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二人は私が初めてその密な間柄を認めたその日以降、一層親密になったらしく、男の訪れる回数はだんだんと増えていき、泊まっていくことも珍しくはなかった。二人はどうやら本について話をしたり、共通の友人について花を咲かせているようである。いわゆる「夜の営み」の回数はさほど多くなかった。むしろ少ないのではないかと思われるほど、稀であった。ぼんやりとではあるがその理由を想像できていた私は、その時々の気分によって姿見を閉じたり、あるいはそのまま覗き見、恥ずかしながら自慰に耽って背徳感を覚えたりしていた。二人は幸せのようだった。私はそれを覗くことでもはや満足しつつあったのだ。
夏が終わりに近づいたころ、異変が起こった。相も変わらず隣室を覗いていた私は、そこに例の恋人以外の男が一人でやってくるのを認めたのだった。その男は恋人とはまた違った風情の、恋人が文学青年であるならばこちらは体育会系というほどの違いのある男で、なんと言うことであろうか、隣人はその男にも体を委ねるときがあったのだ。うぶな私には何がなにやらさっぱり分からない出来事だった。あれほどまでに幸せそうにしていたのにどうして他の男にも? という疑問は、それこそ湧き水のように絶えず心中を満たした。私はショックでしばらく寝込んでしまいそうな体を何とか大学へ通わせていたが、それもこの体育会系の男の厭らしく歪んだ口元や隣人の満更でもない表情を夢にまで見るようになって、叶わなくなった。覗き窓を開けることも少なくなり、それが恋人であろうと違う相手であろうと、来客があるとすぐに閉ざすようになったのだ。




