11
他にも、女友達は何人か訪れるようであった。日ごとに隣室を覗く時間が短くなっていくのは、当時の私には鬱憤のたまることだった。どこかで、彼女を私だけの存在にしておきたいとでもいった強欲さがあったのだろうと思う。
初めて男の姿を認めたのは、七月に入ってからで、そこには前述の女友達も数人いた。どうやら飲み会のあとの流れで訪れたようで、どこかへべれけな様子だった。私は衝撃に打ちのめされた。あの美しく完璧な隣人が、状況が状況ではあるが、男を連れ込むなんて想像だにしていなかったのである。しかも、そのうちの一人とはずいぶんとなにやら親しい間柄に見えるのである。私はこの来客の時だけ、姿見を閉じることなく観察を続けた。
やがて一人が部屋を去り、続けて一人、また一人、と部屋を去り、最後に残ったのは隣人と、親しくしていた男の二人きりだった。親密な空気の中、接吻が交わされ、もつれるようにベッドになだれ込んだときには、私は思わず、叩きつけるように姿見を閉じてしまったものだ。
しかしその憤懣も、一週間も経つとすっかり落ち着いた。むしろどこか安心したような気分にさえ浸っていた。というのも、あんなにも美しい女性に恋人の一人も居ないほうが不自然であり、なおかつその恋人と思しき男が彼女に相応しく美男であり、よく思い出すうちに完璧な彼女ならではこそ選びうる人物に思えたから、私の出る幕など到底ないのである、と納得したのだ。そう納得してからは、むしろ親心とでも言うような気持ちでこの二人を観察するようになった。




