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「どなた様でしょうか」
奇しくも、かの隣人との初対面のときと同じ台詞を吐きながら、細めた双眸をさらに細め、こちらを一心に見つめるその視線が、私にはとても犯罪者のものには思えず、むしろこちらが萎縮してしまうほど純粋なものに見えた。
「不躾な対面で誠に申し訳ないとは思うのですが、かつて磯山さんの隣に住んでいたものです」
そう言い終えるが早いか、彼の極限まで細められた両目はカッと見開き、口はあんぐりと開いてしまった。私はどう続けたらよいものか悩み、結局、彼を喫茶店まで誘うことにした。彼は無言でそれを了承し、私の後を付いてくる。
近場の喫茶店はその立地や時間の都合もあり、まだ空席の目立つ状態だった。私たちはあえて人目につきづらい奥のテーブル席に腰を下ろし、改めて対面するのだった。注文を聞きにきた店員にコーヒーを二つ頼んで「奢りますので気になさらず」と彼に言ってからしばらく沈黙が続いたのは、もちろん、お互いにとって、これが何をも隔てぬ初対面にあるのだから、仕方のないことであろう。




