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今日もいい天気だ。

さあ、そろそろ羊の様子でも観てくるかな‥

と思ったら、夜になった。


ヤバイ、早く家に入らないと奴らが出てくる。

私は慌てて家に入りドアを閉めるとホッと息を吐いた。





ここはアル村。

海と砂漠と森に近く周囲を崖に囲まれた辺境の村だ。


都会からやって来たという村の祖先が開拓したとされる平地には小さな家が10数軒あり、平地だけではなく崖の途中に段々に作られた畑を耕し野菜を育て牛や羊や鶏を飼って自給自足で暮らしている。

私自身この村に移住して来て数年になるが、自給自足での生活自体に不満は感じていない。


不満ではないが不便な部分を強いて言えば、突然昼夜が入れ替わる事とゾンビが時々出没する事だろうか。


昼夜逆転はいきなりだ。

夜が昼になる時はまだ良い。

さっきの様に昼が夜になると遠出は恐ろしい。

何処からか現れるゾンビに襲われるからだ。



ゾンビに襲われた村人はゾンビになる。

ゾンビは光に弱いのか昼間はほとんど出会わないので太陽の出ている時間帯は危険は無いし、夜間も部屋のドアを閉めていれば問題なく安心して過ごせる。


村へ住み始めた数ヶ月は戸惑ったが、慣れてくれば住み心地の良い場所だ。


そんな毎日同じ事の繰り返しの中、時々ふらりと旅人がやってくる事がある。

彼らは大体が一人で、何も持たずにやって来て勝手に家に入り家具や食材や貴重な資材を持ち去る。

中には冒険者らしき鎧を着ている旅人もいるが、やる事は似た様なものだ。


村人は村が荒らされていくのを抵抗せず遠目で見ているだけだ。


なぜなら、村の掟に『旅人には自ら近寄るな。話しかけるな』とあるからだ。

私もそれを守って、訪れた旅人に興味はあるものの観察するだけにしている。


他の村からの移住者によると、旅人の中にたまに乱暴者がいて出会い頭に村人を襲う事もあるらしいので、内心みんな旅人が現れる度に緊張している。


不思議なことに、旅人がやって来るといつの間にか商人もやってくる。

商人は村人を相手にするわけでもなく、村の近くに居座って旅人だけを相手に商売をしているらしい。


とは言っても、ほとんど旅人から相手にされずに、旅人が村を去ると商人もいつの間にか居なくなっている事が多い。

たまに商人に旅人が話しかけている所を見かける事もあるが、商売人に見えない強面で無表情無言で素早く物々交換していて、旅人と何を取引しているのかは謎だ。

あの密具合は、旅人へのストーカーなんだろうかとも疑ってしまうが、それはまぁいい。


それがアル村での日常だ。


こんな風にまったりとした村の生活が、この先もずっと続く物だと私は思い込んでいた。

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