ホワイトデーSS
のバレンタインSSの続き的なホワイトデーSS
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「サクちゃん、今日はホワイトデーだよ!」
「吼偎闍デーとな。何をするのだ?」
先月も似たようなやり取りをした気がすると思いながらもサクヤは旭に問うた。
「バレンタインデーチョコのお返しをする日なの。ていうかその反応は私へのお返し用意してないんだね」
まあ別にお返しが欲しくて渡したわけじゃないけどと言いつつ旭はニコニコとサクヤの腕にしがみついた。
「と、いうわけで今から一緒に買いに行こう。一説によると起源はマシュマロ屋さんが企画したのが始まりで、マシュマロは勿論クッキーやキャンディとかお菓子をプレゼントするのが主流らしいよ」
「なるほど、ならば好きな菓子をご馳走する」
「やったー!じゃあ買ったお菓子でお茶しよう!」
サクヤと旭が仲良く売店に向かうと、ぴんと真っ直ぐとした背筋が気持ちのいい闇の神子直属の神官ヒナタがお菓子売り場で口元に手を当てて何やら考え込んでいた。
「やっほーヒナタさん、どうしたの?」
「ああ、風の神子…闇の神子も。じつは母達にホワイトデーのお菓子を休憩時間の間に買っておこうと思いまして」
彼もまたホワイトデーのお返しに悩んでいたようだ。仲間の発見にサクヤは少し頼もしさを感じた。
「へえ、きっとお母さん達喜ぶよ!」
「ありがとうございます」
涼しげな目元を細めて礼を言うヒナタは中々の美丈夫だと旭は評しつつ、これだけ顔とスタイルが良く、強ければさぞやモテるだろうと思い、そのまま疑問をぶつける事にした。
「ヒナタさんて恋人とかいるの?」
「いえ、現在フリーです。お付き合いしても中々長続きしなくて」
「ふーん、意外」
「両親もそれぞれ出会うまでそんな感じだったらしいので遺伝かもしれません。まあまだ若いし気長に行きます」
恋人がいない事にヒナタはあまり悲観的では無さそうだ。物心つく前からサクヤ一筋の旭には共感出来なかったが、運命の出会いは人それぞれかと結論つけて一緒にお菓子を選ぶ事にした。
ヒナタはバレンタインチョコを貰った母達へのプレゼントに小瓶に入ったマシュマロをチョイスした。そして旭はサクヤにチョコレートがかかったスティックパイを買ってもらい、ヒナタと別れるといつものバルコニーでティータイムを楽しむこととした。
「うーん、サクサクで美味しい!ありがとうサクちゃん!」
ダジャレじゃないよと言いつつ、旭はスティックパイを絶賛する。
「我の方こそ感謝する。お陰で愉快な時間を過ごせている」
紅茶と相性バッチリのスティックパイを堪能した2人は来年のバレンタインデーとホワイトデーが早速待ち遠しくなり、次は何を贈り合おうかと話に花を咲かせるのだった。