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天戯さんは何処へ!?  作者: 雨時雨、時雨時。
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第13世界 作戦開始のカウントダウン

第13世界 モンスターパニックの世界

3話 作戦開始のカウントダウン



要は、バレなきゃいいんだよ。



未だに執拗に俺たちを追いかけてくる女性の顔をした巨大なカマキリ。

耳障りなその声もいい加減聴き飽きたな。



両隣を並走する二人より少しだけ速度を落とし背後に移動する。

タイミングは一瞬、失敗は許されない。

だが俺にとっては朝飯前だ。


思い切り地面を蹴り、空に浮かぶ。

捻りを加え時計回りに回転し、空中で後ろを向く。

視界に入った人面カマキリに狙いを定め、即座に両手の指先を結晶化させる。


避けられると思うなよ?


両方の腕に力を込めて思い切り交差させる。

俺の動きに合わせるように左右の壁から勢いよく赤い結晶体の棘が突き出し追いかける人面カマキリを左右から挟み込む。

流石にこれだけの数の棘をかわすのは不可能だったようで、人面カマキリは左右の棘に肢体を貫かれ、息絶える。


棘が人面カマキリを捉え、ハチの巣にしたのを横目に確認しながら、そのまま回転する力に身をゆだねて前をむく。

傍から見れば突然回転ジャンプをした変な人であろうが、そんなのは関係ない。

前を走る2人に気づかれずに怪物を排除する。

問題は無事解決した。



問題があるとすれば着地の瞬間、足元の確認を怠ったことであろう。

床に倒れていた学生の血で滑り、足を取られてしまった。

盛大に体勢を崩し倒れる。

回転を加えていたことが災いし、着地の瞬間に方向がずれて俺は顔面から壁に激突する。



前を走る2人が何事かと振り返る。

そこには何故か体中穴だらけにして死んでいる人面カマキリの死体と鼻血を垂らしながら芋虫のように悶え苦しむ俺の姿が映ったに違いない。



「天戯君!!大丈夫!?」

「なにがどうなってんだ?」



あぁ、大丈夫だ。

俺を心配する佐々木君と状況が飲み込めない高橋君。

目の前の危機は去ったが、周りは何処も悲惨な状況であった。

逃げ惑う生徒、そこら中に転がる無数の死体。

街のほうでも襲撃があるのだろう遠くにサイレンの音や発砲音も聞こえる。

とりあえず俺たち3人は近くにあった無人の図書室に入り、陰に隠れ息を整えることにした。





「おい、これからどうするよ?」



図書室内を一通り調べ安全を確認すると高橋君が険しい表情のまま意見を仰ぐ。



「分からない。でも校内に安全な場所はないと思う。それに……」



窓の外を伺い見ながら佐々木君は何やら考え込む。

それにどうしたというのだろう。

高橋君はバリケードのつもりなのか本棚や机や椅子やらを入り口にせっせと積み上げる。

それ俺らも出れなくなっちゃうんだけどもいいのか?



「天戯君、高橋君、ちょっといいかな。」



真剣な眼差しの佐々木君は考えがまとまったのか話始める。



「さっきも言ったけどもうすでに学校内にはさっきの化け物が入り込んでいて安全な場所はないと思う。」

「あぁ、さっき逃げる時に通った教室を見てたがどこの教室も酷い有様だった。」

「学校に立てこもるのも得策じゃないと思う。籠城するだけの備えもないし、助けがいつ来るかもわからないからね。」



なんか2人とも冷静だな。

化け物に追われながらも周囲の状況を確認していたのか。

俺も逃げながら目に付いた人面カマキリは棘で殺していたが、こいつ等もなかなかやるな。

感心してしまう。



「街を見てみたんだけど、東の方はまだ被害がないみたい。おそらく化け物は西からやってきたんだと思う。」

「逃げるなら東側ってことだな。東には駅があったよな、地下街か。」

「立て籠もって救助を待つにしても、とりあえずは駅に向かおうと思う。」



いや、ちょっと冷静過ぎない!?

なにその状況判断能力すごいんですけど!!

やや、追いてかれ気味の俺を余所に2人はどんどん話を進めていく。



その時、ポンと佐々木君のスマホが鳴る。

画面を確認すると佐々木君は少しホッとしたような表情を見せる。

友人からの連絡か、家族の安否か、どちらにせよ何か吉報が入ったようだ。


それよりも通信システムはまだ死んでいないようだな。

俺もスマホ持っているのか?

制服のポケットをまさぐると右ポケットにスマホが入っていた。

ロックは掛かっておらず、簡単に開けることができた。

連絡先を出してみると家族を含め、誰一人登録されてはいなかった。

どうやら俺のスマホは通信機としての機能を果たしていないようだ。

何とも微妙な気持ちのままポケットにしまう。

元の世界の俺のスマホにも連絡先は4、5件入っているというのにこの世界の俺はぼっちを極めているようだ。


神妙な面持ちの俺に佐々木君がスマホの画面を差し出す。



「守君も朱音ちゃんと合流したみたい。2人とも無事だって!今は体育館倉庫にいるみたい。」



画面には守という人物からの無事を知らせる文面が表示されていた。

朱音というのが先ほどクラスにいたヒロイン候補だったはずだらか、守というのは佐々木君と朱音ちゃんの共通の友達、幼馴染とかだろうか。

どの道重要な立ち位置にいる人物であろう。

佐々木君が主人公ではないとするならば、ひょっとすると守という人物がもしかするかもしれない。


その2人が現在身を隠しているのが体育館倉庫か。

近い場所か?

当然ながら俺には場所がわからない。



しかし体育館ならすぐに見つけられるだろう。

外観で目立つからな。

俺は両目を閉じて集中する。

両目を閉じしばらくすると自分を上から見下ろすような視点になる。

そのまま上昇し、天井を超えて学校全体を上から見渡す。

真下が俺たちがいる図書室だとすると、体育館は南南西に存在し、図書室と体育館は対角線上に位置している。



俺が何をしているかというと所謂遠隔透視というやつだ。

カッコよく言うと千里眼だ。

ま、千里(3900㎞)も見えないがな。

俺の両目は少し特殊で、これも過去に別世界に行ったときに手に入れた能力なのだが、両の目を閉じることで自分がいる所から半径500m以内なら自在に視ることができる。

便利なように思うかもしれないが実際そんなに使い勝手は良くない。

半径500m以内なら視ることができるといったが、視える範囲はあくまでの俺の視力に依存する。つまり500m以内のすべてを認識できるわけではない。

簡単に説明すると壁をすり抜けることができるドローンにカメラをつけて別画面でその映像を見ているような感じだ。

つまり探す範囲が広いほど、探す対象が小さいほど見つけるのは困難になるというわけだ。



「寝ちゃだめだよ!!天戯君!!」



突然肩を揺さぶられ強制的に能力を中断される。

俺の視界は遥か上空から図書室の俺の目まで一気に引き戻される。



「あぁぁぁぁあああ!!目がぁぁぁ!!!!」

「わわっ!ごめん!」



俺は滅びの呪文で目を潰された大佐のように両目を抑えてのたうち回る。

ちなみに急に遠隔透視を中断すると非常に痛いのだ。

遠くに視点を飛ばしていればいるほどその痛みは増す。

今回で言えば飛ばした視点は80m程だが、両の目ん玉に輪ゴムでパッチーンってやられたぐらい痛い。

真っ赤に充血した目で佐々木君を睨む。



「ごめん、そんなに強く揺さぶったつもりはないんだけど……だ、大丈夫?」



確かに胡坐をかいて壁にもたれ掛り、目を閉じたていたら寝ている人に見えるだろうが、そんな雪山で遭難した人みたいな必死さはなんだ。

人面カマキリが襲撃してきたのかと思って慌てたぞ……

ひりひりと痛む目をこすりながら、大丈夫だと告げる。

だが、まぁ体育館の場所は把握できた。



「よし、じゃあ体育館倉庫に迎えに行くか。」

さっさとヒロイン候補と合流して駅に向かうとしよう。

袖をまくり、積み上げられたバリケードをどけようとドアに向かって歩こうとしたところ佐々木君が意外な言葉をかける。



「いや、守君たちとはここで待ち合わせるよ。」


いや、行かないのかよ!?

なんで!?



「これから東に移動するのに西にある体育館に向かうのはリスクが高いよ、それに図書室には直接外に繋がる非常階段もあるしね。」



確かに、でもそれなら体育館にも直接外に出られるようになっているのではないだろうか?



「体育館から外に出て駅に向かうとなるとグラウンドを通ることになるから、あそこには化け物がたくさんいた危険地帯だしね。」



なるほどな。教室から見たグラウンドには確かに多くの人面カマキリが授業中の生徒を襲撃していた。

俺の後ろにいた佐々木君もその光景を見ていたのだろう。

それに最初に人面カマキリが窓を突き破って襲撃してきたことからも校外からやってきたことは明白。

外を無暗に出歩くのは危険か。

校内も安全とは言えないが、先ほど追いかけられたときもそうだが人面カマキリの大きさだと屋内は狭く行動が阻害されるから万が一遭遇しても逃げ切れる可能性もある。



ってか、え?

ちょ、心読まれてね??

なんで会話が成立してんの?

声に出してないんだけど俺!?

佐々木君もしかして読心術が使えたりするのか?

そんな特殊な能力が!?


「あぁ、ごめん。なんで迎えに行かないのかと、外のルートを通らないことに疑問を感じているような気がしたから説明しちゃった。」



え、今のやり取りは勘なの?

それって勘のなせる技なの?

鋭すぎるだろこいつ。



佐々木君の意外な特技にドン引きしつつも、先ほどからせっせとバリケードを強化している高橋君を交え作戦会議を行う。



そのバリケードあとで絶対邪魔になるよな……。



なんてことを考えながら佐々木君が考えた作戦を遂行するため俺たち3人はそれぞれ行動を開始したのであった。



そして案の定、俺の最初の仕事は高橋君がせっせと積み上げた机と椅子と本棚で出来たバリケードを解体することだった。



やっぱり、邪魔になってんじゃねーか。



溜め息を吐きつつも、山と積まれた椅子に手を掛けた。



ご来訪ありがとうございます。


どーも皆様、雨時雨あめしぐれ時雨時しぐれどき。と申します。



図書室に逃れた天戯さんは妙に冷静な2人とともにこれからの作戦を立てます。

体育館倉庫に逃れた朱音&守ペアと合流し、東へと移動する方針に決めたようです。

学校は既にモンスターの襲撃を受け酷い有様ですが、ほかの生徒たちはどうしているのでしょうか。



今回出てきた天戯さんの能力「遠隔透視」は4回目の異世界転移の時に手に入れた能力の1つです。

4回目の転移先で天戯さんは「視る」という能力について目を媒体とした4つの能力を手に入れました。

「遠隔透視」はそのうちの1つの能力です。

「遠隔透視能力」は状況を把握するためには非常に有効な能力ですが、制約が多く使い勝手はあまりよくないようです。

天戯さんの目に宿った他の3つの能力についても後々触れていきたいですね。



感想など頂けると非常に私が喜びます。



それでは次回もよろしくお願い致します。



雨時雨あめしぐれ時雨時しぐれどき

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