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水鏡族の村 SS置き場  作者: みふー
美少女だと思って助けた美少年がスパダリになってしまった
11/16

おまけSS

おまけSS 時間軸 突然の出来事〜恋せよ乙女の間くらいかな


ーーーーーーー




「ちーちゃん!」


 命が診療所前の雑草抜きをしていると、修行を終えたトキワが満面の笑顔で駆け寄って来た。命が立ち上がり迎えると、トキワは勢いよく抱きつく。


「修行は終わったの?」

「うん!」

「そっか、今日もお疲れ様」


 すっかり恒例の事なので抱き着かれ慣れた命は銀髪頭をぽんぽんと撫でて労ってあげた。それだけでトキワはこの上ない至福を感じる事が出来た。


「あ、ケガしてる」


 トキワの手の甲に擦り傷を見つけた命は顔を顰めて魔術で水を出し自分の手を洗った後に傷を洗い、ポケットから若草色のハンカチを取り出して当てた。


「痛っ…」

「大丈夫?」

「ちーちゃんがキスしてくれたら痛くなくなるかも」

「桜先生に頼んで絶叫するくらい滲みる消毒液塗ってもらおうか?」

「嫌だ!これで充分だよ!ありがとうちーちゃん、ハンカチは洗って返すね」


 愛おしげにハンカチを押さえたまま手を引っ込めてお礼を言うトキワに命は不審の目を向けた。どんな感情でも命に見つめてもらえるのは嬉しいが、トキワは怒られる前に理由を問う事にした。


「ど、どうしたの?」

「今まで貸したハンカチ…全然返してくれないけど、わざとじゃないよね?」


 これまでも今日の様に怪我をしたトキワにハンカチを貸す事が度々あったが、返ってきた事がないと先日自分のハンカチだけ異様に少ない事と同時に気付いたのだった。


「……ごめーん、今度まとめて返すね」


 不自然に笑うトキワに命はますます疑いが深まる。


「次会う時に返してくれなかったら、お菓子作ってもあげない」

「それは嫌だ!ちーちゃんが作ったお菓子が食べられないなんて耐えられない!ああでも、ちーちゃんのハンカチを嗅ぎながらじゃないと夜眠れないよー!」

「は?」


 聞き間違いではなければ貸したハンカチ達が変態の餌食になっている事に命は寒気に二の腕を摩った。いくら可愛い美少年でもそれはないだろうとトキワに軽蔑の眼差しを向ける。


「絶対返してね?返さないならトキワの家まで取り返しに行くからね」

「ちーちゃんが俺の家に…」


 トキワは自分の家に命がいる様子を思い浮かべてみた。リビングのソファに座る命に膝枕をして貰ったり、キッチンでエプロン姿の命と料理をしたり、自分の部屋で勉強を教えて貰ったり…想像するだけで幸せな気分になれた。


「最高過ぎる…ああでもちーちゃんをうちに招待するのは彼女になった時だって決めてるから我慢しなきゃ!」

「か、彼女って…」


 1人盛り上がるトキワを他所に命は彼女という単語に顔を赤くさせると、踵を返しそそくさと自宅へと逃げ込むのだった。

 

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