表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メキシコの恐怖伝説とその他の物語  作者: Rocket_Ghost


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/14

「ラ・プランチャーダ──心を砕かれた幽霊看護師」

「ラ・プランチャーダ」という、哀しくも不気味な伝説をご存じだろうか。

現在のメキシコ・フアレス病院が、かつて サン・パブロ病院 と呼ばれていた頃──

20世紀初頭、その病院には エウラリア という、穏やかで優しい看護師が勤めていた。


しかし、ある出来事が彼女の人生を大きく狂わせてしまう。

その日を境に、彼女の運命は静かに、そして取り返しのつかないほどに暗く沈んでいったのだ──。

挿絵(By みてみん)

1900年代初頭、エウラリアは同じ病院で働く医師・ホアキンに恋をした。

彼の前に立つと胸が高鳴り、平静ではいられず、手元がおぼつかなくなるほどだった。器具を渡すときも指が震え、彼の近くにいるだけで失敗ばかりしてしまう。

やがて彼への想いを抑えきれなくなったエウラリアは、勇気を振り絞って愛を告白した。


最初、ホアキンは美しい看護師が向けた想いを深く受け止めることはなかった。

しかしある日、突然のように彼は恋人関係を受け入れたのである。

そこから二人は順調に愛を育み、ホアキンは「数か月後に結婚しよう」と約束までした。


そんなある日、ホアキンはエウラリアの家を訪れ、医師の会合に出席するために着る上等なスーツをアイロンがけしてほしいと頼んだ。

彼女は彼が喜ぶならと快く引き受け、見送った後、いつものように勤務のため病院へ向かった。


サンパブロ病院に到着すると、若い看護助手が彼女に近づき、映画に誘った。

その青年は以前からエウラリアに好意を寄せており、何度も恋人になってほしいと言い寄っていた相手だった。

しかし彼女は今回もきっぱりと断った。

いや、この日はいつも以上に強く拒絶した──すでにホアキンと婚約していたからである。


その言葉に我慢の限界を迎えた青年は、怒りを抑えきれず、彼女だけが知らなかった「真実」をぶつけてしまう。

それは、ホアキンがすでに別の女性と結婚しており、まさにその時、新婚旅行の真っ最中だという衝撃の事実だった。


エウラリアの世界は一瞬で崩れ落ちた。


その後の日々は地獄のようだった。

彼女は仕事には出ていたが、心は壊れ、看護の手元は乱れた。

患者たちは危険な状態に陥り、命を落とした者さえいた。


報われぬ愛に心を蝕まれたエウラリアは、やがて病に倒れた。

自分の手で救えなかった命の重みが胸を刺し、後悔だけが残った。

死期が近いことを悟った彼女は、深い苦悩の中で静かに息を引き取った。


──そして、奇妙な噂が広まり始める。


重病患者たちが口々に語ったのだ。

「細身で金髪の、優しい看護師が助けてくれた」と。


薬を渡してくれた者、点滴をつないでくれた者、

不安で泣きそうなときに寄り添い慰めてくれた者。

彼らは皆、同じ「古い看護服の女性」を証言した。


現在のメキシコ国立フアレス病院でも、

「見知らぬ優しい看護師に介抱された」という体験談は後を絶たない。

しかし、感謝を伝えようとすると、不思議なことに誰一人としてその姿を見た者はいなかった。


伝説はこう語る──


エウラリアの魂は、生前犯した過ちの償いとして、

永遠に病める人々を看護し続けている。

決して安らぐことのない苦悩と共に。

この物語を読んでいただき、ありがとうございました。

本作の目的は、メキシコに伝わるさまざまな伝説を、日本の皆さまに少しでも知っていただくこと であり、

決してそれらの文化を損なったり、取り込もうとする意図はありません。


もし楽しんでいただけたのなら、

私のライトノベル 『Netherworldネザーワールド』 にもぜひ一度目を通してみてください。

きっと気に入っていただけると思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ