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超級魔法しか使えない俺は【短編シリーズ】

超級魔法しか使えない俺は、どうやらダンジョン探索には向いていないらしい

作者: 豆柴の旅々
掲載日:2026/10/30

 俺は、魔法使いだ。


 ただし、一つだけ問題がある。


 超級魔法しか使えないのだ。


 初級魔法も、中級魔法も、上級魔法も使えない。


 使えるのは、超級魔法だけ。


 それだけ聞けば、羨ましいと思うかもしれない。


 だが、考えてみてほしい。


 料理をするために火を起こしたいとき、山を丸ごと焼き払う魔法しか使えなかったらどうなるか。


 答えは簡単だ。


 料理どころではなくなる。


 実際、俺は子供の頃、暖炉に火をつけようとして家を一軒燃やしたことがある。


 幸い、家族に怪我はなかった。


 だが、父には三日間口をきいてもらえず、母には二度と暖炉に近づくなと言われた。


 それ以来、俺は屋内での魔法使用を固く禁じられている。


 魔力が多すぎるらしい。


 どれだけ抑えようとしても、一定以下にはならない。


 だから、魔法を使うときには、周囲に十分な空間が必要になる。


 そして現在。


 俺は冒険者になっていた。


 もっとも、魔法使いとして活躍しているわけではない。


 三人組のパーティーで、荷物持ちをしている。


 ……魔法使いなのに。


     ◇


「前からゴブリンよ!」


 薄暗いダンジョンの通路に、リーナの声が響いた。


 俺たちの前方から、三体のゴブリンが姿を現す。


「よし、俺が前に出る!」


 剣士のガルドが盾を構えた。


「リーナ、右の一体を頼む! 残りは俺が引き受ける!」


「分かったわ!」


 リーナが短剣を抜き、右側へ駆け出す。


 俺はというと、皆の荷物を背負ったまま、少し後ろへ下がった。


「ちょっと、アルト!」


「何?」


「あんたも少しは戦闘を手伝いなさいよ!」


「いや、俺が魔法を使うとダンジョンが崩れるから」


「またそれ!?」


 リーナが呆れた声を上げた。


「いつもそんな冗談ばっかり! 魔法使いなんでしょ!?」


「うん。魔法使いだよ」


「だったら魔法を使いなさいよ!」


「だから、超級魔法しか使えないんだって」


「はいはい!」


 リーナは俺の言葉を聞き流し、ゴブリンへ向かって駆け出した。


「ははは! まあいいじゃないか!」


 ガルドが笑いながら剣を振るう。


「アルトは荷物を持ってくれているんだ。それが本当なら、いつか助けてもらえるかもしれないしな!」


「そうだね。そのときは任せてよ」


「おう! 期待してるぞ!」


 ガルドは豪快に笑った。


 どうやら、彼も俺の話を信じていないらしい。


 まあ、無理もない。


 超級魔法しか使えない魔法使いなんて、普通はいないのだから。


 ほどなくして、三体のゴブリンは倒された。


「ふう。終わったわね」


 リーナが短剣を鞘に収める。


「アルト、水筒ちょうだい」


「はい」


「ありがと。あんたも飲んでおきなさいよ。荷物、重いでしょ」


「うん。ありがとう」


 リーナは口うるさいが、面倒見はいい。


 俺が戦えなくても、パーティーから追い出そうとしたことは一度もなかった。


 ガルドも同じだ。


 だから俺は、このパーティーが気に入っている。


 ……いつか魔法で役に立てればいいのだけれど。


     ◇


 それからしばらくして。


 俺たちは、ダンジョンの奥にある大広間へ到着した。


 天井は高く、通路の何倍もの広さがある。


 中央には石柱が並び、その向こうに数体のオークがいた。


「また魔物ね!」


 リーナが短剣を構える。


 だが、すぐに何かを思いついたように俺を振り返った。


「あっ!」


「どうしたの?」


「アルト! ここなら魔法を使えるんじゃない!?」


「え?」


「だって、こんなに広いんだもの!」


 リーナが両手を広げる。


「通路じゃ狭いって言ってたでしょ? ここなら大丈夫よね!」


 俺は天井を見上げた。


 かなり高い。


 壁も厚そうだ。


 だが……。


「……いや、ちょっと狭いかな」


「どこがよ!?」


「天井が落ちてくると思う」


「落ちてこないわよ! どれだけ頑丈な岩盤だと思ってるの!」


「岩盤ごと吹き飛ぶと思うんだけど」


「…………。」


 リーナが腕を組んだ。


「……ねえ、アルト」


「何?」


「そもそも、超級魔法なんて、王宮魔導師でも使える人がいるかどうかって話なのよ?」


「そうなの?」


「そうなの! そんな魔法しか使えない人が、どうして荷物持ちをしてるのよ!」


「ダンジョンじゃ使えないから」


「…………。」


「だから、最初からそう言ってるんだけど」


「もうっ!」


「はははは!」


 ガルドが腹を抱えて笑った。


「お前たち、いつも面白いな!」


「笑い事じゃないわよ!」


「まあまあ。俺たちで倒せばいいさ」


 ガルドが盾を構え直す。


「リーナ、左から回り込め! 俺が正面を引きつける!」


「分かった!」


 リーナが石柱の陰へ走った。


 俺は皆の荷物を背負い直し、戦闘の邪魔にならない場所へ移動する。


 ……本当に、ここでは使えないんだけどな。


     ◇


 さらに奥へ進むと、巨大な扉が現れた。


 その先は、ダンジョンの最深部。


 広大な空間の中央に、巨大なミノタウロスが立っていた。


「うわ……大きいわね」


 リーナが顔をしかめる。


「気をつけろ。あの斧はまともに受けるなよ」


 ガルドが低い声で告げた。


 俺は、いつものように後方へ下がろうとした。


 すると。


「……ねえ、アルト」


「何?」


 リーナが振り返った。


「ここならどう?」


「え?」


「ここよ! ボス部屋!」


 リーナが天井を指差す。


「さっきの大広間より、ずっと広いじゃない!」


「うーん……」


「天井も高いし! 壁だって分厚いし!」


「でも、ダンジョンの外まで吹き飛ぶと思うよ」


「もうっ! じゃあ、あんたの超級魔法って一体何なのよ!」


「えっ?」


 俺は首を傾げた。


「いろいろあるけど……例えば、《天地開闢・森羅万象・灼熱輪廻・紅蓮終焉・業火天獄・万物灰燼・極大太陽神完全消滅究極殲滅魔法》とか」


「…………。」


 リーナが固まった。


 ガルドも、なぜか動かない。


「……何?」


「……それ、魔法なの?」


「超級魔法だよ」


「…………。」


 リーナが額に手を当てた。


「……あなた、よくそんな長い名前覚えられるわね」


「いや、超級魔法だから、しょうがないでしょ」


「超級魔法って、名前まで超級なの!?」


「そう言われても……」


「……ねえ、一つ聞いていい?」


「何?」


「消滅と殲滅って、何が違うの?」


「……さあ?」


「さあって!」


「俺が名前を付けたわけじゃないし」


「もう! なんでそんな適当なのよ!」


「いや、使える魔法の名前を覚えただけなんだけど……」


「ははははは!」


 ガルドがとうとう声を上げて笑い出した。


「いやあ、すごい名前だな! 覚えるだけでも大変そうだ!」


「そうなのよ! そんな長い名前、戦闘中に唱えてたら魔物にやられるわよ!」


「だから、ダンジョン探索には向いてないって言ってるじゃないか」


「もうっ!!」


 リーナの声が、ボス部屋に響き渡った。


 その声に反応したのか、ミノタウロスが巨大な斧を持ち上げる。


「……おっと。そろそろ戦わないとな」


 ガルドが剣を抜いた。


「リーナ、俺が斧を引きつける! お前は背後へ回れ!」


「分かったわ!」


 ミノタウロスが斧を振り下ろす。


 ガルドは盾を斜めに構え、その一撃を受け流した。


 ズガァン!


 斧が床へ突き刺さる。


「今だ!」


 リーナが背後へ回り込み、ミノタウロスの脚を斬りつけた。


 だが、刃は分厚い筋肉に阻まれた。


「うそっ!?」


 ミノタウロスが振り返る。


 巨大な腕が、リーナへ向かって振り抜かれた。


「リーナ!」


 ガルドが叫ぶ。


 リーナは咄嗟に身を屈めた。


 頭上を巨大な拳が通り過ぎる。


「危なかった……!」


「無理に攻めるな! 俺が隙を作る!」


 ガルドが再び正面へ踏み込んだ。


 ミノタウロスが斧を振り上げる。


 その瞬間、ガルドは横へ跳んだ。


 ズガァァン!


 斧が石床へ深々と突き刺さる。


「今度こそ!」


 リーナが駆け出した。


 先ほど斬りつけた脚へ、もう一度短剣を突き立てる。


 ミノタウロスが苦痛の声を上げ、片膝をついた。


「ガルド!」


「おう!」


 ガルドが大きく踏み込み、剣を振り下ろした。


 ミノタウロスの巨体が、地面へ倒れる。


「ふう……やったな!」


 ガルドが額の汗を拭う。


「やったわね!」


 リーナも嬉しそうに笑った。


 俺は二人のもとへ駆け寄った。


「お疲れさま。二人ともすごかったよ」


「ははは! アルトも荷物を守ってくれてありがとうな!」


「うん!」


 結局、ミノタウロスも二人が力を合わせて討伐した。


 俺は最後まで荷物持ちだった。


     ◇


 ダンジョン探索を終えてから、数日後。


 街に緊急警報が鳴り響いた。


 カン! カン! カン! カン!


「スタンピードだ!!」


 衛兵が大声で叫んでいる。


「森から魔物の大群が押し寄せているぞ!!」


 街は騒然となった。


 住民たちが荷物を抱えて走り、衛兵が避難を誘導している。


 俺たちも冒険者ギルドへ駆けつけた。


 そこには、すでに多くの冒険者が集まっていた。


「状況は!?」


 ガルドが尋ねる。


「森の奥から、数百……いや、千を超える魔物が向かってきている!」


 ギルドの職員が青ざめた顔で答えた。


「オーク、ゴブリン、オーガ……大型の魔物も確認されている!」


「そんなに……!」


 リーナが息を呑んだ。


 やがて、街の防衛を指揮する騎士団長が姿を現した。


「住民の避難を最優先とする! 冒険者は砦へ向かい、魔物の侵入を阻止せよ!」


「おおっ!!」


 冒険者たちが一斉に声を上げる。


 俺たちも砦へ向かった。


 街の外には広大な森が広がっている。


 その森の向こうから、土煙が上がっていた。


 地鳴りのような音が響いてくる。


 魔物の群れだ。


「……多すぎる」


 リーナが呟いた。


 森の木々が次々と倒れていく。


 巨大なオーガの群れが姿を現し、その後方には、さらに大きな影がいくつも見えた。


 冒険者たちがざわめく。


「あんなの、どうやって止めるんだ……?」


「大型個体までいるぞ!」


「……無理だ。あの数では砦が持たん」


 騎士団長が低い声で呟いた。


 それでも、彼は剣を抜いた。


「だが、ここを突破されれば街が襲われる! 我々が時間を稼ぐしかない!」


 ガルドも剣を抜き、前方を睨みつけた。


「やるしかないさ。俺たちが退けば、街が襲われる」


 そのとき。


 俺は、ふと思った。


 ここなら、使えるんじゃないだろうか。


「あの……」


 俺は、近くにいた騎士団長へ声をかけた。


「何だ!?」


「一つ、確認してもいいですか?」


「手短に頼む!」


「森を焼き払っても問題ないなら、俺が何とかしましょうか?」


「…………は?」


 騎士団長が目を丸くした。


 リーナもこちらを振り返る。


「ちょっと、アルト!」


「何?」


「もう! こんなときまで冗談を言ってないで、早く避難しなさい!」


「いや、冗談じゃないんだけど」


「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」


「ははは!」


 ガルドが、いつものように笑った。


「まあ、一度やらせてみればいいじゃないか!」


「ガルドまで何言ってるのよ!」


「いやあ、前から言ってただろう? 超級魔法しか使えないって」


「だから、それは冗談でしょ!」


「もし本当なら、今こそ助けてもらうときじゃないか!」


 ガルドが俺を見た。


「なあ、アルト?」


「うん。ここなら大丈夫だと思う」


 俺は森へ視線を向けた。


「ただ、あの森は残らないと思うけど」


「……何?」


 騎士団長が低い声を漏らした。


「森が消えると言ったのか?」


「はい。たぶん、あの辺り一帯は」


「…………。」


 騎士団長が魔物の群れを見つめた。


 地鳴りは、先ほどより大きくなっている。


 森の木々が次々と倒れ、巨大な影が近づいてくる。


「……街に被害は出ないのか?」


「威力は調整できませんが、どこまで吹き飛ぶかは分かっています。魔物が森の奥にいる今なら、街を巻き込まずに済みます」


「……分かった」


 騎士団長が頷いた。


「街が滅びるよりはましだ! やれるというなら、やってみろ!」


「ありがとうございます」


 俺はほっと息をついた。


 ようやく魔法を使える。


「それじゃあ、皆さん、後ろに下がってください」


「……え?」


 リーナが首を傾げる。


「何するつもりなの?」


「魔法を使うんだよ」


「…………。」


 リーナは何か言いかけたが、ガルドに肩を叩かれた。


「まあまあ。下がろうじゃないか」


「……本当に、使えるの?」


 リーナが小さく尋ねた。


「うん。だから、ずっと言ってるでしょ」


「…………。」


 リーナは半信半疑のまま、ガルドとともに後ろへ下がった。


 俺は砦の前に立ち、森の向こうを見据えた。


 そして、ゆっくりと右手を掲げる。


 久しぶりだ。


 本当に、久しぶりに魔法を使う。


 俺は静かに息を吸い込んだ。


 その瞬間。


 ゴォォォォォォォ――!!


 凄まじい轟音が響き渡った。


「きゃあっ!?」


 リーナが悲鳴を上げる。


「な、何だ、この風は!?」


 冒険者たちが慌てて身を屈めた。


 だが、それは単なる風ではなかった。


 周囲の魔素が、激しく動き始めていた。


 森から。


 大地から。


 空から。


 膨大な魔素が、一斉に俺の前方へと吸い寄せられていく。


 ゴォォォォォォォォ――!!


 木々が大きくしなり、地面の砂が舞い上がる。


 冒険者たちは腕で顔を覆い、必死にその場に踏みとどまった。


「何なのよ、これ!?」


 リーナが叫ぶ。


 ガルドも、もはや笑っていなかった。


 いつも豪快に笑う男が、目を見開いたまま立ち尽くしている。


「……おいおい」


 彼は呆然と呟いた。


「本当に……魔法なのか……?」


 俺は、ただ静かに魔素を集め続けた。


 そして、ゆっくりと口を開く。


「《天地開闢・森羅万象・灼熱輪廻・紅蓮終焉・業火天獄・万物灰燼・極大太陽神完全消滅究極殲滅魔法》」


 ふっ。


 風が止まった。


 先ほどまでの轟音が嘘のように、辺りが静まり返る。


「…………?」


 誰もが顔を上げた。


 次の瞬間。


 カッ――!!


 眩い光が、空を染めた。


「きゃっ! 何!? 眩しい!」


 リーナが目を細める。


 冒険者たちが、次々と空を見上げた。


 そこにあったのは。


 巨大な、巨大な火球だった。


 赤く燃え盛る外縁。


 白く輝く中心。


 空高く浮かぶその姿は、まるでもう一つの太陽。


 周囲の雲が赤く染まり、遠くの森まで眩い光に照らされていた。


「…………うそ」


 リーナが震える声で呟いた。


「……あれ、太陽?」


 誰も答えられなかった。


 騎士団長も、冒険者たちも、ただ空を見上げている。


 ガルドも言葉を失っていた。


 そのとき。


 魔物の群れが動きを変えた。


 先頭を走っていたオーガが足を止める。


 続いて、オークたちが悲鳴を上げた。


 魔物たちが一斉に方向を変え、森の奥へ逃げ始める。


 だが、もう遅い。


 俺は右手をゆっくりと下ろした。


「じゃあ、落とします」


 巨大な太陽が、動いた。


 ゆっくりと。


 だが、確実に。


 魔物の群れへ向かって降下していく。


 そして――。


 ドゴォォォォォォォォォォォォォン――!!


 世界が、白く染まった。


 凄まじい閃光が大地を覆う。


 轟音が遅れて響き、砦の石壁がびりびりと震えた。


 遠くの森が、光の中へ消えていく。


 魔物の群れも。


 倒れた木々も。


 地面を覆っていた草も。


 すべてが、眩い光に呑み込まれた。


 やがて、光が収まる。


 轟音が遠ざかり、熱を帯びた風が静かに吹き抜けた。


 そこに、森はなかった。


 魔物の姿も、一体たりとも残っていない。


 ただ、広大な大地が、黒く焼けていた。


「…………。」


 誰も、何も言わなかった。


 騎士団長は口を開けたまま固まっている。


 冒険者たちも、呆然と前方を見つめていた。


 俺は満足して、小さく息を吐いた。


「ふぅ、やっと使えた」


「…………。」


 リーナが、ゆっくりと俺を見る。


「…………アルト」


「何?」


「……あんた、本当に超級魔法しか使えなかったの?」


「うん」


「…………。」


「だから、ずっと言ってたじゃないか」


「…………。」


 リーナは、もう一度、森があった場所を見た。


 そして、小さく呟く。


「……これが、極太太陽神仏滅消却魔法……」


「いや、全然違うし。極太って……」


「に、似たようなものじゃない!」


「そうかなぁ」


「とにかく、名前がいけてない!」


「いや、俺が名前を付けたわけじゃないし……」


「は……はは……」


 ガルドが笑い始めた。


「はははははは!!」


 その笑い声が、静まり返った砦に響き渡る。


「いやあ、まいった! 本当に助けてもらうことになるとはな!」


「だから言ったでしょ」


「そうだったな! はははは!」


 リーナが、深いため息をついた。


「もう……。本当に、最初から本当のことしか言ってなかったのね……」


「うん」


 俺は空を見上げた。


 もう一つの太陽は消え、いつもの青空が広がっている。


 久しぶりに魔法を使った。


 思い切り。


 街を傷つけずに。


 ……いや、森は消えてしまったけれど。


 それでも、街は守れた。


     ◇


 翌日。


 俺たちは、いつものように冒険者ギルドへ集まっていた。


「それじゃあ、今日は別のダンジョンを探索するぞ!」


 ガルドが元気よく宣言する。


「ええ。昨日は大変だったけど、今日からまた頑張りましょう!」


 リーナも頷いた。


 俺は皆の荷物を背負った。


 すると、リーナが何かを思い出したように俺を見た。


「……ねえ、アルト」


「何?」


「昨日、あれだけすごい魔法を使ったんだから、今日も少しくらい戦闘を手伝えるんじゃない?」


「いや、ダンジョンが崩れるから無理だよ」


「…………。」


「…………。」


「……そうよね」


 リーナが深いため息をついた。


「……あんた、もう一生荷物持ちね」


「うん。俺もそう思う」


「はははは!」


 ガルドが豪快に笑う。


「まあいいじゃないか! いざというときは、また助けてもらえばいいさ!」


「そうだね。そのときは任せてよ」


 俺たちは笑い合いながら、ダンジョンへ向かった。


 今日も俺は、荷物持ちだ。


 どうやら、超級魔法しか使えない俺は、本当にダンジョン探索には向いていないらしい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


超級魔法しか使えない魔法使い、アルトのお話はいかがでしたでしょうか。


圧倒的な魔法の才能があるのに、なぜか思うように活躍できないアルト。


そんな彼と仲間たちのやり取りを、少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。


この作品は一話完結ですが、アルトたちの冒険は今後も続くかもしれません。


また、ほかにも異世界ファンタジーや異世界恋愛を中心に、短編・長編の作品を投稿しています。


気に入っていただけましたら、ぜひほかの作品ものぞいてみてください。


面白かったと思っていただけましたら、評価やブックマーク、感想などをいただけると、今後の創作の大きな励みになります。


これからも、どうぞよろしくお願いいたします!

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