大事なことほど忘れてしまう
「「私達、離婚することにした!」」
「・・・はい?」
今私に離婚宣言をしたのは、何を隠そう私の両親だ。何故、私の両親がこんなにも明るく離婚宣言しているのか?そんなの私が聞きたい。私の両親はとても仲が良いというわけでもないが、離婚する程危機的な状況ではなかったはずた。
「゜突然ごめんなさいね。驚いたでしょ?」
「うん。ものすごく驚いてる。なんで離婚するの?お母さんとお父さんって仲悪くなかった...よね?」
「ああ、仲悪くはないな。」
「なら、どうして?」
「あのな、実はお父さん達、お見合い婚なんだ。俺もお母さんも親、つまりお前のおじいちゃんとおばあちゃんが結婚に五月蝿くてな。どちらもお見合いばかりさせられてた。でも、俺もお母さんも仕事一筋の人間で、結婚とか考えられなかったんだ。そんな時に俺達はお見合いした。もちろん、親がセッティングしてな。それで、段々と話していくうちにお互い似た者同士だってことに気が付いた。それで、お互いのお見合いをこれ以上回避するために結婚した。・・・言うべきかどうか迷ってたんだけど...本当はお前を、子供をつくる気はなかったんだ。でも、親が五月蝿くて嫌々子供をつくったんだ。」
そこまで言ったお父さんは、今まで隠していたことをいうことが出来た反動か大きなため息を吐いた。さっきまでの明るい雰囲気はどこへ行ったのかと言うような重い空気になっていた。それに、お父さんの話が本当なら、私は実の両親から望まれず産まれたことになる。そのことが、私を酷く悲しませた。そして、それと同時に怒りを感じた。愛し合ってないのに私を産んだこともそうだし、なによりそのことを私自身に言ったことに腹が立った。そりゃ、言った本人はスッキリしたかもしれない。でも、言われた側はどうしたら良いんだ。こんなこと、まだ中学生の私には受け止めることができない。
「朱里、いきなりこんなこと言われたらしんどいでしょう。お父さん、余計なこと言わないで。」
重苦しい静寂を破るようにお母さんはそう言って、私を抱き締めた。産まれた時から、私を抱き締めてくれたお母さんのいつもハグに少し私は落ち着いた。
「朱里、貴方を世界で一番愛しているわ。確かに、私達は愛のないままに貴方を産んだわ。でもね、すんごく痛い中産んだ貴方はとっても可愛いかった。一目で大切にしたいと思った。でしょ、お父さん?」
「あっああ...。もちろんだ!朱里は俺の世界一だ。」
「ホントに?」
「「ホントに!」」
その言葉に、私はお母さんとお父さんの愛を感じることができた。そのことに安堵してしまって、涙がこぼれた。
「よ゛っよかっだ。わっ私、お母さんとお父さんから愛されてないのかとお゛っ思って、怖かった。」
「大丈夫大丈夫。朱里は私達の大事な大事な娘よ。」
「ああ、その通りだ。」
それから、私はずっと泣いていた。もちろん、そこに負の感情は無い。ただただ私は安心したんだ。寝る直前だったから、私はしばらくして自分の部屋に行って寝た。でも、興奮しすぎて寝れなかったのはもう少し高校生にもなるのに恥ずかしいから、秘密だ。
ん?待てよ、何か大事なことを聞いていないような...。