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─93日目 大阪編15:感慨─


薫です。電話中だったりします。相手は予想外の咲良だったりします。


『何や、ウチが電話したら変なんか?』


「うん」


『シバくぞ』


だって君性格大雑把そうじゃーん。


「で、僕に用事?」


『おう。ネックレスの礼、ちゃんと言うとこ思てな。ありがと』


「あーそうだったんだ。そこまでしてくれなくても良いのに」


『そーゆーのはちゃんとしとかな気ぃ済まんねん』


案外律儀だった咲良に正直感心しました。


『それと……他にも話しときたい事とかもあるし』


「そっか。じゃあ子機に代えるからちょっと待ってて」


『わーった』


咲良の返事を確認した後、保留ボタンを押し自室にある子機を取りに行く。


「あら薫、誰からだったの?」


二階へ上がろうとリビングから出ようとした所でお母さんに呼び止められた。


「大阪で知り合った子。話があるからって」


「あらそう。お友達が出来て良かったわね♪」


「お友達じゃ無くてアイツの彼女だよママ」


「なっ!?」


ソファの上で寝転がっていたお父さんが言い放ったその一言に同様を隠しきれなかった僕。


「え!ホントに!?嬉しいわぁ娘がまた一人増えるなんて♪」


マミー、話が飛躍しすぎではあるまいだろうか?


「とにかくそう言う事だから、先に部屋戻るね」


「うん。邪魔しちゃってママ反省☆」


可愛く舌を出してもそれで心が動じるのはそこのダメ人間だけです。……あ、世の男性方にもか。


「おにーちゃん、あとでわたしのおへやきてね!」


やっと母から解放されたと思ったら今度はお前かい。足にひしっとくっ付かれてもお兄ちゃん困るんだけど……。


「うん。ちゃんと行くから」


「やくそく!」


「はいはい約束ね」


差し出された小さな小指に僕も小指を出し、交える。


「ゆーびきーりげーんまーんうそついたらのーます!」


何を?


「さーす!」


だから何を?


「ひっこぬくー!!」


いやだから何を?


「ゆびちぎったー!」


え、マヂで?……ああ良かった、僕の小指は無傷だ。千切れてたら本気で笑い事じゃ無くなるしね。これ一応コメディだしね。あれ?何言ってるんだろう僕。


「じゃあ杏奈、また後でね」


「うん!」


自分でもよく解らないツッコミを入れながらも指切りを終え、漸く二階の部屋へと入り子機の通話モードをオンにした。


「もしもし待った?」


『ううん、今来たトコだから大丈夫だよ♪なぁんて言うと思ったかボケ』


言っとるやん。


「ゴメンゴメン、妹とかに絡まれてたからさ」


『あん?薫って妹おったんや?』


「言って無かったっけ?6つ年下の妹が居るって」


『あーホンマや。87話で言うてるなぁ』


「87?」


『あんま気にしいな。大人の事情や』


「はぁ」


どんな事情だよ。


『で、話やねんけど……』


と、急に声のトーンが下がる。一体どうしたんだろうか?


「うん、何?」


『………………』


返事は無い。


「……咲良?」


『……薫、一個聞いてもええか?』


「え?良いけど……どしたの突然」


『超能力って……信じとる?』


「………………は?」


超能力?超能力ってあの……超能力ですよね。スプーン曲げるのとかそういうの。


「何言い出すんだよ咲良、超能力なんて」


『ええから答えて!』


怒鳴り声に近い咲良の声が耳元で響く。うわぁ鼓膜に優しくない……というのはこの際良いとして、


本当にどうしたんだろう?明らかに様子がおかしい。


「えっと……超能力、だよね?信じるって言うかあんまりそういうの考えた事ないなぁ」


『そっか……』


「でも超能力が無いとは思わない、かな」


『え?』


「人間にはさ、解明されてない力がまだまだあると思うんだ。そうじゃないとここまで技術が進歩したりとかしなかったんじゃない?まぁつまり言えば、人間のその進歩自体が凄い。僕からしてみれば十分超能力みたいなもんだよ」


『何か小難しいな……ようは信じてんねんな?』


「そうなるね」


『……………………』


「でもどうしたの?急に超能力を信じる信じないなんて」


『それは……』


「それは……何?」


『…………ウチが…………超能力者…………やから』


「……………………」


しばしの沈黙が走る。超能力者だとカミングアウトされて何を言えば良いのやら。


『サイコメトラーって知ってるか?』


「サイコメトラー?ああ……確か人の心とかが読めたりするってやつか」


前に自分がそうだと言い張る外国人がテレビに出てたのを見たっけ。それはそれは見事な小細工っぷりだったな。


『ウチがそうやねん』


「へー咲良がサイコメトラー……」


なんですと?


「い、今何と仰いました?」


『ウチがサイコメトラー』


「………………」


うそん。


『ホンマや。薫がこっち来てた時も、アンタの心を無意識に読んでたもん』


「……あ!」


思い当たる節が幾つもある。しかもそれって大概咲良に触れてた時……。


『……信じられへん……よな、やっぱり』


「咲良?」


……声が、震えてる。


『ウチって……やっぱ変やんな』


……声が、泣いてる。


『でもな……ウチ……ウチは…………』


その時の僕はあまり難しく考えず、


「咲良」


ただ、そうしなきゃって思って。


「どうして電話で言うんだよ……」


『え……』


「切るよ」


電話なんかじゃ判らない。そう思い、子機を切り、リビングへと下りる。


「お父さん!」


「んー?どーしたー?」


「大阪に連れてって!今すぐに!!」


「ちょ……薫どうしたの?」


驚いたのかお母さんが尋ねてくる。でも今はどうでも良かった。


「理由は言えない、でも大阪に行かなきゃならないんだ」


お父さんの眼を見て言う。真剣だと解って貰う為に。


「…………………………」


「…………………………」


「……わーったよ。何があったか知らねぇがマジなのは解った。準備しろ」


「うん、有り難う」


「パパまで……!」


「ママ悪い。ちょっくら行ってくる」


「……帰ったら訳を説明する事、良いわね?」


「分かった」


「? おにーちゃん?」


「杏奈ごめん、今日は約束守れない」


「え……っ」


「明日、明日は絶対守るから。今日だけは我慢してくれ」


「おにーちゃん……」


「杏奈、今日はママと寝よっか♪ね?」


「……うん」


杏奈も何かを察したのか、すんなり聞いてくれた。……明日から三日は覚悟しよう。


「薫、行くぞ」


家の前で父の背に乗る僕。荷物なんて物は一切無い。邪魔なだけだ。


「何時でも」


「よっしゃ」


父が地面を蹴る。時速100km位のスピードで道を駆けて行く。


「にしてもお前がそこまで焦るなんてな」


「……たまにはね」


だって、思ったから。


咲良とちゃんと会って話をしなきゃって。


だって、思ったから。


咲良の泣く所なんて見たく無いって。


焦る気持ちを抑えて、僕は出来る限り早く大阪へと向かった。


話が急?父親が可笑しい?ハハハハ、そんな訳無いに決まってるじゃないですか(Σ ただ車よりも父親が早いだけですよ?普通ですよアハハハハハh(ry

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