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私はその日の午後には参考人として警察に赴き、事件のあった時刻のことを散々問われた。私は正直に、とはいっても覗き窓から見たことはうまく誤魔化しながらではあるが、全てを話した。時間は分からないが恋人と思われる男が部屋に入るのを見ただとか、その後一度部屋を後にしたが何分かして戻ってきたようだだとか、そういったことを警察に告げるのである。
最近の警察というのは世間にどう思われているかはともかくとして、優秀なものだった。私が召喚されたときにはすでに、例の文学青年の写真を手元に持っていたのである。
「君が見たのはこの男か?」
彼の写真を見せられそう問われたときは驚いたものだが、素直に頷いた。
「その男に違いないと思います」
「そうか」
とそれ以上多くは語らなかったが、こちらにもいくつか質問する権利くらいはあるであろうと思い、
「一体どうして彼女は、磯山さんは亡くなったんですか?」
「どうして、というと、動機の面なのかな。それはまだ私にははっきりとは分からないが、この男が恋人であるということから想像するに、恋愛のもつれなのではないかと思うよ。死因の面で言うのなら、頸部圧迫による窒息死だ。扼殺、というやつだね」
「扼殺」
「右手でね。ずいぶんと力ずくに絞めたみたいだ。抵抗したみたいだがむなしく、と言ったところだ」
私のこのときの衝撃は、ほかに類を見ない程度のものであった。




