ノーネーム エネミー プロローグ2
レイ、マリア、アベルは指令室にいた。誰もいない無人の指令室。
[とりあえず置き手紙だけしとくか。資源惑星では貴重な物を見つけたと。再調査の必要性があると。行くぞ、レイ、マリア。明日は休暇だ。今日は飲むぞ!][イヤ。変な予感がする。気のせいか。とりあえず監視モニターだけチェックしときますから。どうぞ先輩方はお先に][じゃあ、失礼するぜ。早めに上がれよ]アベルは口笛を吹きながら市街地に消えた。
[マリアさん。明日は?][ショッピングよ。限定のバッグが出るのよー。バーゲンセールね][良いですね。…………マリアさん。コレ見てください][何か見つかったの?]二人は監視モニターを覗いた。
赤い何者かが入港する。次々に倒される整備士。[アラ。良くできたCGね。映画みたい][映画じゃありませんよ!何です?コレ][お遊びよ。最近、人が集まらないって嘆いていたじゃない。ホラ、こんな事もやってますってパフォーマンスよ。しかし良くできた映画ね][そうですか?…………][じゃあ聞くけどレイ君。あの赤い者達はナゼ宇宙服無しで入港出きるの?おかしいじゃない。CGよ。気にする事無いわ][だと良いんですがね………]
机の上から手紙が落ちた。レイは拾い上げ、ポケットにしまう。[一応、録画しときますね。僕のUSBに。ダビングします?][要らないわ。愛しのダーリンと見るから。その映画]
レイは部屋に戻り、手紙を読んだ。[…………我々は間違った判断をした…………奴等が攻めて来たのだ。イーグル小隊には来るなと連絡する。…………この話しは内密に]途中、切れていて読めなかった。
[ボスの筆記だ。しかも書いて間もない。イーグル小隊には来るなと。あの無線はボスからだったんだ。やはり何かあったんだ。僕らがいない間に]レイはもう一度、USBをチェックした。
[なんだよ!週末だってのに誰も捕まらない。まあ可愛いネーチャンでも捕まえて一緒に飲むか。にしてもなんだよ。いつもはもっと賑やかな街だろ!]
バーに行き、ビールを煽るアベル。[ナアナア。どうしたんだ?今日は週末だろ?いつもこんな暇か?][お客様。知らないんですか?警戒体勢ですよ。レベルファイブ][ブファッ!……………エマージェンシー、レベルファイブだと?マスター。ジョークはいけないな。まさかの緊急事態だぞ!なんともないじゃないか!]
マリアはシャワーを浴びていた。濡れた髪を乾かしながら着信アリの携帯電話を見る。[ダーリンからだわ!][モシモシ。アタシ。アタシよ][何言ってるんですか!マリアさん。すぐ僕の部屋に。アベルさんと連絡取れます?][なーんだ。レイ君か。今、行くわ。髪の毛乾かすから少し待って]
[ヒック…………で、その緊急事態だが。なんだソレ。まさか休み返上か?][アベルさん。見てください。コレを][監視モニターか。…………コレは何だ?宇宙人か?][だから、映画の予告編よ][………イヤ。マリア。違うな。合成した蹟などどこにもない。つまり現実だ。実際にその赤い者が入港した。そうだな?レイ][エエ。手紙には間違った判断をしたと。何の話ですかね?][宇宙人との交流など聞いてないが。マリアどうだ?][つまり、何かを隠していたと?ボスが。それがその宇宙人とか?][………らしいな。今の所は。詳細は知らない。情報が欲しいな]
一人の血塗れの男が非常階段を昇る。[ウッググッ…………早く。…………システムを止めなくては。彼等は他のスペースジェイルと……………ドッキングしようとしている……………]
プロローグ終わり