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恋愛奇譚 ~盲目的な愛のカタチ~  作者: 足利 士郎
第2章『サイアーム帝国編』
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第5話『出立 (闇)

 何か最近、投稿する文字数が減ってきてる。

 ……話を省略し過ぎてるのかな^^;



 「~~♪~~♪♪~~♪♪♪」


 この日、上機嫌な私は鼻歌を歌いながら自室で色彩りのドレスの山を見つめていました。


 「白……も良いかも知れないけど水色も良いなぁ~~♪」


 その理由は今からおよそ数時間前、私は御父様に呼び出された事に端を発します。


 「マリーシア。ひとつ私の話を聞いてはくれまいか?」


 御父様の御話を要約すればサイアーム帝国の式典にラグレリア王国からの国賓として私に是非出席して欲しいというものでした。


 無論、専属護衛である兄ぃ様も一緒に……と。


 幼い頃から諸々な理由から一度もラグレリア王国から出た事が無い私はそれは魅力的な御話でした。


 加えて初めての海外旅行ともなれば当然ながら兄ぃ様との蜜月の時間は更に甘く濃厚なものになって行くでしょう……。


 も……もしかしたら男女の関係に発展したり///


 (……お、大人っぽい下着も用意してた方が良いのかな……///)


 結局、二返事も待たずに私は御父様からの御話を聞き入れると明日の朝には出立しなければいけないと言う事で私は慌てて自分の部屋に戻り準備を始めました。


 ……とは言っても結局は大半の荷物の準備は侍女の人達任せで、私はと言うと式典用のドレスと兄ぃ様用の大人っぽい服(下着込み)を選んでいるだけと言う訳ですけど。


 でもここ最近は良い事ばかりで本当に嬉しいです。


 兄ぃ様が帰ってきて“予定通り”私の専属護衛になってくれたし、私達の恋路を邪魔したクーゲル士爵は“善良な市民によって告発され国家反逆罪”となり投獄された後に何とか無実を勝ち得たとはいえ、別件の容疑で事実上は貴族の地位を剥奪されたも同然。


 おまけに明日からは兄ぃ様と海外旅行……あぁ、神は私と兄ぃ様の恋を祝福してくれているのですね。


 天に輝く星を自室のバルコニーで見つめながら私は小さく神に祈りを捧げました……。
















 「兄ぃ様、コッチですよ♪」


 その翌日。


 結局あれから式典用のドレス選びと明日への旅の興奮で一睡も寝られなかった私は自分でも驚くほどにテンションが上がっていました。


 何せこれから二人の愛の巣に変わる王族専用の馬車が城の正門前に到着する一時間前から待っているのですから。


 「朝から随分とハイテンションだな……それと大声で私を兄と呼ばないで下さいませマリーシア様」


 そんな私の様子を見て少しだけ溜息混じりで自分の荷物を持ってやってきた兄ぃ様は私にそう言いました。


 どんな時であれ公私混同はしない……それは普段から行っている兄ぃ様らしい真面目な考え方でした。


 「無理です♪だった私、今回初めてラグレリアの外に出るんですもん♪」


 対して私は自分でも自分を初めての興奮に感情を抑えきれず思わず兄ぃ様に抱きついてしまいました。


 (……あぁ、良い匂い……)


 男の人は大抵が汗臭く、自分の臭いに鈍感だと聞いた事がありましたが兄ぃ様の匂いにはそういったモノは無く、寧ろ兄ぃ様独特のリラックス出来る癒し系な匂いを感じました。


 「…………」


 しかし、兄ぃ様は周囲の視線が気になるのか抱き付いていた私を無理矢理に引き離すと自分の荷物を確認しに行ってしまいました。


 いつもの私ならば此処で兄ぃ様に不満を言ってしまう所なのですが今回は違います。


 (慌てなくても大丈夫……だって二人の旅行は今から始まるんだから……♪)


 ……そう慌てなくても猶予はまだ十分にある。


 この旅行を経て兄ぃ様を私色に、私を兄ぃ様色に互いを染め上げて美しい大輪の花を咲かせましょう♪♪♪






 「マリーシア様、御待たせ致しました」


 そんな妄想を募らせていたその時、不意に私の前に二台の馬車が姿を現しました。


 かたや如何にもな豪華絢爛たる馬車。


 もう一つはみすぼらしい普通の馬車。


 「凄く素敵な馬車ですね、兄ぃ様♪」


 言うまでも無く私と兄ぃ様が乗り込み愛の巣となる馬車は前者の方です。


 しかし兄ぃ様は気恥ずかしいのか今回の旅行に同行する数人の侍女達が乗る普通の馬車へ乗り込もうとしていました。


 「兄ぃ様、早く早く♪♪」


 恥ずかしがらないで兄ぃ様……普通の馬車へ乗り込もうとしていた兄ぃ様を呼びつけ私達は豪華絢爛たる馬車に乗り込みました。


 「それでは出発致します」


 私達が馬車に乗り込んでから数分後、荷物を入れ終えた馬車は遂におよそ十八日間の日程の旅路へと向かい走り出しました。


 これから色々な意味で胸躍る旅行が始まるのです。


 しかし。


 「……zz……zzz……」


 気が付けば興奮の糸が切れてしまった私は馬車の座席を枕に寝入ってしまいました。


 ……うぅ、一生の不覚です……。


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