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安定の夢オチ

 

 ゴソゴソゴソッ。睡眠中の俺の耳に、何かの物音が聞こえた。

 そして寝返りを打つと、俺の体は何かにぶつかった。俺の寝ているベッドに柵のようなものは一切なく、横に転がっていけば地面に真っ逆さまだ。

 だが俺は、寝返りを打つとなにかにぶつかった。

 …………。


 俺はまだ重たい体をなんとか起き上がらせ、ふとんをめくった。

 俺の寝ていた所の隣には、金髪で猫耳のメイド服を着た少女が……。


「て、ええぇぇぇーー」


 俺の叫び声が、部屋中に響き渡った。


「おはようなのにゃ」


 そう、俺のとなりには、アキバに行けばたくさんいそうなメイドさんが、添い寝をしてくれていたのだ。


「な、な、な、なんで俺のとなりで寝てるんだよ!」

「そんなの決まっているにゃ。にゃんにゃんメイドが、メイドだからだにゃ」


 猫耳メイドは猫耳を数回掻きながら言った。

 なんだか本物の猫のようだな……。って、そんなことはどうでもいい!


「ちげえよ! ちげえ。なんでメイド服とか、猫耳つけてるんだよ!」

「そんなことは、どうでもいいのにゃ。まだまだ時間もあることにゃし、もう少し寝るのにゃ。そして……一線を超えるのにゃ~」

「超えねえよ!」

 

 俺は強引にベッドに引っ張ろうとする猫耳メイドの手を振りほどき、部屋から飛び出した。そして階段を下り、ダイニングルームへの扉を開けた。

 俺の目の前には、広いダイニングルームが広がっている。そしてダイニングの端っこにある、キッチンから一人の女性が姿を現した。


「おはようございます。竜也さん」

「あ、おは……えっ!? ええぇぇぇーー」


 キッチンからは、エプロン姿の美しい女性が出てきた。……だが、どう見てもエプロンの下には、衣類を着ていない! 

 ……これが世にゆう、裸エプロンとゆうやつか。


「竜也さん。ご飯します? お風呂にします? そ・れ・と・も」

「全て遠慮させて、いただきます!」


 俺はダイニングルームを突っ切り、洗面所へと駆け込んだ。

 俺は洗面所で顔を洗い、一つの結論に達した。

 これは夢だ!

 ゴブッ! 突如、俺の背中はどっと重くなった。


「お兄ちゃ~ん。遊ぼ~よ~」

「おっお兄ちゃん!?」

 俺はつい、驚きですっとんきょんな声を出してしまった。

 どうみても、小学生くらいにしかみえない小さな少女が、俺の背中にひっついていた。

「今日は、妹と何して遊ぶ? おままごと? 人形遊び? そ・れ・と・も、いけないお医者さんごっこ?」

「そんなの……、妹が言うべきことじゃな~い」

 俺は洗面所を飛び出し、階段を上り、自分の部屋へと入って鍵をしめた。

 ここはどこなんだ……。夢……なのか。


「お兄ちゃ~ん。遊ぼ~よ」

 

 俺は、自称妹を名乗る少女に押し倒され、ベッドに倒れた。


「な、なんでここにいるんだ!? 自称妹よ、君はさっきまで洗面所にいたはずだろ!」

「妹に不可能はないんだよ。お兄ちゃん」

 

 自称妹が俺のことを、「お兄ちゃん」と呼んだとき、俺は背筋がぞっと、凍りついた。

 ……身の危険を感じる。


「二葉さん! 抜けがけは許しませんよ」

 

 さっきまでいた自称妹を横にすっ飛ばし、裸エプロンの女性がベッドの横に寝転んだ。


「竜也さん……。私のファーストキスあげちゃいます」

 

 裸エプロンの女性は、どんどん俺との距離を詰めてきた。

 そして……ついに。

 …………二人のくちびるが重なり合った。

 だが、俺のくちびるには何一つ触れたものはなかった。


「なっ!? なんでよ」

 

 裸エプロンの女性の前にいたのは俺ではなく、猫耳をつけたメイドさんだった。


「抜けがけは、許さないにゃ」

「なんで、邪魔をするんですか!?」

「お兄ちゃんと最初にキスをするのは、妹である私です!」

 

 なんだかお取り込み中みたいなので、俺はここらで。

 俺は自分の部屋のドアへと、手をかけた。


「逃がさないのにゃ」「逃しません!」「逃げないで! お兄ちゃん」

 

 三人が、ドアへ手をかけた俺に飛びかかってきた。


「えっ!? ……うわぁぁぁぁぁーー」


 ドサッ! 俺は、とてつもないくらいの後頭部の痛みを受け、目を覚ました。どうやら俺は、ベッドから落ちたらしい。

 部屋の中には、気持ちの良いくらいの朝日が降り注いでいた。すずめの鳴き声が耳に響いてくる。

 やっぱり夢だったか。

 俺は部屋の中を見回した。

 確かにこの部屋は、先ほどまでみ少女たちがいた部屋だ。

 ……忘れよう。

 体を起こし、何気なく時計をみた。5月9日、8時12分。


「……今日から学校じゃん!」


 急いで立ち上がり、部屋の外に飛び出した。すぐ近くにある階段を下り、ダイニングルームに行った。

 いつもいるはずの寮生の姿がなかった。

 …………。


「椿のやろう。俺をおいて行きやがったな……」


 俺の名前は、三山 竜也。金聖高校に通っている高校一年生だ。

 そして俺は完全にゴールデンウィーク明けの授業は、遅刻しました。


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