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あ、そういえば友達出来たんだっけ

 高校、それは人生で一番輝ける時期、というイメージがあるが別段ボッチからしたらそんなことはない、ただただ授業が難しかったり、めんどかったりということが思いつくただ一教育施設という認識になってくる。

特に数学が何言ってるか分かんないよね。まあ、中3くらいから数学怪しかったんだけどね。


 といってももう今日はそのめんどい授業も終わり今帰ってるところだ。

 俺は帰宅部で家に帰ってしまえばもうゲームし放題で自由に過ごしている、たまに魔愚が出てきてそれを倒さなきゃいけないからこれまためんどいが。⋯⋯俺さっきからめんどいしか言ってねえな。

 ちなみに、ここら辺の地域にしか現れない怪物をなぜ魔愚なんて中二病っぽい名前で呼んでいるかというと、まあ⋯⋯ばっちり中2の時の俺が名付けたからです、今となっては超恥ずかしい。

 あいつら魔愚とは中1から付き合いがあるが今でも全然出所が分かってない。

分かっていることは必ず夕方から明け方にかけて明かりのない暗い路地裏などに現れる、ということくらいだ。なんなら現れる目的も分かってない。

 ただ、見た目がモンスターで謎の生物だから、という理由で最初は退治していたが、人が居ると人を襲う、ということがあってからガチで殲滅するようになった。


 だから、昨日襲われてた奴を助けれてホントによかった……ん?


「あ、そういえば友達出来たんだっけ」


 そうだ、思い出した。

 俺その助けた奴と友達になったんだっけ。すっかり忘れてた。






「何忘れてんのよ」

「ウワっ!?……お前か」


びっくりしたぁ、いきなり出てこないでくれ、心臓が一瞬三倍にまで膨らんだのかと思ったぜ。


「てかお前、何でここにいんの?学校は?」


 振り返った斜め後ろには昨日助けた空見洋海の姿が。

 しかし何でこいつがここに?どこの学校も下校し始めたばかりの時間にうちの学校近くにいるということは、もしや……。


「ハア……」

「……何だよ」

「見て分からないかしら?……どうやら一緒の学校のようね」

「まじか」

「まじよ」


 どうやらびっくり一緒の学校だったらしい。確かに今思えば薄暗かったが見たことある制服着てたかもしれない。

 そこまで見てなかったなぁ。

 ちょとまて、学校が一緒で帰っている道が共通してるってことは……こいつ、家どこだ?


「そして、いま同じ道を辿っているということは」

「家が近いってことだよなぁ」

「そういうことね、私はもうちょっと行ったところにあるY字路を左に曲がってすぐが家なのだけれど」

「え、俺の家Y字路右に行って以下同文なんだけど」


 どうやら、俺らの家は想像以上に近くにあったらしい。

 こんなに近所だったなら会ったこと何度かあるだろうと思われるかもしれないが、ぼっちには人間観察をよくする奴としない奴に分かれる、どうやら俺たち二人はその後者らしい。

特に俺の他人への無関心さをなめないでほしい。クラスの名前半分くらい覚えてないぜ。


「ん?じゃあなんで昨日帰るとき道違ったんだ?」


家が近いなら帰る道も同じになるはずだが。


「あの変なのから逃げてあの場所にいたから帰る道なんて分からなかったのよ。だからひたすらいろんな道を歩いたわ」

「だから分かんないなら分かんないと言った方が良いって……」

「2回連続で人に頼るなんてプライドが許さなかったのよ」

「はあ……」


まあ、こいつはこういう奴なんだろう。

というか、こんな即席の関係で無条件に相手に頼るなんてことはボッチはしないだろう。

だから、今のところは互いになんの気兼ねもなしに頼り合うなんてのは期待しないほうがいいだろうな。


「というか、結局俺たち連絡の取り合いもしなかったな」

「……………そういう相手が今までいなかったせいで忘れてたわ」

「………ははは」


結局、連絡しなかった理由こーゆーことなんですよねー。

互いにメッセージアプリなんて使わないから連絡先交換しててもそのアプリに意識が向かないから忘れ去られるっていう。


「笑っているけどあなたの方が笑えないわよ。あなた、私のこと忘れてたじゃない」

「い、いやそれは似たような理由で俺も今まで友達なんかいなかったから意識が──ヒィ!?」


ちょ、謎のオーラ出てる怖い怖い。


「悲しいわ、ああ⋯⋯とても悲しいわ。私の初めての相手だというのに」

「ちょっと?そういうあらぬ誤解を生みかねない言い方はやめてくれない?誰かに聞かれたら俺の立場がなくなるじゃん」


 マジでそういうのやめてくれ、小学校の時一回そんな感じのされて一時ずっと陰口言われ続けるハメになったんだから。まあボッチの俺が罪を擦り付けるいい身代わりだったんだろうなぁ。


「私のこと忘れたあなたの自業自得よ。甘んじて受け入れなさい」

「そうですね、サーセン」


まあ、周りに誰もいないから聞く人なんかいないんですけどね。


「はあ⋯⋯親睦のしの字もないわね」

「親睦つっても二日目だし、そんな早く仲良くなれるようなら互いにボッチやってねえよ」

「そうね、盲点だったわ」

「てかこんな普通に話してるんだから仲いいっちゃ仲いいだろ。つもり親睦は深めてる。十分だ」


 ほんとに、いままでの俺に見せてやりたい。

 お前は美人と話せるんだからもっと早く友達作る努力しろよーってな。


「第一、親睦を深めるために何すればいいんだよ、ケンカ?」

「そんなのわからないわよ、私に聞かないでちょうだい。⋯⋯ていうかなんでそこでケンカが出るのよ⋯⋯。ああ、なるほどドMなのね」

「おいまて、勝手にケンカして殴られることで快感を得るような人間にしないでくれ。ちげーよ?あれだよ、ケンカするほど仲がいいって言うじゃん」


 ていうか殴られる側なんですね。おかしいな?一応俺異能持ってるんだけどなぁ。


「ともかく、ケンカは論外ね」

「そりゃそうだ、ボケで言っただけだしな。お前のせいで俺が変な趣味を持ってるっていう設定追加されそうだったけどな」

「ともかくこんな生産性の皆無な会話は置いておいて、もうすぐY字路だけれど」

「それがどうした?」

「なにか親睦が深まる行動でもする?」

「親睦が深まる行動って⋯⋯例えば?」


 はて、親睦が深まる行動とは?

 こいつには何か案があるのか、さっきは私に聞かないでちょうだいとか言ってたのに、俺とは人間の出来が違うな。


「私の両親、パパは単身赴任でいなくて、ママは仕事でまだ帰ってこないのだけれど⋯⋯」

「⋯⋯おう?」


 両親のことパパママで呼んでんのか、かわいいなこいつ。

 てかこの展開はやばくね?家だろ?知ってんだぞ。お呼ばれしちゃうんだろ?


「その⋯⋯い、家に寄ってかないかしら?」

「ですよねー知ってた」

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