文学少女の君と紡ぐ物語
なろうラジオ大賞2 への応募作品です。よろしくお願いします。
―――無慈悲なドラゴンの目から逃れるすべなどなかった。
俺は、逃亡の仕方をミスったと悟る。
あっけなく龍騎兵達に捕縛され、俺は冷たい床に平伏させられる。
『聖女さま、、』
「・・・出だし、どう?
中野君は聖女が出てくる話、好きだったよね」
「・・・これに、繋げるんだね?」
「そう、昔約束したでしょう?」
リレー小説の約束なんて覚えていないが、まぁいいや。
今、僕の目の前にいるのは、元クラスメートの琴美。
ここはボロアパートの、僕の部屋。
待てよ?
僕は、今更ながら慌てた。
いつのまにか連れ込んだってこと?
連勤続きで疲れていた。酎ハイ2杯くらいしか飲んでないのに、酔って千鳥足で帰ってたんだ。その途中で、琴美に話しかけられ、
「お、同中、久しぶりぃ!」
って恥ずいな(笑)、とにかくテンションMAXで返事したことは覚えている。
琴美とは一緒に図書委員をやっていた。大人しい文学少女だけど、凛とした気品があって。中学時代とサイズ感、全然変わってない。
制服着てないだけじゃん。化粧っ気もないし、同じ27歳?
変だな。
そうだ、ブラック企業でひどく消耗しているらしい、って噂を聞いたことがある。
同窓会で女子がもらい泣きしていたな。「かわいそうにね、」って・・・・。
もしかして、幽霊を招き入れちゃった?とか?
ま、来てくれて嬉しいよ。好きな子だったし。
琴美が聖女っぽいていうか、聖女が琴美っぽいていうかさ。
「じゃ、続き行くね」
―――『聖女様、お慈悲を、とでも、、?』
聖女の美しい、だが冷たい瞳が逃亡者を見下ろしている。
『もう、遅いが、、』
「はい、どうぞ」
―――『あなたは、聖女なんかじゃない! 本物の聖女様を監禁して乗っ取りを企てた、ただの、』
聖女(偽物)は動じる気配もない。
「え?台詞途中でパス?」
―――『ただの、おねぇだ!』
『さすが名探偵。だが、知らぬが仏って、、』
僕は、詰まった(仏の話はマズイ?)。
「私のこと、何か聞いてる?」
「い、いや、」(成仏しないで、あと少し)
「終電の心配しないから、わかってたのね?」
「え?」
「私、先日から隣の部屋の人」
「え?」
「今、食べる?、引っ越しカップそば♪、」
「サンキュ♪」
僕は、2人分の湯を沸かして待った。
あれ?
沸騰したやかんを止めても、戻って来ない。
呼びに行く?
だけど、隣が空き部屋のままだったら、、?
「お待たせ~」
「お湯、沸いたよ」
「おにぎり追加~♪」
「わぁい」
渡してくれたその手も、暖かかった。
読んでくださって、ありがとうございます。
1000字縛りなのに、劇中劇形式チャレンジ(アホですが、演じ分けが聴きたくて)
文字数余ってたので、付け足しました。
おにぎり 追加~♪