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青狐ナキの異世界生活  作者: 翁坂 咲凪
7/7

07・紙一重のダメな方

思ったように話が進まんとです。

文字数だけが増える増える。

アニ様によると先代様は直感幸運補正型。

いや、そんなん無理に決まって…、上手くいくんかーい。ってタイプ。私が要約すると。



運に運が重なる運によってなんか上手くいく。

上手くいったからといって誰も不幸にならない訳ではない。



その辺で取れた海老で鯛を釣る。大きな成果ではあるが、海老としてはたまったもんじゃないのである。

犠牲無しで得られる物などないと言えるのは、

自分が犠牲にならない位置にいる場合が大半だろう。

お前で鮫を釣ると言われて、はい喜んでーとはならんのだ。



そして先代の最後の海老がスーちゃん達だった。

彼女たちは私たち今回呼ばれた地球人とは違い死んでからではなく、ある日突然生きるはずだった生活から切り離された。

まさに神隠しといったところだ。



(そして女神ネルパトラは死んだ勇者について行くため、女神の力と記憶を捨て転生しました。情熱的ですよね。ハハッ)



疲れたようにアニ様が笑う。

愚痴やら何やらの回り道でようやくたどり着いた質問の回答は想像の斜め上を行った。

流石勇者っ、女神まで落としたんか。

あらゆる意味で勇者や。



となみにもう5分なんて全然過ぎてるが、追加でジュエルを取らないと言われてる。



先代の交代理由も聞けたし、本題に入ろう。

そう、私は別に交代理由を聞くためにアニ様を呼んだわけではないのである。

ちょっと気になるし聞いとこうぐらいの軽い気持ちだった。

かくかくしかじかですよ。へー。で終わるはずだたのである。



そして本題は



(私の世界の物語やゲームでは、精霊って高位?になると実体化したりするんですけど、聖女様は実体化したりできないんですかね?)



スーちゃんどうにかなりませんかねって話だ。



結局実際聖女さんを見てみないとわからないと言われたので、夕食の時にもう一度呼ぶことになった。

精霊は私たちが見えてないだけで結構いるらしく、この人ですって言わないとアニ様には判別がつかないらしい。



ではまた後でと終わって、私は猛然と魔物を狩った。

うおおおお、時間押しまくりじゃーーーーい。



とにかく目につく魔物を銃で撃つ。

パスと両方の銃が繋がっているので右で撃つか左で撃つかと考えなくていいのはかなり楽だ。



さらに攻撃力を上げると、Eラン2体でも安定して勝てるようになる。

3体いたら死にもの狂いで逃げるけど。

ゲームみたいな上から視点なら倒せるかもしれないが、ただの私の目と動体視力では、後ろ行かれると余裕で見失う。

ゲーム視点ってスキルも作っとくべきだったかなー。



狩って狩って狩りまくり、空が赤くなってきたのでEランからジュエルが出るまで倒し、Fランしかいない場所に移動する。

Fランも11体ほど倒すとポロっとジュエルが出たので本日の営業は終了だ。

もう数も数えず狩ってたけど、ジュエルが出たのできっとキリのいい数字になっているでしょう。



アイテムボックスを確認してみると

Eランクは

ステップキャットが56体

シャドウスネークが32体

ノイズバードが72体

合計160体か。キリよくも無いけどいいや。


Fランクは

ジャイアントフロッグ224体

ハングリードッグ252体

スライム24体

合計500体か。



昨日より少ないけど、この後予定あるから暗くなるまでっていう分けにもいかないし、明日から頑張ろう。

うん、明日から。



ジュエルは12個ATK上げに使ったが8個残ってる。

今んとこ必要な能力は手にいれたし、いざという時の為にストックしとこう。



あ、電源タップ買っとかなきゃなー。



**********



ギルドでもろもろを済ませ、宿に向かうと建物の前でスーちゃんがフヨフヨ浮かんでた。



「待たしてごめんよー。先部屋に行ってて」



「ううん、今来たとこー。なんつって。んじゃ、直線距離でお邪魔してるね」



「何食べたいか考えといてくれると嬉しいなー」



「えっ、いいの?まっかしといてっ」



カウンター前をスルーして部屋に向かう。

鍵?ありませんよ?

基本的に外部の人間はカウンターフロアまでしか進めない。

だから警戒の必要がないのだそうな。絶対の自信があるね。



基本空きがある場合部屋お開けて案内するから部屋間違いもないそうだし、違う部屋を開けた瞬間、肩をトントン叩いてお間違えですよってスタッフの方が教えてくれるって。

悪い事する気とか全然ないけどこっわと思った。



部屋を開ける前にジュエルを使ってアニ様を呼ぶ。

変に期待を持たせるだけになるのも嫌だから、はっきりするまでスーちゃんに復活云々の話をするつもりはない。



「おかえんなさーい」



部屋に入ると可愛い精霊さんが出迎えてくれた。



「ただいまです。あんま時間なかったけど決めれた?」



「うん、うなぎー」



「うなぎときたか。いいねー、思いつかないけど言われると超食べたい。天才かな?」



(彼女は正確には精霊ではありませんね、魂の回収は済んでいるはずなのに、ジュエルシステムは生きています。システムが生きている以上実態を持つことは可能です。ですが、彼女が力をもって、つまりナキさんが言うところの高位になって実態を持つのではなく、彼女の入る器を作る形になりますが)



「でしょでしょ。こっちの魚見た目凄いから。魚とか滅多に食べなかったんだよね。もうほんと魔物って感じで。や、まぁ、お肉も同じだけどね。魔物のお肉だし。でも魚の絵面がほんとにヤバくて」



(あ、器を作るっていうとなんか大事みたいですが、いや、大事じゃないわけじゃないんですが、今のナキさん達も器を作ってからその中に魂を入れ込んでます)



「え、こっちの魚まだ見てないんだよね。心の準備して見るわ」



(ですから技術的には問題ありません。ですが、最早今の聖女さんは新種の生命といっても過言ではありませんので、定着にそれなりのジュエルが必要になるかと。具体的には1万2千個ほどでしょうか。けど如何せん前例がありませんので、確実にそれで足りるとは、申し訳ありませんが断言ができません。念のため3千個ほど多めに用意していただくのがいいかと思います。もちろん余った分はお返しいたします)



思った以上にハードルが高かった。今言ったところで復活さしてあげれんの数年後じゃん。

や、でも、復活とか全然興味なーいって言われたら貯める意味ないしな。



「それがいいよ。や、水棲生物ってだけで魚に分類されるかも怪しいけど」



(それよりも、魂の抜けた残留思念の集合体でありながら明確な意思を持ち、淀みの影響による悪霊系魔物化もはねつけている。この男そろそろ精霊かも間近かもしれませんね)



「男っ?」



「え?いや、あれの雄雌を見分ける能力は私には無いけど」



違うそうじゃない。

なんか聞き捨てならん話が聞こえたぞ。



(男って何ですかアニ様っ)



(ああ、見えていないのですか。それは幸いでしたね。聖女はちょっとヤバいやつに取り付かれてます。地球に感性では、守護の方向に力を使う思念体を守護霊と言うんでしたっけ?そう考えるなら一応守護霊ですね。自力での精霊化なんて史上3人目ですね)



(見える様に出来るんです?)



(見えない方が幸せだと思いますよ?)



(見えないまま近くに居られる方が怖いですよ)



「ナーちゃん。おーい、ナーちゃんやーい」



急に黙り込んだ私に、スーちゃんが呼びかける。



「心して聞いてねスーちゃん。今女神さまから聞いたんだけど」



「めぇがぁみぃー?信用できるんですかねー?」



「女神様アレルギーは今だけ抑えて。なんとスーちゃんが、あんだけ情熱的に愛してくれるならお嫁さんになってあげてもよかったな、きゃっ。って言ってたガラムさんなんだけど」



「ちょっとっ、そんな言い方してないでしょうよっ」



「要約するとこんなもんじゃろがい。ガラムさんなんだけど、なんとストーカー、あ、間違えた。スーちゃんの守護霊やってて、時間経過経験値貯まって精霊に進化しそうだって」



(時間経過で進化ですか。間違いではないですが、すごいまとめ方ですね。見たいならナキさんだけなら15個、聖女さんもなら…、そうですねぇ、40個ほどジュエルをいただければ可能かと)



「会いたい?会いたいなら今から死ぬ気で魔物狩って来てあげる。40個でいけるって」



「いやいやいやいや、会いたくないわけじゃないけど、夜はやめなさい。ひよっ子がナマ言ってんじゃねーわよ。や、気持ちは死ぬほどありがたいわよ?生きてないけど」



「わかったー。そうだね確かにちょっとテンション上がりすぎてた。明日朝からちょっぱやで殲滅してくるから。待っててスーちゃん」



「いや、私だって聖女やってたのよ?初期のジュエルがどれだけ貴重か知ってるし、そんなナーちゃんに全く特の無い事に今すぐ使えとか思わないわよ。余裕がある時、そうしてくれたらとてもとても感謝するわ」



「スーちゃん任して。にわかに分類されるゲーマーとはいえ、マラソン技能なんて初期スキル、ゲーマーは誰でも持ってるんだよ。ある時はイベントアイテムやキャラの為のマラソン、またある時はレア泥の為のマラソン。ご褒美を吊るされたゲーマーの底力をお見せしようぞ。ドロップ補償ありの、特殊個体とかでも無い無限湧きの雑魚泥なんざヌルゲーもヌルゲーでござるぞ。ふおおおおお」



「やだやだ、ナーちゃん帰ってきて。怖い怖いナーちゃん、ほんと戻ってきてナーちゃん。そう、うなぎ。うなぎ食べよナーちゃん。なああああちゃああん」



「ごめん、ちょっと熱くなってた。そんな感じだから大船に乗った気でお任せあれだよ。さー、今日はうなぎじゃー」



パウチされたタレしみしみのウナギを二人で食べる。

まだしなくていいと言っていたスーちゃんは、それでもやっぱり明日となってしまえば嬉しそうで、ほんと愛い奴めと思った。



**********



今日は流石に眠すぎて、早めに解散させてもらった。

お風呂も入ったし、後は寝るだけの状態だ。



ゲームを始めたら覚醒する己を理解しているので、ゲームも取り出さずに布団に潜り込む。

だが、一向に眠りが訪れない。理由は分かっている。

己の醜さへの嫌悪だ。

私は今彼女に実態が持てることを伝えなくてもいいのではと悩んでいる。

意識はしていなかったが多分私は、彼女という前衛をあてにしたかったから彼女の実体化を考え付いた。

彼の存在を知って悩むということは、きっとそういうことだ。



「あー、もう、なんじゃそりゃ。やだなー、もー」



知り合いがみんな死んでいる彼女は、自分と一緒に戦ってくれる。

これから親しい人ができるかもしれないが、今は一番親しい私の力になってくれるという打算。

寂しい彼女に救いをなんて、言葉だけで、献身などには程遠く、偽善であるかも疑わしい。



「自分が善人だとも思ってなかったが、こんなクソだとも思ってなかったなー。はぁ」



だって思ってしまうのだ。彼の存在があるなら、彼女の幸せは完成する。

実体化なんて必要のない物だろうと。

自分に都合のいい考えが、言い訳が、浮かんで浮かんで止まらない。

きっと触れ合うこともできないのに。

100年近く会って1度も彼女に彼が触れようとしないわけがない。

それなりにいるといった他の精霊とも彼女はきっと1度も触れ合えてはいない。



目指していた夢から、それどころか世界から攫われてなお、死ぬまで頑張って頑張って生きた彼女に、友人だなんだと言いながら、私は、迷っている。



(好きだと思ったこの感情も、自分ごと彼女を丸め込む為の点数稼ぎか?)



私が好きだったのは、私以外いない彼女だったのだろうか。

ああ、きっと、そうなのだ。

恋をし、愛を手に入れた彼女を、私は今までと同じ位置まで受け入れられないのだから。

裏切られるのは怖い。切り捨てられるのは嫌だ。

であるならば、怖くない程度に、痛まない程度に、心から柔らかく締め出す。

それが何より今までの私を守ってくれたから。そしてこれからも、きっと。



**********



「はあぁぁあ、朝日がまぶしいぃ」



結局明け方にねむりについた私は、カーテンの隙間から差す朝日にたたき起こされている。

カーテンちょっと閉め方甘かったっすね。



まだ鐘の前だしぃ、と布団でもぞつく私にさらに追い打ちでノックが響く。



「ナキ様、おはようございます。ライナー様がロビーにてお待ちになっておりますが、いかがいたしますか?」



扉の外からかけられた言葉に、私は2度寝を諦めた。

ライナーさん、早すぎません?



頭をクシでできるだけまとめてヘアゴムで縛る。

ヘアセットは朝風呂の後派なんですよ私は。



昨日放出しすぎてかなり少なくたっていたアイスを追加で買い、部屋から出る。

思い出してよかったー。



「申し訳ありません。まだお早いとは思ったのですが、起きていらっしゃるようでしたので、一応お伝えするだけお伝えしようかと」



明らかにすっきりした目覚めを迎えていない顔の私に、アレシアさんが申し訳なさそうに言った。

え、寝てるか寝てないかわかるんですかそうですか。



「いえいえ、お客様を待たせるのも悪いですし、とても助かりましたよ」



お宿の方たちは朝からシャキッとしててすごいですね。私風呂入らないと今一頭が覚醒しなくてと、世間話をしながらロビーに向かうと、足を組み優雅に椅子に座るライナーさんが見えてきた。



「おはようお嬢、いい朝だな」



明らかに眠そうな私にニヤリと笑ってそう言ってくる。



「ライナーさんが朝早いタイプだとは知らなかったです。まだギルドも空いてなくてお金も受け取れないんで、少し待っていただけますか」



「おう、目覚ましの魔道具なんて使ったの3年ぶりくらいだわ。早く来すぎたのは自分でも理解しているからかまわんが、朝早くから態々料金受取のお使いに来た俺にきっとお嬢はお駄賃をくれると思っている」



「…、はぁ、どの味がお好きです?」



「アレの美味さに優劣などないな」



「さようで」



とりあえずでワシリと掴んだ分を渡した。5個かな。

嬉しそうにしているライナーさんに風呂に入ると伝えて準備をした。

ギルド開いてないからこれ以上どうしようもないのだ。

鐘が鳴るまで後半刻、30分だ。急いで準備しましょうね。



とっとと準備をし鐘が鳴る前に再びロビーに戻った私が、飲んでいなかった風呂上がりのコーヒー牛乳をついでに飲むかとライナーさんに聞いたら、目を血走らしてこれも買いたいと言われた。

もちろん確信犯だ、ふふふ。異世界に森〇党をいざつくらん。



そんなこんなわちゃわちゃしてる間に鐘が鳴ったので、ライナーさんとギルドに向かった。



「これは、珍しい組み合わせですね。おはようございます、本日も昨日の魔物の換金でよろしいですか?」



「おはようサーラ。今日は取り立てのお仕事をしてるのさ」



「おはようございます、サーラさん。はい、換金をお願いします」



「かしこまりました、準備はできておりますので少々お待ちください。…、ライナー自ら取り立てだなんて、珍しいこともあるものね。しかもこんな時間に」



テキパキ換金の準備をしながら、気のない風で聞いてくる。

気のない風で(・・・・・・・)

んおぉう、おい、もしや、これ…は。



「ああ、金はともかくすぐにでも払ってほしい魅力的なブツがあってね」



「ふーん、朝にあなたを見たのなんか2年ぶりくらいじゃない?ずいぶん魅力的なブツなのね」



嬉しそうなライナーさんと拗ねたようなサーラさん。

おいおいおいおい、このカップリングは予想外だったわっ。



「ああ、すっごくね。手に入れたら君にもわけてあげるよ」



「あら、魅力的で貴重なんでしょ?いいの?」



「ああ、サーラになら」



あ、機嫌直った。

そんな感じで観察していると手続きが終わって無事換金MCを手に入れられた。

話してても微塵も手は止まってなかったからね。

や、客の前で痴話喧嘩モドキ繰り広げんのはどうかと思うけど。まぁ、私は楽しかったけど。



あれ、でもどうやって支払うんだ?と思っているとライナーさんがマジックバッグからなにがしかの魔道具を取り出した。

魔道具も気になるけど、そのバッグもしや。

そう思ってバッグをちらりと見た後ライナーさんを見つめると、



「昨日あらゆる伝手を使って手に入れた」



と、のたまった。昨日の今日とは。

アイスの為じゃなかったら震えるほど有能だったな。



取り出された魔道具にクリスタルを近づけると、昨日の払っていなかった分から10万分引かれた数字が出てきた。



「残りの10万はアレで払ってくれ」



「5個でよろしいですか?」



「おい、それは昨日謝っただろっ」



「流石に10万分もすぐに用意できないです」



「おう、だろうな。手に入り次第宿の奴にでも届けさせてくれ。チップは俺が払う。取り合えずあるだけ売ってくれや、あるだけな」



目がマジだ。ああ、糖分。恐ろしい子。



「いいですけど、とけません?」



「配達用のマジックバッグがあんだよ」



「そうなんですね、了解しました。あ、深い意味はないんですが、普段はどんなお菓子を召し上がっているんで?」



「ん?糖分博士である俺様のおすすめが知りたいのか?各地から取り寄せるからなぁ、ここらへんだとドライフルーツくらいしかないぞ?2日前までの1番ならこれだな」



ばら撒いて恩を売ろうと持ってきたんだとアイテムバッグから焼き菓子を取り出した。

この世界では甘味は貴重なので割と万能な賄賂になるそうな。

ひとついただいてみると、オレンジが練りこまれてるらしき、やっさっしっいっ甘さのお菓子だった。



「割と有名店の人気のあるもんなんだが、まぁ、アレを食いなれてるお嬢ならその表情だろうな」



特に感動もなく食べる私にライナーさんが笑う。



「オレンジが好きなんです?」



「ん?まぁ、好きだな。なんださっきから。甘味じゃなくて俺に興味があんのか?流石にまだはええなぁ、10年後に来いよ」



ニヤニヤ勘違いをし始めた阿呆にまじめに好みの物を出してやろうという気は失せ、あらかじめ自分用に買っていた一番高いアイスを渡す。2つ。

ちゃんとあの背の高いお兄さんにもあげてねっ。

あ、後今ある例のあれも10箱渡そう。



「こちら、今回は差し上げます。次回からは500MCでいいですよ?」



前の世界からご褒美で食べていた私のとっておきブリュレアイス。

クレームブリュレってだけですでに神がかった旨さなのに、アイスにするなんて。

あなたが神か。

初心者はシンプルにして王道ミルクから始めればいいじゃない。

キャラメルなんてひと月早いわっ。

まぁ、カップだからすぐに食べれないだろうが、戻って衝撃を受けておくれよ。



「500ねぇ。サイズ感が違うとはいえ、ずいぶん金額に差があるじゃねぇか。アレは下級の物ってことか?」



「まぁ、アレはお高いものじゃないですけど世の中最高級じゃなきゃ不味いってことも無いでしょう?アレはアレで不動の鉄板アイスなんですよ。うなるほどお金のある人でも、食べて美味しいと思うかと。私個人の感想ですが」



「別に責めてるわけじゃねぇよ。あんな旨いもんが手軽な方の商品なら、最高級はどこまで行くのかと思っただけだ。取り敢えずいただくぜ」



そう言ってどこからともなくスプーンを取り出した。

ど っ か ら 出 し た



「こ、これが25倍の旨さかっ」



そして私が驚いてる間のもう食べて、旨さにおののいている。



「お、おい。これもあるだけくれよっ」



あっという間に商談成立だ。ほんとチョロいな。



「でもまぁ、確かに、アレにはアレの旨さがあるな。両方手にいれたら手にいれただけ持って来させてくれや」



そうでしょうそうでしょうっ。

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