74.エイミーの気持ち
あいつは王国の人間だった。
私に一緒に来いと言っていた。
私達ってそんな関係だっけ?
いいや違う。遠慮なく私の部屋に入り浸る、あいつがずうずうしい男だっただけ。そして私がそのずうずうしさに心地良さを感じてしまっただけ。
どうしようか。行っちゃう?
でも帝国の人間が王国の人達に馴染める?
その昔に帝国を裏切ってできた国、ナディール王国。学のない私でも知ってる。政府が散々教えてくれるんだ。ナディール王国は謀反と裏切りでできた国であるため、それは正さなくてはならないって。
だけど、あいつってばかなり自由気ままな性格してるけど、それが許される国。
上司が帝国の女を連れて来てもいいよって許しちゃう国。
女神信仰に厚い帝国の人間なら誰しも憧れている聖地、アデル聖国にだって行けちゃう国。
でもあいつについて行って、私が帝国の人間だとバレたら虐められるに決まってる。
知らない人しかいない所で「まあ、がんばれ」なんて言われて放って置かれるに決まってる。
友達が一人もいない私の目の前で、他の可愛い女の子の肩なんか抱いちゃったりするに決まってる。
行かない。絶対行かない。
田舎の弟や妹のためにお金送ってあげなきゃいけないしね。絶対行かないんだから・・・。




