無人の処遇棟
処遇棟へ向かう。
途中、地面に見たことのない線が走っている。
線の途中には何か文字のようなものがあるが、なんだろう。
線と文字は焼けたように黒ずんでいるが、何か嫌な感じがするので線を踏まないようにする。
医務棟から処遇棟まではほんの数十メートルだが、その間にかなりの線と文字が走っている。
「ここからでも騒いでるのが聞こえるな」
未だ居室棟での破壊音は続いているが、誰も外にでてないので脱出に成功していないのだろう。
もし居室棟から脱出できたら、少し刑務所に詳しいやつならすぐに処遇棟か炊事工場へ向かうはずだ。
処遇棟に着いた。
処遇棟は、警報などにすぐ駆けつけるように基本扉は開けっぱなしだ。
入ってすぐ食堂兼待機部屋があるが、中を覗いても誰もいない。
が、食べかけの弁当や起きっぱなしのタバコや飲み物がある。
人が口をつけたものとか、刑務所にいたら気にしなくなる。
喉が渇いてたので、飲みかけのコーヒーを飲む。
久々のコーヒーだ。
半年無事故無違反だと、月に一度の集会でお菓子とコーヒーやコーラが飲めるが、前に飲んだのは時計の日付を見ると1ヶ月前。
コーヒーを一気に飲み干す。
甘味が喉を潤す。
どうやら、寝ている間全く水分をとってなく、飲み干すだけで喉が痛むが久々のコーヒーは体を目覚めさせるのに十分な量だった。
タバコとライターは貰っておく。
同じ一回には事務室や取調室、監視カメラ室などがある。
あとはよくわからない資料室やトイレ、食堂の備品庫食料庫か。
鍵がないか、事務室を覗く。
他の場所同様、看守や職員がいる気配はない。
看守は武道経験者が多く、職員は会計や清掃、食堂のおばちゃんなどだ。
看守がいれば、事態の状況など聞けたかもしれんが残念だ。
看守のデスクには特に争った形跡などなく、食堂と同じように開けたままのパソコンなど、急に看守が消えたようにそのままの状態になっていた。
この刑務所は山間にあるため、急な事故や災害に耐えるように自家発電があるため、明かりなど電気は生きているようだ。
そういえば、隣の山々に風力発電のプロペラや、施設の屋根にはソーラーパネルがあったな。
プロペラも一緒に転移したのだろうか。
まだ転移と確定できないが、空の月や看守がいないことから、ほぼ転移だと思う。
それだと、俺が娑婆に帰れる可能性がほぼゼロになるんだが。
ともかく、鍵を探す。
確か、看守は出勤時にこの部屋に携帯や財布以外の手荷物を持ってきて準備をするので、鍵や警棒などこの部屋にあるはずだが。
技官の机に、工具箱が起きっぱなしだったので何かに使えるはずなのでこれも貰う。
あ、技官の鍵が机に起きっぱなしだったので鍵は入手できた。
後は、この鍵で開く部屋から色々な物資を貰っておこうと思う。
居室棟の房キーは特殊で、古い見た目の大きい鍵だが、居室担当しか持てないので、スペアなどはとこかロッカーなどに保管されていると思う。
壁のロッカーや金庫など漁ることにする。