─95日目 大阪編17:現在─
今回のタイトル、『現在』と書いて“いま”と読んで下さいね♪
「「……おおー」」
ども、薫です。咲良も落ち着いたので取り敢えずお父さんの所へ行ってみたのですが……。
「おう薫!もう終わったのかーっ!?」
『ちわーっす!!』
庭にシート敷いて飲んでるよこの人達。
「……何やってんの?」
「飲んでる!」
見りゃ判るわバカタレ。
「全員酔うとるな」
「そーですね……」
「まーまー!お前らもこっち来いって!」
数メートル先で父が空のビール瓶をぶんぶん振り回している。いや素で危ないんですけど。あとここからでも大分酒臭いんですけど。
「おじさーんウチにも一杯!」
「待てや小学生!!」
さっきのどんよりムードが嘘のようなテンションで走っていく咲良。てかダメだよ?未成年はお酒を飲んじゃダメって親に習いませんでしたか?
「ガハハハ!おう飲め飲め!」
……どうやら彼女の親はそういうの教えていないようです。
「おーい息子!早く来い来い!」
わざわざ勧誘すんなダメ親父。
「さぁ坊っちゃんも一緒に!」
坊っちゃん言うな黒服。
「薫君も飲め!今日は宴やーっ!!」
おじさんまで……。
「薫ー!早よ来ぃやぁ!」
「…………」
でも、今だけはいっか。
「かーおーるーっ!!」
皆、楽しんでる。
「……はいはい」
咲良も、笑ってる。
「おう、祭や祭やー!!」
『おーっ!!』
この瞬間が楽しいのは、間違いない。
うん、楽しもう。この時を。この瞬間を。
「一番咲良!いっきまーす!」
「でもそれだけは認めねぇ!」
……でも僕の場合、楽しむよりも止める方が先のようです。
「……で、問題は解決したの?」
「うん」
時と所変わって翌朝、マイホーム。リビングにて我らがママンに事情聴取的なのをされています。うーん昨日の記憶があれ以降存在しないのですが……お父さんに聞いても『知らない方が幸せな事だってあるんだぜ』とか言って教えてくれないし。何があったんだろう?今度咲良に聞いてみますか。
「そう。なら良いのよ♪」
にっこりと微笑む母。でもねぇ……。
「でもねお母さん。僕が失った物は大きいよ」
目線を下におろすと、椅子に座っている僕に座る杏奈の頭がある。
……えー、説明しますとですね?僕達が帰ってきたのは今日の早朝なんです。で、杏奈に悪い事したなと思った僕は寝てるであろう妹の部屋に行ったのです。するとビックリ、杏奈は僕が帰るまでずっと起きてたのです。
『おにーちゃん!おかえり!』
『え、杏奈!?起きてたの!?』
『うん、ずっと!』
『ずっと!?お母さんと寝たんじゃ……』
『おきてたの!』
『そ、そっか』
『おにーちゃんとねるもん!』
『え、今から?』
『ねるもん!!』
『……あい』
「ふみゅ〜……」
「…………」
で、現在。新幹線で結構寝た僕とは違い、ずっと起きてたらしい杏奈はまだ夢の中。お船をこっくりこっくりと漕いでおられます。
「それだけ薫が好かれてるのよ♪」
「そうなのかなー……」
将来とか考えるとお兄ちゃんちょっと困ります。でも可愛い妹に好かれて嬉しくない筈無い訳で。
「……複雑です」
「贅沢な悩みだな息子よ」
うるせーやい。
「それに比べて俺は……なぁママ、俺、どうしたら杏奈ちゃんに好かれるかな?」
「無理♪」
「うわあああああああああああああああああん!!」
「……ストレートですね」
「嘘言っても仕方ないでしょ?」
それもそうですね。
「ふみゅ〜……」
ところでこの子、何時になったら起きるのでしょうか?トイレに行きたくても行けません。てか行きたいんですけど。
「ふみゅ〜……」
ふみゅ〜じゃなくてさ。
「……ふりゅ〜」
そういうことじゃなくてさ。
……まぁいっか。
今が楽しければそれで、ね?
……あれ、こんなの昨日も無かったっけ?ああでも今はトイレにぃぃぃぃぃぃ。
「みゅひゅ〜……」
「もう限界!お母さんパス!」
「え?おっと」
「ふぇ……おにーちゃん?どこいくの?」
「トイレ!」
「といれ?わたしも〜……」
「ダメ!」
「だめ?なんで〜……?」
「ダメなものはダメ!!」
「じゃあママも」
「何言い出すんだママン!?」
「なら俺も」
「お前は何なんだよ!?」
「もう4人皆でトイレだ!」
「「おー♪」」
「なんっでやねーん!!」
……楽しければそれで、ね?
今というこの時間は二度とは来ません。だからこそ悔いの無いよう、生きていければそれが一番良いんですけどね(^^# でもそれが出来たら苦労しませんね(笑)