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あたしも聖女をしております  作者: 斉藤加奈子
第二章

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181/231

181.夜会①

誤字脱字報告ありがとうございます!感謝です!

 夜会用のドレスは神殿側が準備してくれた。

大聖女として社交界に出席することもあるからと、あらかじめ仕立ててくれていたドレスだ。

ドレスだけでなく、髪飾りや首飾り、靴に至るまで大聖女の名に恥じない最高級の品を用意してくれていた。


ただしデザインは神殿で決められたものだし、何着も仕立ててくれる訳ではないのでずーっと同じ物を使い続けることになるけどね。


今回はロビンとケビンのために、大聖女前面押しで行くのでこのドレスで行くことにした。


 大聖女のドレスは白を基調とし、金とエメラルドグリーンを差し色としたクラシカルなデザインもの。スーザンのドレスも白を基調として銀と紫を差し色とした私のドレスより少しシンプルなデザインのものだった。

護衛のグローリアも夜会バージョンの煌びやかな騎士服を纏いお伴に付いた。


 アディーレ大神殿で白色聖女の手を借りて着付けをすませると、ナディールの中央神殿へ転移。

そこには盛装のロビンとライオネル王太子殿下が迎えに来てくれていた。

わたしとロビンとグローリアがアンダーソン子爵家の馬車へ。ライオネル殿下とスーザンが王家の馬車へ乗り込み夜会会場へと向かった。


 ベンロマッケン侯爵家の夜会会場へ到着し、ロビンにエスコートされ会場入りする。


すでに多くの貴族が集まっており、多くの注目を集めてしまった。皆わたしの姿を認めると、次々に姿勢を正し略式ながらも礼を執ってくれる。


ロビンに促されながら広い会場をずんずんと奧へ進むと、会場を見渡すようにコの字にソファが配置された、いかにもVIP席っていう感じの場所に案内された。


わたし達はそこでくつろぎながら会話を楽しむ。

すかさず近寄る飲み物の給仕係。


「マリエッタ様、りんご酒はいかがですか。」


ロビンが給仕係から二つ飲み物を取るとそのひとつを手渡してくれた。

りんご酒はロビンが護衛に付いてくれているときにもわたしが好んで口にするお酒だ。


「ロビンありがとう。」


それを受け取り、ちょっとだけ喉を潤す。

普段、寡黙に護衛に付いてくれているロビンに紳士的な振る舞いされると何だかちょっと照れてしまう。


「マリー、ロビン、殿下、ご機嫌よう。」


声をかけてきたのはリカルド様だった。

リカルド様はパートナーにセイラを連れていた。

セイラのドレスはネイビーの生地の上にレースを重ね、デコルテを大胆に見せた上品さと色っぽさ兼ね備えた大人っぽいものだった。


「セイラ!リカルド様!もう来てたのね!」


「ああ、少し前に来ていたんだ。」


「セイラさん、そのドレスとっても似合っているわ。」


「ありがとうございます。マリーさんもとっても素敵です。」


「其方達もこっちへ座るといい。」


ライオネル殿下に勧められてリカルド様とセイラもソファへ腰かける。

リカルド様のお屋敷で会うことの多いセイラとこんな所で会うなんて、少しウキウキしてしまう。

気が付けばわたしは仲の良い人達に囲まれて楽しい時間を過ごしていた。


しばらくすると「セイラ、あっちに君の好きなチョコレートケーキがあるよ。食べに行こう。」と言ってリカルド様はセイラの手を取り席を立った。

リカルド様の腕にセイラが手を添えて、並んでどこかへ行く二人を見て想像以上に仲良くなったものだと思わず頬が緩んだ。


「マリエッタ様、私と一曲踊っていただけますか?」


「ええロビン、喜んで。」


予定していたロビンとのダンス。

ロビンの差し出した右手に自分の左手を重ねると会場の真ん中へとエスコートされた。







 リカルドとセイラ嬢が席を立ち、ロビンとマリーは踊りに行った。

この辺で俺もスーザン嬢を誘ってみるか。


「スーザン嬢、俺と踊っていただけますか。」


お得意の『王子様スマイル』でダンスに誘う。


「光栄ですわ。」


普段冷たい表情の彼女が、大輪の花が綻ぶように微笑んだ。

ふむ、こんな風に笑うこともできるのか。


「いつもそうしていれば良いものを。」


つい本音がこぼれた。


「どうかなさいました?」


「いいや、普段から美しいと思っていたが今夜は一際美しいと思っただけだ。」


ひねりのない褒め方だが、素直な感想を言ってみた。


「!! あ、ありがとうございます。

私には勿体ないお言葉ですわ。」


俺の腕の中で華麗にステップを踏むスーザン嬢は目線を逸らしたまま、耳まで真っ赤になっていた。

また新たなスーザン嬢の一面を見た気がして少しだけ面白くなった。


「本当に今夜のスーザン嬢は美しい。

その美しさについ見とれてしまったよ。」


「揶揄わないで下さいませ。

私、褒められることには慣れておりませんの・・・。」


「慣れていない?其方ほどの美しい女性なら男共が放っておかないだろう。」


「そんなことはございませんわ。

私、公爵令嬢だった頃は元婚約者としか踊ったことがありませんでした。

それも義務だから仕方がないのだと言われて。

その元婚約者も義妹に心を奪われてしまい、私を褒めて下さるどころか嫌われておりましたわ。

私を美しいと言って下さるのは殿下だけです・・・。」


「そうか、それは辛いことを思い出させてしまったな。申し訳ない。」


「気にしないで下さいませ。

私、今は幸せですわ。マリエッタ様にお仕えして毎日が充実しておりますの。」


そう言って、スーザン嬢ははにかみながら微笑んだ。

本当に見た目の印象とは全く違う、うぶな少女のような女性だと思った。

俺は一層彼女に興味を持ってしまった。


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