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クソ異世界にラリアット  作者: 狂兵
『ざまぁ』するにもまずは地盤を固めましょう編
13/60

12話.謎のダンジョンでまさかこんな展開になるなんてまじでありえないのだが。

 トロールを倒した事が何故か街中の噂になっており、領主が是非その転移者パーティーに依頼したいクエストがあるとの事で、俺達はケルヌトの領主の屋敷を訪ねていた。


「もちろん、高額の報酬も出す。それと私のお抱え剣士である執事も道案内兼仲間として一時的に同行させる。悪い話じゃない筈だが、どうだろうか?」


 領主が依頼してきたクエストとは、彼の領地に突如現れた謎のダンジョンの調査、攻略だった。現在ギルドでもこのクエストを依頼していたのだが、数多くの冒険者達がこのクエストに挑み、ダンジョン内で命を落とし、未だに攻略できていない謎のダンジョンだそうだ。


 何故このダンジョンができたのかそれを調査する事。


 また奥に凶悪なボスがいるならそれを倒し、またダンジョン内のアイテム戦利品は全て領主に収める事が条件だった。


「あの伝説、森の巨人を倒した君なら容易いクエストだと思うのだが?」


「ぷは〜、おじちゃんこの紅茶おかわりもらえる?」


「お、おじさん!?」


 空気を読まずに出された紅茶をぐびぐび飲み干し、おかわりを要求するリズ助。


 おじさん扱いされた領主は彼女の発言に絶句している。


「コホンッ!」


 リズ助に軽く一喝する意味を込めてか、執事がわざとらしく咳をする。


「それから、ボクはもうちょっと熱めの紅茶が好みなんだけど〜」


「んー、少しお前は黙ってようなー」


 空気を読まずにベラベラ喋るリズ助の顎を強めに掴み、口封じをする。


ふはい(痛い)ふはいよはほーはん(痛いよカトーさん)


 涙目で痛いと嘆くリズ助を無視し、俺は領主と話を進める。


「一つ確認したい事があります。俺達はおそらくですが、高レベルのボスが出てきても倒す事はできるでしょう、しかし」


「ほほぉ、流石トロールを倒した男だ。なんとも勇ましい発言だな」


 俺の言葉の途中で口角を上げ口を挟む領主。


「…しかし、ダンジョンの調査ですが。具体的にはどのような調査をすれば宜しいのでしょうか?」


「その件を兼ねての、私の執事の同行なのだよ。彼は戦闘だけではなく、遺跡についてもかなりの知識を持っておる。ようは彼が調査できるようにダンジョンのモンスターを一掃して欲しい。それが君達への依頼のようなものだよ」


 なるほど。それなら、問題ないだろう。


「分かりました。このクエスト、お受け致します」


「おお!そう言ってくれると思っておったぞ!セバスチャン!」


「はっ!」


 領主は執事の名を呼び、俺達に同行するように指示をした。


「承知致しました」


 そんなこんなで、セバスチャンと呼ばれる初老の執事が一時的に仲間になったのだった。


ほー(もー)ひゅるひてくらはい(許して下さい)はほーはん(カトーさん)


 涙ながらに訴えてくるリズの言葉にハッとして俺は彼女の顎をから手を離した。


「あ、悪い。忘れてた」



 ◇



 ダンジョン1階。


 最初だからか、レベル10前後の雑魚モンスターしか出てこない。


 俺はそのモンスターを通常攻撃の蹴りや殴りで軽く蹴散らしていく。


「ほぉ。カトー殿は剣などの武器は使わない方なのですね」


 執事のセバスチャンが俺の戦闘スタイルを見て興味深そうに質問してきた。


「あー、いや別にこっちの方が戦いやすいってだけで」


「カトーさんは、素手だけでバンバンモンスターを倒していくんだからねー!凄い強いんだよー!」


 モンスターから素材を回収しながら、何故かリズ助はドヤ顔で自分の事のように語る。


「そうなんですね。それではこの先高レベルのモンスターが出てきても安心、ですっ!」


 回収した素材を当たり前のようにマジカル袋に入れようとするリズから無理矢理素材を取り上げ、自分のバカでかいリュックに収納するセバスチャン。


 そう、このダンジョンで手に入れたアイテム素材は全て領主に引き渡す事も条件だった。


「……いやだなー、おじちゃんの荷物が増えて腰に負担がきて、ぎっくり腰にでもなったらいけないからボクが預かっておこうとしただけだよー」


「それはどうも。でもこう見えて私鍛えているので、大丈夫ですよ」


 リズに微笑むセバスチャン。しかし彼の瞳は笑っているようには見えなかった。


「おいおい。先はどれだけ長いのかわからないんだ。あまり失礼な事ばっかするなよ?」


「ふーんだ!分かってますよーだ!」


 不貞腐れた子供のようにぷいっと顔を背けるリズ助。


 今日も安定のクソガキ具合だ。


「…失礼ですが、彼女。珍しい肌の色をしておりますね、遠国の方でしょうか?それとも…」


「あ、リズですか?あー、すみませんアイツの出身地とかは全然分かんないです」


「…そうですか。それにしても彼女、可愛らしいフードを被られてますね」


「あー、あはは。最近買ったばかりで、あのフードお気に入りなんですよ。それにアイツ本当にフードマニアっていうか酷い時は寝る時もフード被ってますからね」


「…そうなんですか」


 セバスチャンはそう言ったきり黙り込み、リズを暫く見つめていた。


「え、でもそれがどうかしました?」


「あ、いえいえ。ただ単に可愛らしいお嬢さんだなと思いましてね?」


 ニッコリと微笑むセバスチャン。しかし、俺は先程彼がリズを見つめる視線に少し違和感を覚えていた。


「…いやー、ただのクソガキですよ」


「ははは、こんな賑やかなパーティーを組めたのは本当に久しぶりです。改めて今日は宜しくお願いします」


 優雅にお辞儀をするセバスチャン。


 まさかとは思うが、彼はロリコンなんじゃないかと一瞬疑ってしまう自分がいた。


「いえ。こちらこそ宜しくお願いします」


 しかし、俺はそんな疑念を振り払うように笑顔で彼に返答する。



 ◇



 ダンジョン地下10階。


 セバスチャンは以前にもこのダンジョンに調査に来た事があるようで、ダンジョン内のトラップや、モンスターが強くなる階層に詳しく。そのおかげあって、俺達はあっという間に地下10 階まで辿り着く事ができていた。


 このダンジョンは5階層進む事に、一気にモンスターのレベルが高くなる法則があるらしく、現在10階層に出現するモンスターのレベルは50前後くらいになってきている。


「おらっ!!」


 スキル【神の脚】を発動させ、群れでやってくるモンスターの大群を一掃する。


「素晴らしい!流石トロールを倒した英雄だけあります、レベル50越えのモンスターの大群を一瞬で殲滅するとは…」


 先程から俺のスキルを見て感激した様子のセバスチャン。


「まさか転移者のスキルがここまで規格外のスキルだったとは…それに現役引退した私が直でそれを目撃できる日がくるとも思いませんでしたよ」


 顎髭をさすりながら声を弾ませるセバスチャンに対し、再びリズがドヤ顔で補足を入れながら自分の事のように自慢する。


「へへーん!カトーさんは更に新しいスキルも覚えたし、最強のスキル神の腕もまだあるんだよーん!」


 そう、彼女の言う通り、俺はトロールを倒した事でレベルが一気に69まで上がっており、スキルポイントが1040ポイントまでたまっていたので1000ポイントを使い【神の眼】を習得したのだった。


「ほほぉ。カトー殿はまだまだ引き出しがあるって事ですな?」


「あー、まぁ。そうですね…」


 本当にこういう時どんなリアクションを取ればいいのか分からなくなる。


 否定してもすかした感じがするし、肯定してもやっぱり威張ってるみたいで客観的に見て腹が立つ。


「ん?カトー殿、どうかされましたか?」


「ほらー、早くサクサク攻略しちゃうよー?」


 先頭を歩くリズとセバスチャンが立ち止まっている俺に振り返り声をかけてくる。


「あぁ、悪い。今行くよ」



 ◇



 ダンジョン地下29階。


 既にモンスターのレベルは100前後にまでなっていた。


 現在は俺のスキル【神の脚】だけじゃなく、遂にセバスチャンが長剣を抜き戦闘に加わっている。


「はぁ!!」


 無駄一つない剣撃でレベル100のモンスターを一刀両断するセバスチャン。


 凄い、この初老の男いったいどれだけレベル高いんだ?チートスキルに頼らずともこれだけ強いモンスターを倒せるなんて、まじで強過ぎる。


「カトーさん!後ろ後ろっ!!」


「ったく!次から次とっ!!」


 リズに指摘され、いつの間にか後ろに迫ってきていたモンスターに回し蹴りをかまし、粉砕する。


「…いまので全滅、ですかね?」


「あぁ、そうみたいですね」


 地下29階層の全てのモンスターを倒した俺達は、この先にはレベル180越えのダンジョンボスが居るとセバスチャンに告げられた。


「心の準備は宜しいですか?」


「こちとら俺TUEEEE(俺つえー)のカトーさんがいるんだよ?全然余裕っすよ!」


 俺の代わりに返事をするリズ助。


 セバスチャンはクスリと笑い頷いた。


「ふふ、それは不要な心使いでしたね。おそらくですが、このボスエリアをくまなく調べれば、ダンジョンの謎も解けるはずです」


「そっちの方はまじで宜しくお願いします」


「お任せ下さい」


「なら、いっちょ()()()()()()()()()()()


 俺は自傷気味に笑い、地下30階に続く階段を降りた。



 ◇



 ダンジョン地下30 階。

 明らかにボスエリアといわんばかりの開けた空間になっており、その中央に赤いドラゴンが居た。


「カトーさん!あのドラゴンのステータスね?」



 Lv 180

 名前 レッドドラゴン

 種族 ドラゴン族


 スキル

 硬い皮膚

 (物理攻撃耐性強化)

 爆炎放射

 (全てを焼き尽くす爆炎を放つ)


 弱点

 水属性攻撃



「このレッドドラゴンは、私でも歯が立ちませんでした」


 ピリッとした緊張感のある口調でセバスチャンが告げる。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」


 俺達を威嚇するように天井に爆炎を放つレッドドラゴン。


 階段付近にまで熱が伝わってくる程の炎の強さだ。


 あんなに豪語してきたリズが今ので少し不安になったのか、俺の服の裾を掴んでくる。


「おい、離してくれないと行けねーんだけど?」


「…絶対勝ってよね」


「当たり前だっつーの」


 俺達のやりとりを微笑ましそうに見つめるセバスチャン。


「青春ですな」


「…そんなんじゃないですって」


 今の反応を見る限り、やはり彼がロリコンじゃないかと思ったのは気のせいだったのかもしれない。


「カトー殿は必ず勝ちますよ。一緒に見守っときましょう?」


「う、うん…」


 セバスチャンはまるで娘に接するように優しくリズの肩に手を置き、俺から距離を取らせた。


「じゃー、さくっと倒してくるわ」


 数歩進み、俺はレッドドラゴンをハッキリと視界に捉えた。


 ダンダンダンとバスドラムの音が脳内に響き、『マリリン・マンソン 』の『バーニング・フラッグ』が頭の中で爆音で流れてくる。


「あー、きたきた。まじでテンション上がるわ」


 軽く頭を揺らしながらリズムを取り、俺はスキル【神の脚】と【神の腕】を発動させる。


 両脚と、右腕に白い光の模様なものがはしる。


「ぐぎぁぁぁぁあ!!」


 俺目掛けて放つ爆炎を高速で移動し避け、その後レッドドラゴンの首付近まで高くジャンプする。


「コイツで終わりだぁぁ!!」


 そしてそのままレッドドラゴンの首目掛けて自慢のラリアットをぶちかます。


 ――レッドドラゴンの首を膨大な白い閃光が貫通し、一瞬でレッドドラゴンは消滅してしまった。


「素晴らしいですね…これがスキル、神の腕ですか…」


 結局、新スキル【神の眼】を使う前に倒してしまった。このスキルはまた、次の機会に使う事にしよう。


「おい、お前は何をやってるんだ?」


 レッドドラゴンを瞬殺し唖然と立ち尽くすセバスチャンを余所目に勝手にボスの素材を回収しようとしているリズを制止する。


「にゃはは、いやだなー、おじちゃんのお手伝いだよん?」


 さっきまでビビってたくせに戦闘が終わった途端に、レア素材を盗もうとする彼女は今日も相変わらずのリズ助だった。



 ◇



 暫く間、セバスチャンが最終階層であるボスエリアを調べるのを俺とリズ2人して待っていた。


「カトーさん、カトーさん。実は今日こんな事になるだろうと思って食べ物作ってきたんだけど」


 茶色い紙に包んだ、卵とベーコンらしきものが挟んである普通に美味そうなサンドイッチらしき物をリズが取り出す。


「おー、すげー美味そうじゃん」


「でしょー?頑張って作ったんだよん!褒めて褒めて〜?」


 目を閉じて頬を擦りすりとすり寄せてくる彼女。今日もビッチ臭が凄い。


「おー、えらいぞ、えらいぞー女子力たかいぞー」


 ほとんど棒読みでリズを褒めて、フード越しに頭を撫でる。


「ちょ!頭がしがしはやめてよ!フード脱げるから!」


 むぅといじけたように頬を膨らませるリズ助。なんだかこれも定番のやり取りになっている。


 そんな俺達の様子を目を細めながら見つめていたセバスチャン。やはりというか今も何か違和感があるような視線を送ってきていたような気がした。


 俺の視線に気がついたのか、セバスチャンはハッと我に返り普段通りの上品な執事スマイルに切り替えてきた。


 彼の視線が少し気にはなったものの。俺はリズから受け取ったサンドイッチ をさっそく頂く事にした。


「……んー、甘い」


 サンドイッチ はビックリするくらい甘かった。


「え、嘘!?」


 リズも自分で作ったサンドイッチ をパクッと食べる。そして一言。


「うえ〜、ごめん。お塩とお砂糖間違えちったみたい…」


「あ〜、もうこれ以上ドジっ子アピールはいいってリズ助。あざといのも、あんまくどいとまじで友達いなくなるぞ?」


「は?は?何が!?ドジっ子アピールって普通に間違えちゃっただけだし!!それに元から友達なんかいないから問題ないし!!」


「……あ、悪いちょっと今のは空気読めてなかったわ…」


 まさかの友達いないとのカミングアウトを受け、一気に申し訳ない気持ちで一杯になってしまった。


「ちょ!何その哀れむような言い方は!?別にボクの可愛さに嫉妬して僻むような奴等なんかこっちだって仲良くしたくないって話だよ!ふんだ!!」


「……まー、あれだよな?人生、色々あるよな?これは責任持って食うからさ?」


 リズの肩をポンポンと叩きながら、俺は残りのサンドイッチ を一気に口の中に放り込む。


「も〜!何かカトーさんのその態度ムカつくんだけど!!それにまずいなら無理に食べなくていいよ!!」


「塩と砂糖、普通に間違えちゃっただけだよな?それに友達いなくたって普通に生きていけてるもんな?」


 慈しみの視線をリズに送り、もう何を言うなといわんばかりの態度で彼女に接する。


「なんだよなんだよ!!その哀れむような目は!!」


「お取り込み中のところ申し訳ありませんが、調査も終了致しました」


 キーキー喚き地団駄を踏むリズを他所目に、セバスチャンがクエスト達成した事を俺に告げてきた。


 ――彼の調査では、誰かが意図的に発動させて現れたダンジョンの可能性が高いとの事だった。


 ゲームとかで例えるなら、要はサブクエストで強い武器を手に入れる為に、あるスイッチを入れ、その瞬間に複数のダンジョンが世界のどこかに現れ、そのダンジョンを全て攻略し、全ての水晶を集める事でレアな武器が手に入る的なそんな感じの説明を受けた。


 このダンジョンはその内の一つの可能性が高いらしい。


 赤い水晶を手にするセバスチャンの言葉には確かに説得力があった。


「本当にお二人とも、ありがとうございました。領主様をお喜びになるでしょう」


「それはよかったです。じゃあ、帰るとしますか?」


「はい。…すみません、最後に一つ宜しいでしょうか?」


 神妙な面持ちのセバスチャンが真面目な口調で呟く。


「彼女の事なのですが。もしかして、彼女ダークエルフではないでしょうか?」


 やけくそになり、甘いサンドイッチ を一人で頬張るリズを指差しセバスチャンは言い放った。


 その瞬間、ピタッとリズの手も止まり暫く沈黙の後彼女が口を開いた。


「…違う」


 ダークエルフではないと否定するリズを厳しい細い目で見つめながらセバスチャンは言葉を続ける。


「まさかとは思いますが、貴女。カトー殿に自分の素性も明かさず一緒に旅をしているのですか?」


「え?何々?何だよ?リズがダークエルフ?え、つかダークエルフだと何か都合が悪いんですか?」


 状況が把握できない俺はセバスチャンに尋ねる。


「カトー殿は最近この世界に来たばかりだ。ご存知ないのも無理はないでしょう。ダークエルフとは邪悪な魔女神シンヴァーを崇拝しエルフの森を追放され、地下の暗い森に生息するエルフ達の事です。ダークエルフ達は邪神を信仰するあまりにとにかく惨虐で非人道的な行為を行なってきました。そこで我々ヒューマン【人間】属とエルフ属手を合わせて幾度となく、ダークエルフ属とは戦を行なってきたのです。これだけで分かると思いますが、彼女等ダークエルフの事を好ましく思わない人々は大勢いるのですよ、何せ彼女等ダークエルフに親兄弟、恋人を殺された人達もいるのです。忌み嫌われて当然の種族なのですから」


 当然のように忌み嫌われて当然の種族と、セバスチャンはリズを見つめながら言い切った。


 その瞬間セバスチャンをキッと睨み付けるリズ。


 彼女は悔しげに握り拳を作り、その手は少し震えていた。


「ちょ、ちょっと待ってくれ!そのダークエルフ?っつー種族の事はまーよく分かったけど、リズ助がダークエルフって何で言い切れるんだよ?」


 セバスチャンに問う。


 さっきから彼女をダークエルフだと決め付けるような言い方が少し癇に障ったからだ。


「…ダークエルフは、エルフ同様の長い耳をしています。そして、その肌は地下の暗い森に溶け込むような黒い褐色の肌をしておるのですよ」


 厳しい視線をリズに送りながらセバスチャンは淡々と言い放つ。


 俺はその言葉でハッとなり、リズに振り返る。


 彼女は確かに褐色の肌をしている。


 そして言われてみれば俺は未だに()()()()()()()()()()()


 リズは俺の視線に気が付くとなんとも悲しそうな目で何かを訴えかけてきた。


 しかし、彼女が何を思い、何を伝えたいのかが全くわからなかった。


「そして、何よりの証拠は…貴女フードをずっと被っていますよね?」


 ビクッとリズの身体が震えた。


 そしてその反応で、俺もセバスチャンの言う事に間違いがない事を察してしまう。


 リズがダークエルフ。


 ダークエルフは、邪神を崇拝していて。


 ダークエルフは惨虐で、非人道的な行動をする?


 リズが?惨虐で非人道的?


 俺はこの数日彼女と過ごした記憶を手繰る。


 リズは確かにバカで、アホで、わがままで、自己中で、あざとくて、痛い奴で、戦闘じゃ全く使い物にならないポンコツだが、感情表現が豊かで、ある意味裏表がなく、いつもアホみたいに元気で、へんに前向きで、人懐っこい犬みたいな奴だ。


 そう、決して悪い奴じゃない。


「違うと言うのであれば、そのフードを取って耳を是非見せて下さいますかね?…流石に無知なカトー殿に素性も告げず承諾も得ず共に旅をするのはどうかと思いますよ?」


「…別に嘘は付いていない」


 リズは一言そう呟くと、自らフードを取り、髪を掻き分け、耳を露わにした。

次回更新予定 7/12 深夜0:00

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