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そんなことを考えていると気配察知で15メートルほど先に微弱な気配を感じる。
魔獣系は相当格上じゃない限り、気配察知で場所はわかる仕様だったことを思い出す。変わっているかもしれないが、とりあえず気配がしたところまで走る。AGIが低いからか、現実よりも足が遅く、なれるまで大変だと考えていると、少しひらけた場所につき、いたのはラビットだった。毛繕いをしており一生懸命手を動かしている。
チュートリアルで5メートルほどになると突進してきたのを思い出す。スマホ版はターン制の戦いだったのでいまいちモンスターの行動はわかっていないが、チュートリアルだけで違う行動をとることはないだろう。
地鳴らしは範囲が5メートルだが、発動しても突進して来る方が早く、効果でないかもしれない。突進の時、相手が地面に足をついている時に発動しなければならない。
ウォークライはわざわざ単体のために使うのはなんかもったいない気がする。しばらく考えて自分なりの最適解を出した。
バトルアックスを地面すれすれに構える。いつのまにか毛繕いをやめてこちらをみているラビットに近づく。5メートルほどになるとチャートリアルと同様にもう突進してきたので思いっきりバトルアックスをすくい上げる。
「ギュッ!?」
と変な声を出しラビットが斜め上に吹っ飛ぶ。このゲームにもコンボは存在するため欲張ってコンボを発動させれようと吹っ飛んだ場所に向かって走るが、いきなり体が宙に浮く。そして落ちる。
「ブヘァッ」
と変な声を出して転んだ。近くに落ちてた枝につまづいただけだったが、少しHPも減っておりラビットを探すとミリ残りしていたHPも落下ダメージで削られ、死んでいた。ダサい転び方をしたことに加え、なんとも言えない記念すべき最初の狩を誤魔化すように咳払いをしてその場を後にした。
森の中でいい感じの大きさの石を見つけると、よっこらせと座り、ここでやるのはあまり良くないと思いながらも、グロ設定をリアルから遠ざけた。
殺したラビットをよくみたらなかなか気持ち悪いものだったからである。また、相手のレベルの表示をオンにしてレベルを表示できるようにした。
しばらく最初のかりのように兎狩りを楽しんでいるといつのまにかレベル10に到達しており、兎じゃ物足りなくなり、レッドボアや単体のウルフが出るような奥に進んだ。
敵のレベルもスマホ版と変わらず自分のレベルから2、3レベル違うものが出る場合がほとんどだったため、結構すぐにレベルが上がって行った。
兎を見かける頻度が少なくなり、レッドボア、ウルフがメインとなっていった。
レッドボアと始めて戦った時は突進が避けれず、がむしゃらに戦い、なんとか勝ったようなものだった。
しかし、レッドボアは自分のことを察知してからとにかく突進してくるのだがどうやら方向転換ができずに、直線にしか走ることができないと気づき、2回目からはちょろいもんでとりあえず走ってきたら左右に避けて野球のようにバトルアックスをスイングするのを続けるだけでよかった。バトルアックスの威力も強いのか2、3回繰り返すだけで倒せた。
ウルフは猪やウサギに比べ戦いにくく素早い動きで噛み付いてきた。兎と猪に比べパターンがなく、初めて戦ったときは何回か攻撃をくらい苦戦したが、地ならしが有効だとわかるとウルフも楽に倒せるようになっていった。森の奥へ奥へと進み、たまにウルフの群に出会うくらいまでになっていた。
狩が楽しくてたまらずどんどんとレベルも上がりレベル20になる頃には日が暮れはじめていた。