ヤケクソ!ツナ村攻略戦 その1
「魔族が何の用だ!」
「そうだ!出て行け!」
ひどい言われようだ。石くらい飛んできてもおかしくないほどに罵倒されている。
まぁこの見た目で石をぶつけてくる馬鹿は流石にいないだろう。
「どうしますか?王。私達も微弱ながら魔法は使えます。」
「ここの連中を...殺すくらい...簡単。」
「二人ともいきなり物騒だな!いいよ!別に殺さなくて!ただでさえ魔族のイメージ悪いみたいだし今死人を出したら余計面倒になる。」
あぁどうしたものかどんどん村人が集まってきてるし今から魔王城に戻ったところでなんの解決にもならないだろうしなぁ
とりあえず駄目元で色々試すか...。
「すいませんが、ここの村長さんはいませんか?話がしたいのですが?」
「ふざけんな!そういって村長を殺すつもりだろ!」
「魔族の言葉なんて信用できるか!」
村人血の気が多いな。
たしかに姉妹の言った通り村人を全滅させる事なんて楽勝なんだろう。
俺も最強の力を1度は試したいし。
でも出来ることなら話し合いで解決しておきたい。
「あのですねぇ。俺は出来ればこの村に死人を出したくないわけでぇ...」
「みんなー。下がっていろ!」
村人の群れの奥から鎧をまとった集団が出てきた。
「俺たちが来たからにはもう大丈夫。このミカサ勇者隊一番隊隊長マック様に任せておけ。」
あぁ、間に合わなかった...
なんか滅茶苦茶めんどくさそうな奴が出てきやがった...。
「おぉマック様!」
「マック様だわ!」
「もう安心だ!これで助かった!」
村人達が歓喜の雄叫びをあげていた。
「やい、そこの魔族。よくどうどうと来れたな。ここはシルフ国直属のツナ村だぞ。俺に出会ってしまった自分を呪うんだなぁ。」
『強制戦闘イベント』
俺の頭によぎった。
まぁ最強の力とやらを試すいい機会なのかもな。
とりあえずこいつを黙らせてから次考えよう。
「村人達、部下達よ下がっていろ。この魔族は俺一人で十分だ。」
マックはすでにジュンペイに剣を構え臨戦態勢に入っていた。
「来ないのか?こっちから行かせてもらうぞ!魔族!」
来る!俺が身構えたその瞬間ある異変に気づいた。
え?遅くない?なんだ?舐めプってやつか?
ハエが止まるとはこのことなのか?
マックって野郎が剣を抜くまでは普通に動いていたのに、そこから俺との距離たった数歩をつめるだけでどれだけの時間がかかっているんだ?
死の間際全てのものがスローモーションに見えるとか走馬灯が流れるというやつではなく、全てのものが遅くなっている。
俺以外の全てがスローモーションになっている。
これがもしかして最強の力というやつなのだろうか?
マックが俺に到達するまでまだ余裕があるので、俺はどうやってこいつを倒そうか考えていた。
漫画などで相手の頭を掴んで地面に叩きつけて倒す方法。
現実世界で生きていて絶対にやることのない漫画のワンシーンをせっかく異世界最強のなんだからやってみよう。
初めてだから上手く決まるか緊張だ。
マックは誰にも負けない絶対的自信があった。
勇者ミカサ様に
「剣術だけならマックに敵うやつはいないよ。」
と言われたこともあるのだから。
前回の魔族討伐戦でも一番手柄を上げたのだ。剣術においてはシルフ国では自分が最強だと自信があったのだ。
こんな女連れの魔族なんぞ朝飯前だ。
「滅びよぉー!魔族ベッッ!」
さっきまでマック隊長がいたはずところでマック隊長が逆さまになり頭が地面に突き刺さっていた。
「マッマッマッマック様!!」
部下の兵士が急いでマックを地面から掘りかえす作業に入った。
「やべぇやりすぎた。」
マジか女神の力のせいか腕力とか俺のステータスが凄いことになってんだな。
地面に叩きつけるつもりで思いっきりいったら地面に頭を埋め込んでしまった
「さすがです!ジュンペイ様!」
「カ...カッコいいです...」
「え?ホント?俺カッコよかった?」
「はい!私達がやっと目で追えた速度ですから人間達には何が起きたかなんて見当もつかないと思いますわ。」
「凄く...速かった...一瞬で頭...埋まってました...。」
「そうかなぁ?」
女性2人からこんなにカッコいいなんて言われたのが初めてで今異世界に来て良かったと心の底から思えるほどに嬉しい。
異世界のバランス崩れるほどの最強の力くれてありがとう!女神様!
俺はこの最強の力をこれからもフル活用していきます