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─85日目 大阪編8:吐露─


「サクラー、ちょっと良いか?」


サクラです。ホテルの部屋でカヨちゃん達と遊んでたらカオル兄に呼ばれました。


「なんという告白フラg」


「何言っとんじゃお前は。違うから。聞きたい事があるだけだから」


「まー兄妹で告白もどうかと思うけどさ」


「話聞けっちゅーに」


むぅ、ノリが通じないなぁ。


「んで何さ?」


「お前、今日何かあったか?倒れたのは抜きで」


「ぇ……?」


「例えば頭痛とか目眩とか……無かったか?」


「少し頭痛はあったけど……」


それがどうかしたの?と聞く前にカオル兄は


「そっか。分かった」


とだけ言って帰って行った。


「? 変なの……」











──俺が部屋に戻ると、ベッドに寝転がっていたカイトが上半身を起こしこちらを向いた。


「……どうだった?」


「……少し頭痛があったらしい」


「じゃあお前の言った通りってワケか」


「そうなるな」


互いに溜め息を吐く。出来ればただの貧血であって欲しかった。カイトの勘違いであって欲しかった。カイトもそう思っているだろう。


「……約束したからには話して貰うぞ」


「ああ……」


俺は一息入れ、口を開いた。


「まず初めに聞いておきたい事がある。カイト、お前“サイコメトラー”って知ってるか?」


「さいこめとらー?」


あ、コイツ絶対知らないわ。平仮名表記だし。……え、何の話だって?聞かないのがお約束でしょうよ。


「良いかカイト、サイコメトラーってのは……」


“サイコメトラー”


物体や人に触れたりする事によってその物(者)の記憶、心理等を読み取る事が出来る能力者の総称。能力の発動方法は様々であり、『触れる』という動作が最も有名な例であるが詳細は不明。世間一般では超能力者、予知能力者として扱われており、テレビで見掛ける超能力者を名乗る者の中にも実際に存在している。


「……って事だ」


「つまりは読心術が使える奴なんだよな?」


「多少アバウトな見解だけどそんな所だ」


「んで?そのサイコメトラーがサクラちゃんと何の関係があるんだよ」


「……サクラにはその能力があるんだよ」


「はぁ?イヤ、んな事って……第一サクラちゃん自身がそんな能力持ってるなんて今まで一度も」


「アイツはまだ自覚してないだけだ。今は無意識の内にちょくちょく使ってる程度なんだよ」


「ま、まぁそうだとしても何だってんだよ?」


「……恐らく今回サクラが倒れた原因は記憶の混濁だ」


「記憶の?」


「今日お前達は通天閣に行ったんだよな?」


「お、おう」


「サクラはその通天閣の記憶を読み取ったんだろうな。その記憶が流れ込んできたせいで一時的に脳がパンクしたんだ」


「ちょっと待てよ、無意識なのに出来るのか?」


大阪(ここ)は特別なんだ。サクラにとっても、俺にとっても」


「? 益々意味解んねぇ」


「そうだな。先に俺の昔の話をしないと理解出来ないだろうし」


なら先にしろっての。と言わんばかりの視線で睨んでくるカイト。


「さて……何処から話そうか」


それに釣られて俺も話を始めた。











──時は6年前の春休みにまで遡る。


「ここが大阪かー!」


お父さんに連れられて初めて大阪にやって来た僕はやけに興奮気味だった。


「コラコラ、勝手にどっかに行くなっての」


走り回る僕の手をしっかり握るお父さんの手。大きくて温かい手だ。


「ねーお父さん」


「ん?何だ薫?」


「どうして大阪に来たの?」


「父さんの知り合いの娘さんに薫を紹介しようと思ってな」


「? 要はお見合い?」


「……そんな小難しい言葉を何処で覚えてくるんだ?」


「お母さんに教えてもらったんだよ」


「やっぱりか……」


お母さんの事になるとお父さんはよく苦笑いをする。こういうのを尻に敷かれてるって言うんだよね。


「着いたぞ」


そんな他愛のない会話をしている間に目的地に着いた僕たち。見るからに立派で巨大な和風の屋敷だ。


「ほっ」


お父さんはチャイムもお構い無しで門を押し開く。中には大勢の大人の人たちが腰を低くしていた。


『兄貴!ご苦労様です!』


「誰もてめーらの兄貴になった覚えはねーよ。オヤジ居るか?」


「へい、中でお待ちになっています」


「おう。ほら薫、行くぞ」


「はーい」


お父さんと僕は案内役の人に着いていく。それにしても広いなーここ……迷子になっちゃいそうだ。


「ここです」


「ん、もう良いぞ」


「へい」


僕たちが案内されたのは大きな襖の前。


「オヤジー、入るぞー」


お父さんはその片方を豪快に開ける。そこには大きなつんつるりんの男の人が居た。


「早かったんやな」


「予定より早く仕事が片付いたからな、早目に来ただけだ」


「む?そっちのちびっこいのはもしかして……」


「ああ、俺の息子だ。ほら挨拶」


「初めまして。薫です」


「おー偉いのう!ワシは玖紋 劉壱っちゅーんや。好きなよーに呼んでくれ!」


「じゃーおじさん」


「ガハハハハ!おじさんって呼ばれたん初めてやわ!」


「相っ変わらずテンションたけーな」


「これが普通やねん!お、こっちも紹介せんとな。おーい!」


おじさんが後ろに声を掛けると、奥の襖が開き、一人の女の子が此方へやってきた。


「お父さん呼んだ?」


「ワシの娘や!薫君、仲良くしたってな!」


「は、はぁ……」


「……………………」


その子は暫く僕を睨んだ後目の前までやって来て、


「よろしゅうな」


手を出してきた。


僕はその手を握り返そうと


パチーンッ!


「……ふぇ?」


……すると手を弾かれました。


「アハハハハ!アホやなー自分、今時握手なんてする訳無いやん!あーおもろー♪」


「あ、あはは……」


「おーっと自己紹介まだやったな」


女の子はにっこり笑っていた。


その笑顔に僕は見とれた訳で……。


「玖紋 咲良や。よろしゅう!」


これはそんな女の子……咲良と僕のお話。


諸事情により投稿が遅れました……orz 今回はカオルとカイトの会話をポイントとした話だったので描写は少なめにしました。ええホントに。手抜きじゃありませんからね?笑 そして過去編突入〜♪過去編ではシリアスな結末の予定及びその他諸々の理由で名前を漢字にしています。間違ってたらまた言って下さいm(__)m   それと全く関係ありませんが、先日短編を書いてみたので気が向いたら読んでみて下さい。タイトルは『勇者くんと魔王さま』です♪

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