特典付き(五百文字お題小説)
お借りしたお題は「特典付き」です。
「お待たせ」
昨日が給料日だったという田守優子。東京六大学を卒業し、その上美人というちょっと嫉妬してしまうような子だが、かなりの変わり者だ。
切っ掛けは忘れたが、何故か妙に馬が合い、出会った高校時代からずっと仲良くしている。
今日は優子が昼食を奢ってくれると言ってきたので、レストランで待ち合わせたのだ。
「ウチの会社、未だに給料は現金手渡しなの」
何故かやれやれという顔で言う優子。まあ、確かに珍しいかも知れないけど。
「銀行に下ろしに行く手間がなくていいでしょ」
私は苦笑いして言ってみた。
「そうだね。そうだよね」
凄く納得された。
「何でも好きなものを頼んで。貴女にはいつもお世話になっているから」
優子は満面笑顔で言う。そう言われたからと言って、遠慮なく高いものを頼めるほど私は図太くない。
一品料理とランチセットメニューを頼んだ。
「慎み深いなあ、全く」
優子はクスッと笑って店員に注文した。
「今度カードを作る事にしたの」
相変わらず話がとっ散らかっている。慣れたけど。
「今入会すると一万ポイントの特典付きなんだよ」
わざわざパンフレットを広げて見せてくれた。
あれ? 優子って、通帳持っていないのでは?
ということでした。