表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/40

LifeRomans -2

本当に幽霊がいるのかもしれない。

 しかし、よく考えてみると、自分たちで調べる必要など無かったのである。夕季は由理を待って、学校から出ると、真っ先に由理の家に向かう。あれ?っと疑問符を浮かべる由理に少し隠れているように言うと、立派と言えるたたずまいの高峰家のチャイムを押した。ちなみに首を後ろに捻ると明星家だ。少し前の殺人事件の時、一度だけ高峰家に来たのだが、そのときに誰かからそう聞いた覚えがある。

 しばらくして、三十台と言ってもまだ無理があるような若々しい男が顔をのぞかせた。由理の年齢を考えると、せめて三十代後半のはずなのだが。黒いシャツは、さっきまでたたまれていましたと言わんばかりに折り目がはっきりしていた。おそらくさっきまでは上は何も着ていなかったのかもしれない。突然の客人に慌てて出てきたような感じがある。いや、慌てて、というよりも、面倒くさいという不服をたっぷりもって出て来たという方が正しいかもしれない。

「何だ、お前か。急にどうした」

桐得はまた赤の他人に戻ると言っていたが、こいつはその限りでは無いらしい、と潤一郎は目の前で礼儀正しく挨拶をする少女を見て思った。夕季が着ている制服、娘も着ているものでもあるが、それを見ると毎回校長だか教頭だかに対して不安になる。もしかしてそれはお前たちの趣味なのかと。

 夕季が言うには、この前の事件の二人目の被害者の資料がほしいらしい。二人目の被害者、というと、あの少女のことだ。確かに、一応調べてあるし、それはまだ残している。一応潤一郎としてはそれを渡すくらい何とも無いが、一応個人情報という奴である、理由も聞かずにはいどうぞと渡すわけにはいかなかった。つまり、

「あれだ。理由はともかく理由を言えってやつだ」

「奇妙な言い回しね。理由なんているかしら?」

夕季は意味深げに笑みを浮かべる。連動して、潤一郎の眉根がよる。

「何かあったのか」

真剣な口調で問う。

「何も」

すると、意味深な笑いをすぐに消して、からかうように笑った。つまり、夕季は理由を言うつもりはありませんということらしい。あるいは単にからかっているのか。どちらにしろ面倒だ。潤一郎の面倒という子供じみた心根の前に、被害者少女の個人情報は漏洩した。漏洩させて、さっさと明後日のほうへ行く夕季をため息をつきながらながめた。由理とは仲がいいらしい。下手に由理が超常現象の世界に足踏みしてしまわないかと心配だ。銀時も確かに由理と仲はよかったが、頻繁に会っているということも無くて大丈夫だろう。しかし、潤一郎の心も知らず、夕季はすぐに由理と合流した。潤一郎の見る前で。

「で、何でうち?」

 ため息を吐きながら家に入っていく父を見送りつつ、由理は聞いた。幽霊少女の元となった人物の情報を、家で得られる理由が分からない。もしや、父は変態だったのかと、由理は勘ぐる。そんな由理の的外れな考えを夕季は表情から読み取った。しかし、まだ訂正してはやらない。

「幽霊かどうかを確かめたら教えてあげる」

ファイルの中にいくらかの情報が紙媒体として挟まれている。その中から写真を抜き取って由理の前に突き出した。由理はそれを手に取ると、夕季の態度を怪訝に思いながら、写真をよく見た。写真の少女は、病的に白い肌をしている。目はくりくりと大きくてかわいいはずだ。かわいいはず、というのは、少し痩せすぎていて、この写真ではあまりかわいいようには見えないのが原因だ。髪は長い。胸から上の写真のため、どこまでなのかは分からないが、少なくとも写真の中でおさまってはいない。髪は真っ黒だ。幽霊少女と比べると、まるで別人だ。髪色がどうとかいう問題ではなくて、雰囲気が違う。だが、あくまでまるでだった。由理の直感が同一人物だと告げているのだ。それに、雰囲気さえ変えれば幽霊少女に合致しそうだと誰もが思うだろう。

「同一人物、だと思うよ」

「なるほど。じゃあ、幽霊はいるということになるわね」

神妙な顔になる由理だが、夕季は案外あっさりしていた。最初疑いはじめたときには眉根を寄せていたのだが。

 夕季は写真を由理から受け取るとファイルに戻し、カバンの中にしまいこんだ。そして歩き出した。由理もつられて歩き出す。

「で、由理のお父さんがなぜ資料を持ってるか、だけど、本当に聞きたい?」

心の中を見透かしたような質問だった。しかし、見透かしているなら本当にいいのかなどと聞く必要は無いだろうと、由理はそう思いながら首を縦に振る。すると、夕季は急に真剣な顔になってうなずき返した。

「この町で、殺人事件が起きたのよ。それを私や由理のお父さん、あと二人の野郎とで解決したんだけど、その事件の被害者の一人がその女の子だったのよ。犯人を見つけるために、被害者の近辺を調べるのは当然でしょ?」

夕季の答えは、由理からすると、肝心なところが抜けているように思われた。事件をなぜ、一般人である父が、高校生である夕季が解決したのだろうか。そもそも、少女が死んだのは事故だったはず。由理が疑問を口にすると、それを待っていたと言わんばかりに夕季が笑った。かわいた笑い方だった。

「超能力、というものが存在するのよ」

理由はともかく理由を言え。

はい、JOJOネタです。SBRです。第七部です。

パロディをいれつつも、その一言で潤一郎のやる気の無さ遊び人っぽいところ、を表現してみよう、とした一言でした。


ところで、実は、この彼日の物語のキャラクタは、別の物語に使う予定でしてね。

JOJOのスタンド(超能力に姿がついたような守護霊みたいなもの)の概念を利用した二次創作作品に使う予定だったんです。

もっとも、二次創作を書くつもりは無かったので、キャラクタのディティールを細かくして、ついでに改造して、で、一次創作を書いたら、見事にJOJOっぽいよ!

せっかくだからJOJOネタもやってみました。という話でした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ