表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第三者  作者: 枕木きのこ
手記
12/21

12

 二人は私が初めてその密な間柄を認めたその日以降、一層親密になったらしく、男の訪れる回数はだんだんと増えていき、泊まっていくことも珍しくはなかった。二人はどうやら本について話をしたり、共通の友人について花を咲かせているようである。いわゆる「夜の営み」の回数はさほど多くなかった。むしろ少ないのではないかと思われるほど、稀であった。ぼんやりとではあるがその理由を想像できていた私は、その時々の気分によって姿見を閉じたり、あるいはそのまま覗き見、恥ずかしながら自慰に耽って背徳感を覚えたりしていた。二人は幸せのようだった。私はそれを覗くことでもはや満足しつつあったのだ。

 夏が終わりに近づいたころ、異変が起こった。相も変わらず隣室を覗いていた私は、そこに例の恋人以外の男が一人でやってくるのを認めたのだった。その男は恋人とはまた違った風情の、恋人が文学青年であるならばこちらは体育会系というほどの違いのある男で、なんと言うことであろうか、隣人はその男にも体を委ねるときがあったのだ。うぶな私には何がなにやらさっぱり分からない出来事だった。あれほどまでに幸せそうにしていたのにどうして他の男にも? という疑問は、それこそ湧き水のように絶えず心中を満たした。私はショックでしばらく寝込んでしまいそうな体を何とか大学へ通わせていたが、それもこの体育会系の男の厭らしく歪んだ口元や隣人の満更でもない表情を夢にまで見るようになって、叶わなくなった。覗き窓を開けることも少なくなり、それが恋人であろうと違う相手であろうと、来客があるとすぐに閉ざすようになったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ