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あたしも聖女をしております  作者: 斉藤加奈子
第二章

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141/231

141.いざ帰還

誤字脱字報告ありがとうございます!感謝です!

 今日からわたしの正式な大聖女としてのお務めが始まった。

通常のお務めに加えて、暫くはここアディーレ大神殿を含めた五つの大神殿を回らなくてはならない。


五つの大神殿とは、

北に女神信仰発祥の大神殿、アディーレ大神殿。東にはナディル帝国にあるシェーネス東神殿。南にはパルディアン王国にあるポンダナオ南神殿。西にはカルザニスタン王国にあるカラマーダ西神殿。そして五つ目にナディール王国にある中央神殿、正式名称はフローリアス中央神殿。

これらの五大神殿が周辺諸国にも存在する大小併せて約八千ある神殿を統括している。


その各大神殿では書類の名義変更や署名、多大なる支援をしてくれた信者に対しての礼状、その大神殿が所在する国とその周辺国の王と王妃の謁見、ついでに守りの祝福の更新が必要ならかけ直し、その国の視察など予定が詰まっていた。


 いつも通りのお務めの後、最初の謁見に応じたのはアデル聖国の国王と王妃だった。

お二人とも白髪混じりのプラチナブロンド、ブルーグレーの瞳で優しそうな方達というのが第一印象だった。


アデル聖国の王家と神殿側との関係は、大変良好な関係にある。

もともとアデル聖国が女神信仰の発祥の地というのもあるが、ソフィーア様がこの国の出身であったりして、そのおかげでこの国は発展を遂げてきた。


巡礼者を相手にしての観光産業や、国とソフィーア様と協力して進めていた教育機関や研究機関の創設などこの国の政治と教団は切っても切れない関係だ。


わたしがソフィーア様ほどこの国に貢献できるとは思えないけど、今後とも協力しあって参りましょう。と約束して謁見を終えた。


 その他にも謁見に応じる国の中で、印象的だったのがファイデリティー王国との謁見だった。


その国の王妃は、ナディール王国のヴィクトール陛下の姉君にあたるダリア様だ。どこかで見たことのある雰囲気の女性だな。と思ったら思い出した。

ダリア様はわたしとエリーの講師を務めたルーシィ先生が若かりし頃、御身代として仕えたお方だ。


一通り挨拶を交わした後、「ルーシィの初恋の話など聞いてみたいと思いませんか?是非お茶でも飲みながら・・・」と

非常に興味をそそられるお誘いを受けた。


危うく「是非に!」と言ってしまいそうだったが、マクシム神殿長が「ダリア王妃、女神の代理人とあろうお方をそう気安く誘っては困りますな。」と制止した。


危ない危ない。うっかりその手に乗せられてお誘いを受けてしまうところだった。自分で自分の性格は分かっているつもりで、グイグイと来る人には何かと断り切れないところがある。

ダリア様に押し切られたら色々と断る自信なんかない。

マクシム神殿長に止めていただいて良かったと思っていたら、「チッ」と聞こえたような気がした。

ん?気のせいか?と思いダリア様を見ても、笑顔のままだったのでそのまま気のせいだと思うことにした。







 アディーレ大神殿での謁見や書類仕事(かなりスーザン任せ)、地方視察などを済ませて六日目。

いよいよナディール王国に帰る日が来た。


スーザンとシャルロッテもナディール王国へ居を移すことにした。

住まいは中央神殿付属の宿泊棟だけどね。


国王陛下と王妃には、スーザンはナディル帝国の公爵家の令嬢でありながら、リリーティアに嵌められて国外追放の刑を受けたことや、わたし達が誘拐されたときに身を挺してまで守ってくれたことを説明したら、ナディール王国の国民として戸籍を作ってくれると約束してくれた。


これでスーザンは無国籍から、ナディール王国の国民となる。スーザンにしてみたら帰りたくてもナディル帝国に帰れなくなってしまった。

それでいいのか聞いてみたけど、「未練はありません。寧ろ国王陛下には受け入れて下さって感謝しかございません。」と言ってくれた。

スーザンが寂しい思いをしていないのならそれでいい。でもまあ、どっちみちわたしが帰さないけど。



 わたし達は荷物をまとめると転移室に集まった。

わたし付きの者、ライオネル王太子やリカルド様、国王陛下と王妃、そしてシューツエント一家とそれぞれのお付きの者など総勢二十五名と大量の荷物が集まった。

わたしとスーザンとシャルロッテ以外は皆、転移するのは初体験の人達なので目を輝かせて興奮気味だ。

「マリエッタ殿、何秒で着くのだ?」と意外にも国王陛下が一番落ち着きがない。


「いやはや、我が国から大聖女が誕生するとこの様な役得があるのですな・・・。長生きをしてみるものでございますな。」


と白い髭を撫でながら誘ってもいないのにちゃっかりここにいるのは中央神殿のローランド神殿長。

まあ、今後お世話になるしついでだからいいんだけど。


そしてわたし達は眩い光に包まれ、目を開けた先には中央神殿の白の神官がお出迎えをしてくれていた。


五秒だった・・・。


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