体を動かし、彼女から離れようとするが、
「…うふふ、カトー様もきっと私の魅力にハマりますからぁ!!」
意外と凄い力で、ガッチリと俺の身体にしがみ付く彼女。
「…いやいやいや、まじでうぜーから。仕事熱心なのは認めるけど、俺はまじでそういうのいいから!」
無理矢理身体を動かそうとしても、完全に彼女の馬鹿力で身動きが取れなくなっている。
「…うふふ、大丈夫ですからっ!すぐにカトー様もコッチ側にきますからぁ!?」
完全に目がイッテル亜人少女、
コッチ側ってどっち側だよ!
それにコイツどんだけ、力強いんだよ!
「…いい加減にしろ、世の男達が全員亜人の少女にデレデレすると思うなよ!?」
「ふふふ、亜人少女が嫌いな男性などいらっしゃいませんよぉ?カトー様は亜人少女の魅力がまだ分かってないだけなんですぅ!ちょっとだけ!ちょっとだけ時間をくだされば必ずカトー様も亜人少女大好きになりますからぁ!!」
血走った瞳でニッコリと微笑む亜人の少女、
しかし完全に目は笑っていなかった。
「だるいから、そういうの俺いいから!つか、お前目がこえーから!!」
「うふふ!照れるカトー様も可愛いですよぉお!?」
どんどん彼女の顔が近付いてくる、
そのたびに、もの凄い圧を感じる。
そしてこのままじゃやばいと本能的に感じ、
「俺は少女よりお姉さんタイプの方が好みなんだよっ!」
俺は亜人少女の脇腹を指でチョンとつつく。
「きゃん!?」
彼女の力が少し緩んだタイミングで、俺は身体を動かし横に移動する、
「わ、わ、わっ!?」
俺が身体をどかす事で彼女はバランスを崩し一瞬倒れそうになった。
「ちょ、ちょ、ちょっと!危ないじゃない!」
咄嗟に素の彼女が、俺に怒鳴る。
「あっ!?……じゃ、じゃなくて…そ、そのぉ…」
しかし、すぐに我に返った彼女は、
「ちょっと!お客様に失礼ですよ?」
「すすす、すみません!」
オーナーであるアルフォードに怒られ、更にアタフタしていた。
「いや、違うんだよアルフォード」
少し彼女が可哀想に思え、フォローを入れる事にすふ。
「俺が座ってた所に虫っぽいのがいてよ?それで俺が突然避けたから、彼女が転びそうになっただけなんだ」
「そ、そうなのですか?…そ、それは失礼しました」
アルフォードからの叱責を免れた彼女は、
「……す、すみませんでした」
コソッと俺に耳打ちをしてきた。
「いやいや、別にいいんだけど。それよりも」
「……もう静かにしときます、すみません」
と、彼女は素のちょっと低い声で答えるのだった。
◇
コンテストを明日に控えたリズは、
まだ衣装を決めきれてないとの理由と、
後でちゃんと衣装を見てやると俺が相槌をうった事を覚えており、
現在、宿の俺の部屋でリズの一人ファッションショーが繰り広げられている。
「まだだよ〜?まだ、開けちゃダメだからね〜?」
そして現在、俺は廊下に追い出され、
俺の部屋で次の衣装に着替えているリズを待っている。
「なぁ、もうさっきの衣装でいいだろ?終わりにしよーぜ?」
ドア越しにリズに語りかける。
「まだ沢山あるんだからっ!……あ、入っていいよ?」
次の衣装の準備が出来たみたいで、リズから入っていいとサインが出た。
「ったく、面倒くせーな」
ぶつぶつ言いながらドアを開ける。
「じゃ〜〜〜ん!どうどう?」
真っ白なワンピースを着たリズが、くるっと回りスカートをひらりと揺らす。
「おー」
よく見ると所々フリルが付いており、それが如何にもロリっぽく、
また彼女の褐色の肌と真っ白なワンピースの組み合わせは普通に似合っていた。
「おー、じゃ分かんないよ? どうどう?可愛い?カトーさん?」
両手を腰に回し、如何にも少女らしい動作で首を傾げるリズ助。
「…似合ってるんじゃねーの?」
素直に似合ってると言うのも何かしゃくなので、少し濁した言葉で答える。
「えへへ、ほんと?ボク、可愛い?」
両頬に手を添え、上目遣いで見つめてくる彼女は、
完全に調子に乗ったようで、あざといポーズを次々と披露してくる。
「おー、かわいいかわいい」
すげー腹立つが、現にさっきの高そうなドレスよりもコッチの方が似合っていた。
「わーい!カトーさんに褒められたー!!」
ベッドの上に飛び乗り、ぴょんぴょんと跳ねるリズ。
そのたびに、ひらりひらりとスカートがめくれリズの褐色の太腿があらわになる。
おいおいおい、下着見えそうになるんだけど、
親御さんはどういう教育してたんだよ、まじで。
「スカートでぴょんぴょんするのはやめなさい」
楽しそうにはしゃぐ彼女に子供に言い聞かせるよう注意をする、
「えへへ〜、いやだよ〜ん!」
しかし、きゃっきゃと子供のようにはしゃぎ、全く言う事を聞かない彼女。
21歳のくせに、まじでどれだけガキなんだよコイツは。
「はぁ…」
俺はため息を一つ溢した後、
「…つーか」
ぴょんぴょんと飛び跳ねる彼女に向かい、
「パンツ見えたんだけど」
と真顔で呟く。
「へ!?」
飛び跳ねてる途中で彼女はギョッとしたような顔になり、
そのまま膝を曲げ、スカートを両手で押さえた状態で、ベッドの上にボンッとお尻から落下する。
「…………」
そのままの状態で押し黙り、
恥ずかしそうに顔を俯ける彼女を、
俺は少し小馬鹿にしたように笑う。
「まー、嘘だけどな」
その言葉に、彼女は一瞬コチラをチラッと見て、
「……ほ、本当に?」
そしてすぐにまた、顔を俯かせる。
てっきり怒るのかと思ったのだが、
彼女は意外としおらしい態度のままだ。
「………本当に、見えてない?」
そんな彼女の、がらにもない女子っぽい反応が面白くて、
俺は再び笑いながら答える。
「あぁ、ギリギリな?」
すると、リズは両手で顔を覆い隠し、
「うぅ……もう絶対しない……」
心底恥ずかしがるのだった。
◇
結局、魔女服やウエイトレス風な服や、様々な衣装が続く中、次が最後の衣装となった。
「…ど、どうぞ?」
少し自信なさげな声のリズが、入っていいと合図してきた。
「じゃあ、入るぞ?」
ガチャっと扉を開け、今日一日で何十回目かとなる自分の部屋に入る。
「…………こ、これが最後なんだけど…」
顔を真っ赤にしながら、恥ずかしそうに身体をくねらせるリズ。
「なんちゅー格好してんだよお前は?」
「だ、だってぇ……この衣装も借りた奴の中に入ってたんだもん……」
彼女は黒のレオタードに、黒の網タイツを履き、頭にはウサギの耳が付いており、
首元にはシャツのエリがくり抜かれたようなものが、どうなってるのか分からないが黒の蝶ネクタイと一緒にくっついていた。
そう、こともあろうか最後の衣装は、完全にただのバニーガールの衣装だった。
「アルフォードの奴…」
ニヤリと笑い親指をグッと立てるアルフォードの姿が脳裏に浮かんでくる。
「……カトーさん、どう…かな?」
どうって言われても、完全にアレにしか見えなかった。
「あー、何かAVっぽいな」
その言葉にキョトンとした表情で、
「えーぶい?」
意味が分からないとリズが純粋に尋ね返してくる。
「まー要するに、エロい格好してんなって事だな」
平然と彼女の質問に答える、
「な、な、な、なっ!?」
しかし彼女はその俺の回答に、
耳まで真っ赤にして、
「何でそんなストレートに言うんだよっ!!カトーさんの馬鹿っ!!」
叫びながら枕を投げてくるのだった。
◇
結局明日のコンテストで着る衣装は、
あの真っ白のワンピースに決まった。
なのに、何故か未だにリズは俺の部屋に居座っている。
「……もう俺は寝る、だから早く自分の部屋に戻れ」
ベッドで横になりながら、リズに声をかける。
「……何か明日コンテストだって思うとさ……一人じゃ眠れなくて……」
「はいはい…頑張って一人で寝ろ…」
「……カトーさん、こうゆーときいつも冷たい……」
瞳を閉じている為、リズが今どんな表情をしているのかは分からない、
だが少しいじけた感じなのが口調で伝わってきた。
「…別に冷たくねーよ、お前の為を思って言ってる…」
「…それなら、一緒に添い寝くらいしてよ」
昨日の一件で、あれこれと一気に注意するのは良くないと考え直したものの、やはりこの件に関しては確りと言い聞かせないといけないような気がする。
現にエイルや他の奴等にリズと一緒の部屋で寝てたなんて思われてしまったら、それこそ色々と良くない。
「………」
暫く黙り、彼女に何て言い聞かせるのが一番有効的か思考を巡らせる。
「…ねぇ?カトーさん、聞いてるの?」
やたら、声が近くで聞こえる。
「…聞こえてるよ」
寝返りをうち、
リズがいるであろう方向に向き直ると、
「わわっ!?」
すっとんきょうな声と共に、
コツンと何かが頭にぶつかる衝撃を感じた。
俺はゆっくりと瞼を開く、
「……お前何してんの?」
目の前には、ドアップで彼女の顔がある、
「……だって、一人じゃ寝れないって言ったじゃん」
いじけたような口調で呟く彼女だが、
目を逸らし、頬も少し赤らめている。
「……お前なぁ」
恥ずかしいんだったら、最初からやめとけよ。
「…だ、だ、だってぇ….」
それにしても、こんな至近距離でまじまじとリズの顔を見た事がなかったから気が付かなかったが、
こいつって意外とまつ毛長いんだな。
「……な、何だよぉ?」
顔をまじまじと見られて居心地が悪そうなリズがボソリと呟く。
「いや……」
それに全体的に幼い系の顔をしているから気が付かなかったが、顔のパーツを一つ一つ見ると、意外と美人で綺麗な顔しているなと思った。
「お前意外と美人なんだなって思ってよ」
「な、ななな、何だよっ!?突然!?」
あ、しまった。
普通に思った事を口にしてしまった。
「……ど、どうせ、また冗談とか、からかってるんでしょ?」
ベッドのシーツに顔を埋め、完全にうつ伏せになり俺から顔を隠すリズ、
「…はほーはんのはーか」
その為かモゴモゴと声がこもり、何を言ってるのか全く聞き取れない。
「…は?何言ってんのか、分かんねーよ」
「…はほーはんのはぁぁぁかっ!!」
うつ伏せのまま、手足をジタバタと暴れさせ、
リズは再びこもった声で何かを叫ぶ。
スッと身体を起こし、俺の横でうつ伏せに寝転がる彼女を見つめる。
「はぁ….」
まじでコイツの甘えん坊具合もどうにかならないものかと頭を抱え考え込む。
それにちょっと心を開いたぐらいで、こんなにも無防備で居られるときっと、今後コイツの仲間になる男性パーティーは完全に誤解する。
そして、どーせ過ちが起きてしまってからコイツ自身もアタフタとする絵が完全に想像付く。
その気がないんなら、勘違いさせるような素振りはするな、
でもきっと、それを言葉でコイツに説明しても絶対に分からないんだろうな。
「………」
うつ伏せのリズをよく見てみると、さっきジタバタと暴れたせいで今度はガチで下着が見えていた。
「…またパンツ見えてんぞ?」
「へ!?」
その俺の言葉にリズはバッと体勢を戻し、
「…も、もぉぉぉ」
はだけだ寝巻きを確認し、手直しする。
そして彼女は俺に向かい罵声を発しようとしたが、
「カトーさんのへんた…え、ちょ、ちょっと!?」
俺は彼女が喋っている最中に無言で彼女を押し倒す。
「……な、な、なっ……何すんだよ…?」
完全に四つん這いの体勢の俺を下から睨んでくるリズ、
しかし、その目つきとは裏腹に声には全然力がこもっていなかった。
「…じっとしてろ」
俺は彼女の問いかけには答えずに、
さっき直した太腿辺りの着衣をはだけさせ、
褐色の彼女の太腿が露わになった。
「ちょ!ちょっ!?」
ジタバタと抵抗するリズを力ずくで抑え、
俺は何も喋らずに彼女の太腿に指を這わせる。
「ひゃっ……や、やめてっ……カトーさんっ…」
妙に女性っぽく悶えるような声を出すリズ。
「………ほら、コッチ向けよ」
手をリズの頬まで滑らせ、顔を逸らしていた彼女を無理矢理俺の方に向かせる。
「ぁ………うぅ…」
彼女はどうしていいか分からないと言った様子で、恥ずかしそうに目を泳がせている。
そんな彼女をジッと見つめながら、
「……ぇ…」
その唇に迫る。
「…ぇ……ぅ…嘘でしょ…」
完全に怯えきっているリズは、
「……こ……怖いっ……ぉ……お父さんっ……」
泣きそうな顔で、父親に助けを求めた。
そんな彼女の唇まで残り数センチの距離で、
「いい歳こいてお父さんはねーだろ?」
俺は吹き出し笑いながら、呟いた。
「……ぁ……」
俺の悪ふざけだと分かった彼女は、
目に涙をためながら、
「……ひ……酷い…酷いよっ!!」
完全にブチ切れる。
「今のは酷過ぎるよっ!!カトーさんがそんな人だとは思わなかった!!」
キッと俺を睨み付けるリズ。
いつもの感じではなく、ガチでブチ切れている。
「分かったら、さっさと部屋に帰れよ」
声を荒げる彼女とは対照的に、俺は平然とした口調で淡々と受け答えする。
それがまた彼女の怒りにふれる。
「って言うか何なのっ!?いつもいつもカトーさんは偉そうに人にあーだこーだ指図してさっ!!そんなに自分が正しいと思っているの!?」
「……は?」
正直最後の言葉にはカチンときてしまった。
「別に自分が正しいと思ってる訳じゃねーよ!!けどな?お前こそ、あんな風に嫌がるんだったら、最初からのこのこと男の部屋にやってきてんじゃねーよ!!前にもお前は隙が多すぎるって言っただろーが!!」
「は、はぁ!?…それはっ……カトーさんがそんな事する人じゃないって思ってたから…」
「俺も男だ!っつってんだろ!!そのすぐ人を信用するのもどうにかしろよ!!」
「……何だよっ……何だよ何だよ何だよっ!!そんなにボクが悪いって言うの!?ねぇ!そうなの!?」
「その件に関しちゃお前も悪いだろーが!!」
「…も、もういい……もういいよっ!!カトーさんなんか嫌いだっ!!」
捨て台詞のような言葉を吐き捨てた後、リズは俺の部屋を飛び出して行った。
◇
あー、やっと出て行った。
そんな事を思いながら俺は部屋の窓を開け、
タバコに火を付ける。
「………ふぅ」
ニコチンが段々と心を落ち着かせてくれる。
やはり、いつだってタバコだけは俺の味方だ。
それにしても、冷静になって考えてみると、
「…俺も何であんなにムキになってんだよ」
そもそも何でアイツの為にここまでムキになっていたのか、
あそこまでお節介を焼いてしまったのか、
自分でも分からなかった。
しかし、それこそ完全な善意の押し売りだ。
「………寝るか」
明日は一応エイル達とリズのコンテストを観に行く事になっていた。




