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異属性 魔法都市 リクト アクトの街は、24時間眠らない街である。



ラポールスクールは、小等部、中等部、高等部に分かれている。

スクールはエスカレート式になっており、特に成績も関係なく、高等部からは、希望で寮にすむ事ができた。

ディアナ・オーリムは、その高等部に通っている、第四学院生。年齢にして19歳。


自宅があるテーペン地区から、さほど遠くはないけれど、ディアナの希望によって、高等部から寮に入ることになって、四年目。

緩やかなウエーブのかかった栗色の髪に、二重瞼の目。性格は明るい、高等部に入って同じコテージになった、親友、サーシャと二人暮らし。

ラポールスクールは登校の時間制限がない。

システムは24時間動いていて、早朝から昼時、そして深夜、いつだって登校するが可能。学院生の学びは、家系から譲りうけた、属性魔法の習得。


この日のサーシャの予定は、確か朝から仕事の予定が入っていたはず。その証拠に、リビングのテーブルの上には、彼女からのメモと、作って置いてくれてた、ディアナの分の朝食があった。

ディアナは椅子に腰かけると、昨日、サーシャが焼いていたクロワッサンをつまみながら、サーシャ特製のトウモロコシのポタージュを温めた。ひとつめを食べ終わる頃、ディアナはポタージュをテーブルの上におき、残りのメモを読みながら、冷蔵庫からサラダをだした。

「さすが、サーシャよね」

彼女が、朝早くから仕事に行くときは、決まっていつも朝食を用意してくれている。

特にディアナは、サーシャの作る、このクロワッサンが好きでたまらない。この食感と香り。何度が教えてもらったけれど、同じものが作れたことはなかった。

ディアナは朝食を食べ終えると、三十分程度で身支度をした。


「いってきまーす!」

出かけれるときに、誰がいなくても、誰がいても、ディアナはドアと閉じるときに、こうやって声をかける。

シンとした部屋に、声がこだますると、ドアはパタンと閉じられた。




ラポールスクールの朝は大抵晴れていることが多い。



「ディアナ!」

丁度いま、アレクサの背中に声をかけたのは、ノア・マーブル。

チョコレート色した髪の、肩までのストレートヘア。ディアナの友達の一人。

彼女は自宅から通っていて、いつもこの時間に登校してくる。

「今日は早いのね」


ノアの言葉に、ディアナはうなずいた。

ディアナはサーシャと同じく、登校の時間が決まってなく、二人がこうして登校を一緒にするのは、一ヶ月ぶりほどだった。

「ね、今日ランチでもどう?」

ノアが大抵こう言うときは、決まって何かしらの話があると、決まっている。内容はその時々の話で、この話を聞くのも、ディアナの楽しみのひとつだったりする。

「ん、行こう。どこにする?」

ディアナの言葉にノアが提案したのは、ラポールスクールの敷地内に最近できた、パンケーキ専門店。

何でもそのおいしさは、尋常じゃなく、開店していらい、口コミでいっきに広がってしまい、いまや、行列でなかなかお店にはいれないという。

確かに、興味はあるけれど、どちらかと言うと、ディアナは人なかが、すきなタイプではない。

だからどうしようかと迷っているようだった。何しろ、ディアナは、大のつくほどのパンケーキマニア。

食感からはじまり、厚さ。蜜の種類、そして生地との相性。盛り付け。そして勿論のこと、味。


ディアナと聞けば、いくつかある店の中でも有名であり、新作が出来たとあれば、彼女に声をかけ、試食させる店も少なくはない。

「どうしよう……」

八割ほどの確立で、ディアナの答えはでていたけれど、彼女は答えを出すことが出来ない。

ディアナいわく、テイクアウトはしない主義らしい。だから余計に、迷っていた。

けれど、ノアには、ディアナの答えが分かっていたらしく、彼女の言葉をまたないまま、手帳をひらくと、今日の日付に大きなマルを囲んだ。そして、決定と予定を書き込んだ。





「ね、そういえば、転校生がくるって知ってた?」

100人程度入るその教室の隅っこに、腰をかけたディアナに、ノアがが口をひらく。

「転校生?」

そんな話は聞いた覚えはない。知らないと首をふったディアナに、その目をキラキラとさせながら、早くこの話の続きをはなしてもいいかと、再び口をひらく。

「あら、おはようございます」

甘ったるく、二人の頭上からかけられた言葉は、ノアの言葉ではなかったけれど、この声をディアナはよく知っている。

前の席に腰をかけると、彼女のいつも愛用している香水が、ふわりと香った。ディアナはこの匂いが嫌いだった。

「久しぶり」

そう口を開いたのは、コート・ベルモア。彼女の髪はブロンドのストレートのロングヘア。

朝どれだけメイクに時間をかけているのかと思うほどに、いつだってコートは完璧を意識している。


「おはよう」

出来れば、挨拶をしたくもないし、その席にも座って欲しくない。もっといえば、関わりたくもない相手だけれど、ことごとく、コートはディアナを見つけると、声をかけてきた。それは今日も変わらない。



「今日、転校生が来るんですって。ディアナ知ってた?」

たった今、ノアに聞いていたことで、一つ、コートからの嫌味が消えてなくなったとばかりに、ディアナは笑みを作りながら、うなずいた。けれど、これしきの事でコートが引き下がるわけがないのは、経験済み。

すると、今度は、ノアが隣から、口を出してきた。

「名は、イアン・ダーリン。年は19歳。そして多種の最高属性を家系にもつ、スーパーボーイよね」


ノアの言葉で、今知ったばかりの事ばかりだったけれど、少なくともコートに向けるディアナの笑みは、確実に勝者の笑みだった。

「そうよね、彼は凄い。あなたとは大違いよね?」

多分だけれど、コートはこの言葉を、言いたかったのだと、ディアナは思う。

でも、正直、こんなのは、もうなれっこ。

「そうね。私とは違う」

これで満足だろうというように、ディアナは笑った。


……To Be Continued…

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