表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あたしも聖女をしております  作者: 斉藤加奈子
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

102/231

102.不本意

誤字脱字報告ありがとうございます!感謝です!

 エーデル山での修業生活三日目。


物置部屋で釣り竿を見つけて、持って行こうか悩んだ。

お魚は食べたいけど荷物になるし・・・釣りをしたことないし・・・餌を釣り針に付けるのってどうしたらいいか分からないし・・・それに一匹だけで十分だし・・・。


まあ、要約すると釣り針に虫とか付けたくないのです。と、いうことで昨日と同じ装備で出かける。


 今日も頂上まで登り、祠で祈りを捧げる。今日も変化なし。


昨日は動物達に採集したものを強奪されるという悲しい目に合った。

今日はというと、残念ながらやはり採集したものが奪われている。

わたしがドングリ拾いに夢中になっていると、ドングリを籠に入れる側から盗まれていたのだ。

いつまで経っても籠の中身が増えないからおかしいと思ったら、気配も感じさせずに真後ろに鹿やリスがいたのだ。


その時はさすがに叱ってやったけど、これからはあの子達に採集した物を分けてあげることにした。

あの子達のためにドングリを中心に木の実、果物、野いちごを用意する。

果物をそのままあげても二口しか食べないので、食べやすいようにカットすることにした。これなら食べるでしょ。


昨日の食料強奪現場に到着すると、既に待ち構えている子が何匹かいた。

期待に満ちた瞳で見つめてくる。

これは完全にわたしのこと餌を運んで来てくれる人だと勘違いしている。


そして一頭の鹿が近づいて来た。

また籠を荒らされては敵わないので、籠の中のカットした果物を掴み、ぽーいと投げた。鹿の意識は投げられた果物に向かった。


すると、他の動物達がボクには?といった雰囲気で近づいて来る。

それと同時に茂みからワラワラと動物が現れた。


わっ!昨日より増えてない?

わっ!近付かないで!


「はいはい、分かりましたから急かさないで!」


カットした果物をぽーい!

クルミやドングリをぽーい!


気が付けば昨日より多くの動物が集まっていた。

わたしの集めた食料に群がる野生動物達を見て思う。

野生動物達よ、野生は何処に置いて来た?


 結局、籠の中身を全て出し尽くした。


「はーい、ご覧の通り何も残ってませーん。」


籠を逆さにして何も入っていないことを見せる。まだもの欲しそうにわたしを見つめる動物達。


「明日はもっと持ってきますから。」


わたしは動物達とそう約束?して別れた。これでわたしは動物達の下僕と成り果ててしまった。


 その後休憩するため途中林檎などを採りながら沢へ向かう。


そして昨日と同じように休憩すると、川へ向かった。今日も魚が食べられたら嬉しい。

昨日は転けてしまったけど、今日は上手くいく気がする。

魚を無理に掴む必要はないのだ。

掴んだ瞬間、逃げられないように河原へ放り出せばいい。

そう考えながら歩いていると、川へ到着した。


わたししかいないと思っていたのに川には先客がいた。

───熊だ。


熊は川の真ん中より少し対岸寄りにいた。そこはこちら側より流れが急で水深も少し深い。

そしてわたしの姿を確認すると、待っていたかのように立ち上がり左手を大きく振りかぶった。

バッシャーン!!と大きな水しぶきを立てると同時に、魚が二匹。

対岸の川岸でビチビチと跳ねていた。


す、凄い・・・。

熊は一瞬で魚を二匹漁って見せた。

しかもわたしが昨日漁った物より大きい。


そして熊は再度わたしの方を見ると、薄らと口角を上げて前歯を見せた。


!!


もしやあれはドヤ顔?!

あまりのショックで言葉も出ない。リベンジしたくても魚漁りに関して勝てる気がしない。


わたしは負け犬らしくすごすごとその場を立ち去った。

もう二度と川へ行くのはよそう。


負けたからっていうのもあるけど、野生の熊と二度も遭遇してしまった。

あの熊がわたしを襲う感じはしなかったけど、身の安全を考えたら避けた方がいい。


あぁ、わたしの食料・・・。


わたしはもう少しだけ採集をすると山を下りた。







 エーデル山での修業生活も一週間が過ぎると、わたしはすっかり山の動物達の飼育員と成り果てていた。


なるべく多くのクルミやドングリ、果物などを採集して、果物は食べやすいようにカットした。

それをまんべんなくばら撒くのがわたしの日課となっていた。


「慌てなくてもいいから!まだありますから!」


クルミやドングリをぽーい!


「ほら!そこ!ケンカしない!」


カットした果物をぽーい!


動物達のなかで評判になっているのか、日に日に動物は増え、少し離れた場所に狼や熊まで来ている。

わたしは力を込めて遠くの方まで餌を投げる。


不思議なことにわたしの目の前で肉食動物が草食動物を捕食しているところは見たことがない。


つくづく思う。

野生の本能どこ行った?

そしてわたしはなぜこんなことをしている?


リカルド様の健診で「痩せてきたね。しかも貧血気味だよ。」と言われた。


スーザンから大聖女様の伝言で、


「『山のありとあらゆる恵みを食しなさい。聖なるエネルギーを体に取り込むためです。』との仰せです。」


と言われてしまった。

自分でも分かっているんだけどね。

肉や魚を食べていないし、食事の量も少ないから痩せてきているのを。


でも今更餌付けしてしまった動物達を捕らえて食べようと思えなくなっているし、もう一度魚を漁ろうと思って川へ行って見たら熊が二頭に増えていたし。


まあ、貧血にはなっているけど食べる物はあるのでなんとかなるだろう。

『食べられる森の植物図鑑』のおかげできのこや山菜などそれなりにメニューのバリエーションはあるのだ。


ただ・・・秋の実りのあるうちに神器を授かりたい。

冬に入ってしまうと食べるものが・・・。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ