最後のメロディ
推理小説協会の理事、高木伸一郎が、あるマンションに住まう某ピアニストを訪れたところ、彼は自宅のピアノ部屋で、後ろから背中を刺され、鍵盤に覆いかぶさるようにして殺されていた。
グランドピアノの上には楽譜も鉛筆もなにも置いてなかった。
彼は戸締りには無頓着で、玄関には鍵が掛かっておらず、在宅中は誰でも自由に部屋に立ち入りできたらしい。
高木は隣人から話を聞くと、その日は天気がよく、窓を開けていたので、ピアノの音が良く聞こえたという。ピアニストは、バッハのイタリア協奏曲を練習していたが、突然、不協和音とともに、曲が止み、しばらくしてから、あるメロディーが数回、聞こえてきた、と証言した。
そのメロディは高木もマンションの外で聞いていた。
マンションの入り口にはセキュリティシステムがあり、その日マンションを訪れたのは高木だけ。
高木は、マンションに入る時、三人の人物が出て行ったのを見かけた。
管理人と防犯カメラを確認したところ、それらの人物は全員このマンションの住人であり、すぐに人物の特定ができた。
1.羽田 貞江 アパレル関係に勤め、ピアニストと男女関係があった。
2.安部 博 高利貸しをしており、ピアニストと金銭トラブルがあった。
3.エイダ・ウォン ときおり喫茶店で働いていたが、国際企業スパイであるとの噂があり、本業は不明である。
高木は、最後のメロディーを思い出すと、通報を受けてやってきた警察に、三人のうち、ある人物を追うように提案した。
メロディは、「ドー↘ラー↘ファファー↘ミー↘、ラー↗レー↘ラー」である。
さて、その人物は、誰か。
三人の中から選び、その理由をのべよ。




