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恋愛奇譚 ~盲目的な愛のカタチ~  作者: 足利 士郎
第2章『サイアーム帝国編』
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第7話『襲撃』 (闇)

 最近、更新までもが不安定になっていますが完結を目指しているので放置する気はありませんのでご安心をw



 それは唐突に始まった闘いでした。


 サイアーム帝国の名門貴族たるライテウス家へ到着した私と兄ぃ様は当家の執事を名乗るお爺さんにライテウス家のエントランスホールへと案内されました。


 しかし、案内されたエントランスホールは薄暗い上に人影もありませんでした。


 「あ、あれ?執事のお爺さんが居なくなってる……」


 しかもライテウス家を案内すると言っていた執事のお爺さんがいつの間にか居なくなっていたのです。


 おまけに兄ぃ様は何かを警戒しているのか両腰に納めていた武器を取り出しながら周囲を見渡していました。


 そんな時、不意に何処からともなく白い円盤状の物体が兄ぃ様目掛けて飛んできました。


 「ふんっ!!」


 しかし、そこは流石は私の兄ぃ様。


 兄ぃ様は白い円盤状の物体を軽々と叩き落とすと飛んできた白い円盤状の物体の正体を確認し始めました。


 「これって……お皿?」


 兄ぃ様の代わりに側に居た私は薄暗く静かなエントランスホールで小さくそう言葉を発しました。


 まさにその次の瞬間……。


 「ストライク……クロー!!」


 突如、エントランスホールの上側から聞き覚えのない男性の声が聞こえてきました。


 ふと上を見上げるとそこには黒いマントを羽織った男性らしき人物が両手に鋭い鉤爪を構えて兄ぃ様に向かって落ちてきていました。


 「くっ!」


 「兄ぃ様!!」


 兄ぃ様は突然の攻撃を見事に防いでみせたものの、片膝を屈しながら苦々しい顔つきで相手を見据えていました。


 「……マリーシア様は私から離れて何処かの物陰に隠れていて下さい」


 兄ぃ様はゆっくりと立ち上がり、武器を構えると背中越しに私にそう言ってきました。


 「嫌です!兄ぃ様、私も一緒に……「マリー!!!」


 けれど、兄ぃ様と離れたくなかった私は兄ぃ様の言葉を拒否しようとしましたが大声を張り上げながら私の名を呼ぶ兄ぃ様を見て、私は思わず身震いしてしまいました。


 (……今の私は兄ぃ様の邪魔なんだ……)


 私は私の身を案じてくれている兄ぃ様の優しさよりも闘いの場に邪魔になっている自分の存在が酷く悲しく思ってしまいました。


 (側に居たい、守ってあげたい、守られていたい……ずっとそう思っていたのに……)


 しかし、現実にはこの状態。


 所詮、私は兄ぃ様に守られてばかりいる無力な小娘に過ぎないのだと痛感せざるを得ませんでした。


 結局、私は兄ぃ様の闘いの邪魔にならない様に少し離れた石柱に隠れながら遠巻きに兄ぃ様の姿を見つめる事になりました。


 そして私が隠れてからまもなくして、兄ぃ様と黒いマントを羽織った謎の男性との闘いが始まりました。


 最初は物陰から恐る恐る兄ぃ様の闘いを見つめていた私でしたが、いつしか自分でも気が付かぬ内に二人の闘いに魅入っていました。


 (……凄い)


 兄ぃ様の強さはクーゲル士爵との闘いで少しは理解していたつもりでしたが、あの時とは比較にならない程の強さを物陰に隠れながら見ている私に見せ付けていました。


 でも、素人目から見ても薄暗いエントランスホールで兄ぃ様と互角に渡り合う黒いマントを被った人も凄いと思いました。


 「カッティングクロー!!」


 何より二人共に金属音や咆哮が聞こえているにも関わらず兄ぃ様や黒いマントを羽織った謎の男性には傷らしい傷も無く、互いに絶えず武器を振るい続けているのです。


 私の目の前でそんな激しくも何処か美しくすら思える光景が数分経過した頃、不意に兄ぃ様達は互いに睨み合った状態のままピクリとも動かなくなりました。


 (何?何が起こるの?)


 何の前触れも無く、息苦しさすら感じさせる程に静まり返るエントランスホールに私だけが取り残された様にただただうろたえていました。


 けれど、このまま兄ぃ様に何もしない訳にいきません。


 「兄ぃ様、頑張って!!」


 今の自分に出来る事はこんな声援ぐらい。


 だからこそ出来うる限りの大きな声援を私は兄ぃ様に伝えました。


 刹那。


 「……っ!!!」


 まるで私の声援が合図であったかの様に二人は一瞬の内に互いに刃を振り下ろしていました。


 「俺の勝ちだ」


 今の一瞬で一体何が起こったのか……それすら判らない私は勝ち誇る兄ぃ様を見ても今ひとつ状況を理解できずにいました。


 すると、不意に黒いマントを羽織った人物は膝を屈し、ガックリと両肩の力を抜いて呆然としていました。


 「兄ぃ様っ♪♪♪」


 その姿を見て私はようやく兄ぃ様が戦いに勝利したのだという事を理解しました。


 「ふぇぇぇぇん。兄ぃ様兄ぃ様兄ぃ様ぁぁぁぁっ」


 そして私の顔を見て優しく微笑んだ兄ぃ様を見た私は思わず感極まって涙を流しながら兄ぃ様に抱きついていました。


 (あ……私、兄ぃ様の身体に抱きついてる/////)


 ……まぁ、少しだけ打算的な考えもありましたが。


 「……生憎と泣きてぇのはコッチなんだがなぁ……」


 そうこうしている内に気が付けば黒いマントを羽織った人物が私達の前でゆっくりと立ち上がるとジッと兄ぃ様を見つめていました。


 そして。















 「見ろよ!俺のタイラントにヒビなんて付けやがって!!特注品なんだぞコレ!!!」


 不意に兄ぃ様に対して不貞腐れた様な顔をしながら小さくヒビが入った武器を見せ付けてきたのです。


 「いきなり卑怯な不意討ちを仕掛けてきておいて何を言う……自業自得だ馬鹿」


 対して兄ぃ様も眉を潜めながら黒いマントを羽織った人物に軽口を言い返していました。


 「……えっ?えっ??……えっ???」


 そんな二人の様子を間近で見た私は状況が判らず慌てふためきました。


 「何が卑怯だ。大体、その不意討ちに対して無表情で対応してきたヤツが何をほざきやがる」


 「……っと。その前にソッチの女の子には一応、とっとと自己紹介しといた方が良いか……俺は“ウルムナフ・ライテウス”このライテウス家の一人息子で次期当主様だ。宜しくな“義妹いもうとちゃん”☆」


 そんな中で私が慌てふためいていたのを見ていた黒いマントを羽織った人物は素顔を見せるとニッコリと笑いながらいきなり簡単な自己紹介を始めるのでした……。



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