表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/7

File03 dew remaked

 その3週間後、全ては始まった。

”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”

 この文字列が、2ちゃんねるを再び席巻し始めたのは。


”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”

”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”

”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”


 それは、利夫の仕掛けた速さを、はるかに越えていた。


「これって、合法よね?」

 一人の女が、パソコンを見ながら言った。そこは、どこかの地下室かのように、そして照明は控えめであるのか、薄暗かったが明るいことには変わりなかった。

「それは、君の頭に任せるよ」

 椅子に座っている女のかたわらに立っている男は、そう言った。

「そうですか」

 女の人は、それだけ返すと、エンターキーを押す。


”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”

”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”

”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”


「しばらくの間、パソコンはフリーズ状態になるのですが」

 女が言うと、男は笑い出した。

「そういったループならフリーズくらいするさ、ループを終わらす条件は?」

「はい、カテゴリの半分程度です」

 女はそう言うと、席から立つ。周りには、たくさんの男女が混ざって、女と同じように、席に座ってパソコンを触っていた。

「マハール様」

 マハールと呼ばれたその男は、にっこりと女を見る。

「さて、あと2、3日もすれば、警察も動くからね〜、その前にちょっとした準備をしておかないと」

「そうですね」

 マハールの気楽そうな顔と対比的に、女の顔は暗かった。いや、まじめだった。

「とりあえず、君に殺してもらおうかな?」

「はい・・・・・・」

 女は、しばらく深呼吸する。

「私は殺すのはあまり好きではありませんが、マハール様のご命令とあらば」

 女はそう礼をすると、歩き出した。ドアを開け、部屋を出るのを見て、マハールは、先ほど女の座っていた椅子に座る。

「すばらしい・・・・・・!全ては、3週間前の荒らしから起草した・・・。すばらしい芸術・・・、むしろ感謝したい、あの少年には」

 マハールはそう言って、笑い出した。

「明日の朝ころには、あの少年は死んでいるだろうね」

 そうつぶやき、立ち上がる。


 その少年、霧間利夫は、学校の授業中に、窓の外を眺めていた。

 パソコンを禁止されてからかれこれ3週間。疲れた。利夫は、窓の外で、運動場、他のクラスの生徒達が思いっきり走っているのが見えた。そうして、利夫はもう一度ため息をつく。

「霧間」

 数学の先生の声がしたので、利夫はあわてて前を向く。

「せっかくだからこの問題に答えてもらおうか」

 先生にそう言われ、利夫は、ゆっくりと立ち上がって教壇へ歩いて行く。そうして、白いチョークをつかみ取ると、黒板に書かれている問題に、すらすらと解を書き始める。

 そうして書き終わった時、数学の先生は不満そうな顔をして、利夫に声をかける。

「いくら簡単だからって、授業はちゃんと聞いておくものだぞ、義務教育である以上」

「はい」

 利夫はいつもの生返事をして、席に戻る。先生は、利夫のそのなれた手つきを見て、はあっとため息をつく。

 授業が終わると、利夫の席にたかしが寄る。

「やあ」

 孝はそう言って、持ってきた弁当を、利夫の机の上に置く。

「今日もかよ」

 利夫は、にこっとしてそう言い、自分もかばんから弁当を取り出し、孝に追従して開ける。

 パソコンをしない生活にも、すいぶん慣れた。利夫は、再三、窓の外を眺める。

「こんな生活も、悪くはないな」

 利夫がつぶやくと、すぐさま孝が尋ねる。

「え?」

「あ、いや、何でもない」

 利夫はそう言って、弁当を食べはじめる。


”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”

”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”

”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”


 着々と、その書き込みは、増えていった。

 そうして、それは、利夫の荒らしの時とは違い、レスだけではなく、新しいスレも立てるのである。しかも、利夫の時と比べて高速であり、必然的に、そのカテゴリの掲示板は、503エラー万歳となった。

 しかし、利夫とは違うやり方で、直接サーバーのコンピューターをハッキングして「デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」と書き込むプログラムをサーバーのコンピューターから起動させているため、妨害するほうは503エラーを心配する必要はなかった。もちろん、ディレクトリパスやログの保存形式は、前もってハッキングして掌握しているため、それは用意周到かつ高度な荒らしとなった。


”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”

”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”

”デューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”


 パソコンというものは、非情にも、言われたことをやる、ただそれだけの機械である。したがって、それの善悪は、感情がない限り区別ができないのである。

 〜To be continued


 この小説には専門用語がいくつか(いくつかというレベルではないのですがとにかくたくさん)出ていますが、お手数ですが僕は説明が苦手なので、その都度調べていただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ