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あたしも聖女をしております  作者: 斉藤加奈子
第二章

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174/231

174.一言お断り

誤字脱字報告ありがとうございます!感謝です!

 ポンダナオ南神殿からパルディアン城へと転移。


「ようこそおいで下さいました。

マリエッタ様からお会いしたいとは珍しいこともあるものですな。」


パルディアン国王が、人好きのする朗らかな笑顔で出迎えてくれた。


「忙しい中お時間を下さって感謝致しますわ。」


「なになに、マリエッタ様が会いたいと仰れば他のことなどさて置いて真っ先にお会い致しますぞ。カーカッカッカッカ!」


気のいいおじさんという雰囲気の国王は、わたし達を自ら応接室まで案内してくださった。


「別荘で不便はございませんか。」


現在滞在中のプライベートビーチ付き別荘は、『守りの祝福』ついでに楽しんで行ってくれと国王陛下のご厚意で使わせてもらっている。美味しい南国料理に洗練された使用人。心配りの行き届いた手厚いもてなしを受けている。

そして更に気にかけるような言葉を下さる。


「とても快適に過ごさせて頂いてますわ。プライベートビーチで散歩するのがとても気に入ってますの。」


「今の時期、運が良ければウミガメの卵が孵化して子ガメが海へ帰るのが見えるかも知れませんぞ。」


「まあ、本当に?!」


「本当ですとも。月夜の晩に小さなウミガメが大海原目指して、一生懸命に砂浜を這って行くのですよ。」


と興味のそそられる話をしてくる。

パルディアンの国王はコミュ力が高いようで、少し話をしただけでとても楽しませてくれる。


「ところで、本日はどういった用向きで?」


話の区切りのいいところで陛下が切り出した。


「今日、ここに参りましたのは、この国で事業を興そうと考えてそのご挨拶に。」


「左様でしたか。どのような事業かお伺いしても?」


正直にマンゴージュースの移動販売と、真珠養殖事業を考えていると簡単に説明する。

陛下は「それはそれは。」「それは素晴らしい。」と柔やかに相槌を打ちながらも目は真剣だった。

それは国のことを第一に考える為政者の目だと思った。


「マリエッタ様、マンゴージュースの移動販売と、真珠養殖というとても興味深い事業、我が国からも是非支援させてもらえませんか。

資金だけでなく、有能な人材も遣わせます。」


わたし達のやろうとすることに一枚噛もうとしてくる陛下。


うーん・・・。

お金はわたしがたくさん持ってるし、

神殿にも優秀な人材はたくさんいる。

正直に言えば国からの支援は必要ないかな。


ポットINポットは年間を通して気温の高いこの国に広まれば、庶民の生活が僅かばかりではあるけど便利になるのは間違いないだろう。


真珠養殖は成功したら莫大な利益に繋がることはわたしだって分かってる。

国益を考えたら陛下がこの事業に参加してその技術を国のために活用したいと考えるのも当然と言えば当然か。


「陛下、支援は結構です。

NOポットNOライフは簡単な仕組みですので、すぐまねしていただいても構いませんわ。

ドミニク、後で資料を陛下へお渡しして。」


「はっ、」


非常に不本意ではあるけどこの国では『ポットINポット』と言うより『NOポットNOライフ』と言うことにした。

皆に馴染みやすい方がいいと思って。


「真珠養殖事業は必ず成功するとは限りませんし、試行錯誤することもあります。

何年かかるか分かりませんが、成功しましたら事業を買い取って頂けないかしら。」


「マリエッタ様!!」

「大聖女様!!」


スーザンとドミニクが声を荒げた。

大聖女が出資して、大聖女が興し、大聖女が成功させたものを易々と譲っていいのかと責め立てるような声だった。


しかしわたし達は忘れてはいけない。

真珠養殖事業は孤児達のお金を稼ぐための手段に過ぎない。

本当の目的はパシク孤児院の救済なのだから(あとわたしの真珠のネックレス作り)。


「スーザン、ドミニク。

わたし達のお役目を忘れてはなりません。わたし達は金儲けのためにここにいるのではないのです。」


「も、申し訳ございません。」

「は、はい・・・。」


とか格好いいこと言っちゃったけど、本心は『もし成功しちゃったら国へ丸投げしてしまおう』だ。


だって成功してこれ以上お金を儲けちゃったら使い切れないし。

それに色んなところから目を付けられたら厄介だし。

事業の拡大とか大変なことになるのは面倒くさい。パシク孤児院が平穏無事に運営できればそれでいいのだ。


「これは驚きましたな。こうも簡単に譲ると言って下さるとは・・・。」


「まずは成功してからの話ですわ。」


「そうでしたな。

まずは成功してからですな。

ところでハーパーベル領の孤児院はそんなにも困窮してましたか。」


今度はパシク孤児院の状況を聞かれた。

わたしは見てきたこと、聞いたことを話す。

陛下の顔は徐々に微笑みを忘れ為政者としての顔に変わっていた。


「ハーパーベル領は近年税金が上がり続けていると聞いてはおりましたが・・・ふむ。」


陛下は綺麗に整えられた顎髭を撫でながら何かを考え込んだ。


為政者が悪政を敷けばその分、弱く小さな者からしわ寄せが行く。

このまま放っておけば飢えた子供が増える一方だ。そしてそれは子供だけでなく大人だって。


陛下はハーパーベル伯爵に税を安くしろとか働きかけてくれるのだろうか。


しかし貴族の領地内のことは領主の権限と責任だ。国王といえどもとやかく言うのは難しいと思う。

無論、宗教関係者のわたし達が政治に口出しすることなど出来ない。


「何とかせにゃあなりませんな。」


何かしらの手を打ってくれるらしい。

近い将来ハーパーベル伯爵は為政者としての資質が問われる日が来るのかも知れない。


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