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LifeRomans

血を持たぬ幽霊少女は血を欲する吸血鬼男から逃げ切った。

 夜が明けてしばらくたった。灰色髪の少女はまだボロアパートの屋上で、まだ少し夢の中にいる。彼女がおきるのはもうしばらく経ってからになりそうだ。

 灰色髪の少女が寝ているのとちょうど同じ頃、太陽が空から一切の暗みを追い払い終えたくらいの頃、夕季は学校で、由理に幽霊の噂がどうのこうのというメールについて話を聞いていた。幽霊なんていものは信じているつもりは無かったが、自称鬼とかいう妙な知り合いが出来てしまったせいで少し聞いておいたほうがいいかと思ったのだ。それに、夕季は、オカルトを信じていなさそうな人間として認識されやすい。そんな人間にどうしてオカルトを持ち込んだのかと少し疑問を持った。ただの気まぐれと言えばそれで終わりだが、せっかくだから疑問という形にしてみたのだ。

 噂のあらましを聞いたところで、怪訝に目を細めた。事故死した少女、もとい事故死に見せかけられて殺された少女のことは知っている。その事件を表に出ない形で、被害者遺族に知られぬ形でだが、解決したのだから。確かに、すさまじい事故に見えたのだろうが、オカルト話の種になるようなことだろうか。ニュース番組を見れば、もっとすさまじく、もっと悲惨な事故事件を目にすることが出来る。幽霊がどうのこうのと騒ぎ立てるのなら、そういう悲惨な事件事故を材料にしそうなものだ。それとも、地元のことだから騒ぎ立てているのだろうか。

「たぶん、噂になってる原因はその死んじゃった子にそっくりの子がいることだろうね」

「そんな子がいるの?」

眉根まで寄せて、怪訝というよりは疑うような顔になっていく。

「うん。まぁ、でも、私は死んじゃった子を見てるわけじゃないけど、そっくりの子っていうのには会ったよ」

「なんでそっくりって分かるのよ」

「その噂話に出てくる女の子の特徴をそのまま反映したような子だったし、それにそっくりって言っても言われなれてるみたいだったし。制服も同じ学校のやつだったから、」

「ちょっと待って」

半ば焦り気味に由理の言葉を止めた。止めながら、思う。夕季の人生は、間違いない、この町に来て百八十度変わった。いや、百八十度どころか、さらに何回転もしているかもしれない。

「そっくりってことはいいってことにして、本当に同じ制服だったの?」

夕季の態度が真剣なものへと変わりつつあることに気付いて、由理は気圧された。

「本当に同じだよ。見間違いってことはないよ」

「どうして同じだと分かるの?」

「噂の出所の、女の子のクラスメイトと同じ学校の制服だったからね」

「女の子?」

「死んじゃった子」

そこまで聞いて、あぁ、夕季は、反論の余地が無いことに気づいた。確かに証拠が無いとつつくことができる。だが、証拠なら探すまでも無く簡単に持ってこれる。由理が白昼夢を見ていたとか、そういうことで反論することは出来るが、それを認めるのと幽霊を認めるのとはほとんど同じ難しさだ。

「どうしたの?」

由理が不思議そうな顔をしている。夕季は切れ長の目を閉じて、疲れたように息を吐いた。すぐに大きく吸い込んで、また吐いた。そうして目を開けると、この奇妙な現実を受け入れる準備は出来ていた。

「由理、そのそっくりの子っていうのは幽霊よ。ほぼ間違いなく」

え。と目を丸くして、いきなり何を言い出すのだろうと由理が驚く。

「でも、……どうして?」

なぜオカルト信仰に目覚めたのかだとか、幽霊なんているはずが無いという反論だとかは飲み込んで、由理はとにかく理由を聞いた。

「本当にそっくりさんなら、噂話にすらならないはずよ。同じ学校の制服を着ているということは、同じ学校にいるということ。もしそっくりさんなら、最初の目撃者も女の子と同じ学校にいるんだから、そっくりさんがいるということも知っているはず。だから騒ぎ立てるはずはない。別の中学にいるそっくりさんだとしても、どうしてその学校の制服を持っているの?中学生じゃないとしてもやっぱり同じ理由になるわね。妹から借りて悪戯、とかそういうのだとしたら、妹の笑い声が聞こえてきそうなものね。それに高校に噂がきた時点で、そのそっくりさんが暴かれるわ」

「なるほど」

一気にまくし立てた夕季の言ったことは、なんとなくだが理解できた。しかし、もし夕季の言うとおりなら大変なことだ。幽霊の存在を認めざるをえなくなる。

「反論できるかしら」

「えっと、科学的にありえない」

由理は自分で言っておいて、それは何か違うような気がした。科学的にありえないは確かに真理だったが、なぜだか、目の前にいる諦めのついたような表情の美少女に対しては、全く意味のなさないように思われた。それはある意味、当然の事である。夕季にとって科学的にありえないとは、自分自信が既に突破してしまった言葉だったからだ。

「もっとも、反論できないわけではなくて、その幽霊少女の風貌とか声とかが女の子と違うことを証明できればいいのよ。もしかしたら別にそっくりでもなんでもない子にからかわれただけかもしれないし」

幽霊なんていないってことを願いましょう。夕季は、放課後、暇だったら一緒に行こうと誘った。お願いだから、これ以上やっかいそうな超常現象は存在しないでくれという気持ちから、夕季は桐得に脅されたわけでもないのに、部活をさぼることにした。もしこれで、本当に幽霊が存在すると確認できてしまったら、夕季は由理と共に、超常的面倒沙汰に巻き込まれていくことになるのだが、奇妙な出来事の、かけらにでも触れてしまったなら、もう追求していくしか道は無かったのである。

更新速度が上がっている。これはッ、創作が速過ぎて、後々つじつまが合いにくくなってくるフラグッ!!

まぁ、一章よりは練られたシナリオになるのは間違いないですがね。

一章とゼロ話は考えが無さすぎました。一章、ゼロ話のボスを務めた痩せ型氏がかわいそうかな。

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