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魔道具技師と魔撃銃

本日から、投稿再開します!

 魔道具技師と魔撃銃


 ウエルムに戻った俺たちは、まだ昼にもなっていない時間だったので、ハンターギルドへ行くことにした。

 ハンターギルドでの目的は、ローランドさんへの報告もあるのだが、開戦通告をしたからと言って、すぐには、エストガル帝国も動けないだろうから、あちらの準備が整うまで、ハンター稼業を体験したかったからだった。

 とは言っても、一応、休暇のつもりでもあるので、がっつりとハンター稼業をするつもりもなく、せいぜい半日から日帰りが出来る程度にするつもりだ。


 ドアベルを鳴らし、ハンターギルドに入ると、フォルスさんが、待っていたとばかりに話しかけてきた。

「ハヤトさん、アイカさん、良いタイミングでいらっしゃいました。マスターの執務室へお願いします」

「何かあったのですか?」

「お二人にとって、悪いお話ではないので、まずは、マスターの執務室へ、お願いします」

「……、わかりました」

 ローランドさんの執務室に行き、ドアをノックする。

「ハヤトとアイカ、参りました」

「おお、良いタイミングだな。入ってくれ」

 ドアを開けて、俺たちが入ると、ローランドさんと小柄な深草色のローブを着た俺と年の変わらなそうな、女性が応接セットに座っていた。

 ちなみに、年が変わらないというのは、今の姿の俺、二十歳前ということだ。


「ハヤトくん、アイカくん、例の物は、渡せたか?」

「はい、あちらのボスまで行くかは、わかりませんが、渡せました」

 部外者がいるところで、エストガル帝国を潰すとは言いにくいので、隠語っぽく話すしかないよな。

「まあ、ボスまで、届かなかったなら、それはそれで、あちらのミスだからな。気にする必要はない」

 さすがローランドさん、すぐに隠語で、返してくれた。


「それで、こちらの方は?」

「王都の上級魔法学院を卒業してから、一年の間、この街でチームを組んで、ハンターをやっていたのだが、どうもメンバーとうまくいかないようでな。今朝、チームから追放されたばかりの魔道具技師だ」

 今朝、ローランドさんは、取り込んでいるとか、そんな話だったが、彼女のことだったのかもしれないな。

「ギルドマスター、私が追放されたんじゃありません。私が奴らを追放したんです!」

「と、本人は言っているが、魔法を使わずに、魔道具ばかり使うから、追放されたパンジー君だ」

「そもそも私は、魔道具技師なのですから、魔法学院の試験を通る程度の魔法が使えたら十分だったのです。ですので、魔法を使う必要なんてないのです」

「まあ、こんな具合でな、面白い奴だろう」

 面白いといえば、面白いのかもしれないが、魔道具技師か。興味は十分、持てそうだ。

「不本意極まりない紹介ですが、魔道具技師のパンジーです。こちらが、七色の賢者様でそちらが天の勇者様ですね?」

「ローランドさん、七色の賢者は、しょうがないとして、天の勇者は、アイカのことですよね?」、

「ああ、丁度良い二つ名が思いつかなかったから、天属性の使い手だから、そのまま【天の勇者】とさせてもらった。問題はあるか?」

「私は問題ありません。天の勇者ことアイカ・モーリーです。よろしくお願いします」

「アイカが承諾するなら、否は言いません。七色の賢者、ハヤト・モーリーです。よろしくおねがいします」

「パンジー君は、面白い魔道具を作るんだ。その中の一つで、俺が目を付けた物がある。パンジー君、ハヤト君たちに見せてやってくれ」

「……、わかりました。笑わないでくださいね」

 そうして、パンジーさんがテーブルに出したのは、地球のそれとは、多少は異なるが、どう見てもリボルバー式の拳銃だった。

「……、これは、どういう?」

「ここでは、使えませんので、訓練場に行きましょう」


 そうして、皆でまだ修復中の訓練場に行き、実演を見せてもらうことになった。

「パンジー君は、炎属性のみを使えるのだが、しっかり集中しなければ、爆裂魔法になってしまうんだ。戦闘中に、しっかりと集中するなんてことは、難しくてな。そこで、自分専用の魔道具を作り上げた。見せてやってくれ」

「わかりました」。それでは、火力・一からいきます」

 手元を見ると、安全バーを外すところから始まり、ハンマーを引き起こし、トリガーを引くと、赤い火の玉が、銃口から飛び出した。

 シリンダー部分は、回転せず、再びハンマーを引き起こし、トリガーを引くと、火の玉が銃口から飛び出す。

「今のが、火力・一です。火力・二に移ります」

 同じ動作だが、シリンダを一つ動かすと、火の玉が大きくなった。

 同じ動作を火力・六まで繰り返してもらい、どういう魔道具か、理解した。

「この世界ならではの銃なのですね」

「そうだな。よく考えられている」

「銃とは?」

「俺たちのいた場所では、それとよく似た武器を銃と呼んでいたのです。特に手で持つ物を拳銃と呼んでいました」

「そうだったのですね。すでに、同じような物が、存在していたとは!」

「パンジー君のその武器は、大変よく出来ているのだが、重大な欠陥があるんだ。今は二発ずつ試してもらったが、三発で、一つの魔石に貯められる魔力が亡くなってしまう。合計で十八発を撃ってしまうと、その魔道具は、使えなくなってしまうんだ」

「魔石が、シリンダーの中に六個入っているのですね?」

「ああ、そういうことだな。さらに、悪いことに、パンジー君は、魔力量が、あまり多くはない。魔石の魔力が亡くなったからといって、すぐに補充ができない。よって十八発撃ってしまうと、劇的に力を落としてしまう」

「パンジーさん、その魔道具を少し貸てください」

「はい、賢者様」

 シリンダーの開き方は、すぐに分かったので、中を覗いてみると、細かいが、しっかりとした魔法陣が刻まれていた。

 どうやら、シリンダー内部で魔法陣は繋がっており、魔石の位置で、火力が調整されるようになっている。全部を魔力・一にしたからと言って、長持ちするという仕様ではないのは、なんとなくわかった。強弱を調整することに主眼をおいているようなので、強弱合わせて十八発と決められているようだ。

 一度元に戻し、全ての魔力を空にするために、地面に向かって打ち出してみた。

 反動は、ほとんどなく、かなり使いやすい銃に感じた。

 魔力が完全になくなったシリンダーを開き、俺の魔力を注ぐ。

 戴冠では、ほとんど魔力を使った感覚はしなかったが、問題なく全回復した手ごたえがあった。

 三発ずつ、撃っていき、魔力が完全になくなったか再び見てみる。

 やはり、三発が限界のようだ。

 再び補充して、パンジーさんに、返した。

「反動もほとんどないし、良い銃ですね」

「賢者様の魔力が膨大過ぎて、辛いです……」

 一般の魔法士の魔力量が、どれくらいなのかわからないが、俺の魔力量は、よほどの物なのだろう。生体強化、恐るべし。

「その武器の名前は?」

「えっと、火炎筒と呼んでいましたが、賢者様が新たな、名を付けてくださいませんか?」

「なら、魔撃銃というのは、どうでしょう?」

「これからは、その名前で行きます。気に入りました!」

 地球の銃の歴史は、俺が覚えている限りでも、凄まじい物があるが、この世界に、すでにあるのなら、少しくらい発展させてみたくなってしまう……。


「それでだな、彼女を紹介したのは、二つ理由がある。まず一つ目なのだが、君たちは、何かと忙しいのは、十分わかっている。だが、ハンターとして、グランス王国や俺たちのやり方に、ハヤト君は、興味を持ってくれた。それに、まだ王都へ行ってもらう話は、途切れたわけじゃない。そこで、できる限りで、かまわないので、パンジー君から、常識やこちらのやり方を、学んでほしい。パンジー君は、うちの辺境伯家の寄子となっている子爵家の娘さんでな。それなりのマナーやらもわかっている」

「常識を含めた俺たち専属の教官と考えて良いのでしょうか?」

「ああ、そう思ってくれて構わない。それで二つ目の理由は、ハヤト君もアイカ君も、東方の文化圏が出身なのだろう。パンジー君は、さっきはいろいろと言ったが、これでも優秀な魔道具技師でな。彼女に魔道具のヒントとなることを教えてやってほしい。どうだろうか?」

「問題はありませんが、互いの報酬などは?」

「お互いの情報を報酬というのが理想だが、難しいか?」

「それでもかまいませんよ。開示しても良い物と不味い物くらいは、ある程度、わかりますから」

「私も、常識やハンターの指導をするだけで、貴重な東方の情報を聞かせて頂けるのなら、何も問題はありません」

「それじゃあ、話はまとまったということで良いな。何か依頼でも受けてくるか?」

「今日は、半日で終わりそうな依頼があれば、それを受けようと思っていたので、パンジーさんが指導してくれるのはありがたいです」

「早速、お仕事ですね。今からでしたら、無難に常時依頼の薬草採取が良いでしょう。売店に売っている採取セットは、すでに購入済みですか?」

「まだです。売店に行ってから、薬草採取に行きましょう」

「パンジー君、二人の事は頼んだ。戦闘となれば、二人は、凄まじいが、それ以外は、人並みだから、気負わずにやってくれ」

「はい、戦闘は、お二人にお任せします」

「パンジーさんは、私が守ります!」

「アイカもパンジーさんに好感を持ったようで、ひとまずは、安心だな。


 その後、売店で、採取セットを購入して、東門から、街を出た。


お休みしていた理由なのですが、エアコンが壊れてしまい、PCを使った作業が、やり辛くなっていたのです。

室温が三十五度以上に昼夜問わずな状態だったので、体調も壊してしまいました。

虚弱な私も困り者なのですが、何なんですか!この暑さ!!無事にエアコンを購入し、設置も終わり、体調も回復しました。

まだまだの物語ですが、これからもよろしくお願いします♪


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