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果たして服役を終えた人間に会うときに相応しい服装というものはいったいどういったものなのであろうかという疑問に喘いだ末、結局はいつものような軽装に身を包み彼が服役していたという刑務所の前まで行った。朝はまだ早くましてや秋だというのに照りつける太陽の鬱陶しさはこの上なく、まさか昼に近づくにつれこれ以上に暑苦しくなっていくのかと想像するだけでため息が落ちた。
幸か不幸か、いや、私にとっては前者であり彼にとっては後者なのであろう、私のほかに彼を待っていると思しき人間の姿はひとつもなかった。八年もの時間をこの中で過ごしたのにも関わらずそれを迎えるのが家族でもなく友人でもなく見ず知らず、一方的に自分を知っているだけの私であるというのは、彼にとってはいったいどれほどむなしいことであろうか。私の想像の埒外の話である。
出てきた男は目の前に立つ私の姿を認めると立ち止まり、訝しそうに見つめてきた。私は少しでも気安さを演出しようと軽く会釈をすることによりそれに応え、一歩また一歩と、彼と同じようにこの日を待った八年の重みを踏みしめながら、近づいていった。




