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─79日目 大阪編2:会話のムズさと大切さ─


──俺はよく夢を見る。


その夢は。夢とは思えない程に鮮明で。


「……………………の」


俺の中で流れ続けて。


「……て…………たの」


俺の中に残り続けて。


「……して……ったの」


俺の心を縛り続けて。


「どうして……こんなことになったの?」


“彼女”はただそう言って涙を流して。


俺は何も言い返す事が出来ないままで。


何も…………………………何も、言えなくて。











「カーオルー?」


「えっ……?」


ふと隣に座っているカイトに呼ばれて気の抜けた返事をしてしまった俺。


俺達は今新幹線に乗って大阪へと向かっている途中。いやー最近の乗り物は速い。景色が次々に変わっていくよはっはっは。


「おー速い速い!」


「人がゴミのよーだー」


「寧ろ米ね」


「ぬ、チアりんも言うよーになったねー♪」


後ろの席ではハイテンションなサクラ達が騒いでいる……まぁたまには良いだろ、こういうのも。


『……………………』


だから周りの視線なんて全然気にしナーイ。


「何汗かいてんだお前?」


「うっさい」


「そう言えばさ、泊まるトコってあんの?」


「心配すんな。さっきホテルに連絡しといたから」


「お、サンキュ!」


「カオル兄にカイトさん、トランプやろー」


後ろから身を乗り出して来たサクラがトランプ片手に聞いてきた。


「やるって言っても席無いだろ」


今はサクラ達4人と俺達4人がそれぞれ向かい合わせの状態。これで一緒にトランプは流石に……。


「むぅ、なら仕方ないかぁ」


「そうそう。ホテル着いてから一緒にやるから今は我慢してくれ」


「悪ぃなサクラちゃん」


「はぁーい」


あら、今日は大人しいな。何時もなら食い下がらないのに……。


「ん?」


ふとサクラの体勢を見ると、こっちの背の部分に顎を乗せて、自分達の方に足を引っ掛けてる……。


………………。


「し、しんどい……」


うぉい。身体ぷるぷるしてんぞ。


「とにかく降りろ!」


『……………………』


周りの視線がさっきより痛いし!


「譲れない物が……そこにはある!」


「ねーよ!良いから降りろ!」


「あはは……」


「ちょっとハルカ!笑ってる場合じゃ無いわよ!」


「へ?」


ど、どうも。突然ですがホンジョーです。只今カオル君達と向かい合わせの席に座っています。ぷるぷるしとるサクラちゃんと何度か眼が合い、どう反応すれば良いのか困って苦笑していたのですが……そんな中少し険しい顔のアミが私に話し掛けてきました。


「折角カオルと向かい合わせなんだから話しなさいよ!向こう着いたら多分今以上にこんな機会無いって!多分!」


「ぇ、ええっ」


「ええっ、じゃなくて!これはチャンスよ、チャンスなの!」


「ちゃ、ちゃんす……」


そうなのかな……?私はこうして目の前にカオル君が居るだけで十分。


「──なぁんてまた思ったりしてるんでしょ?」


「はぅっ!」


バレてます。私の心境筒抜けです!


「何でも良いから話しなって。別にこのシチュなら違和感も無いしさ」


「う、うん」


そうだよね。何でも良いから話さないと……。


「カオル君!」


「はい?」


サクラを元の位置に戻してやっと落ち着いたカオルです。えー、よく分からないけどホンジョーさんに呼ばれました。だから何で顔赤いの。風邪……じゃ無さそうだけど。


「ちゃんす……チャンス……chance……」


俯きがちにぶつぶつと呟いてるのは一体?


「あ、あのっ!」


顔をばっ!と上げてこっちを見てくる。


「な、何でしょうか?」


オイ何で敬語なんだ俺?


「そ、そのっ、ええと」


「取り敢えず落ち着こう」


「は、はいっ!」


すー、はー、と深呼吸。


「あのっ!!」


おお、凄い決心の着いた顔をしている。何を言うつもりなんだ……?


「好きな食べ物何ですか!?」


………………えー。


「えっと、味噌汁とかかな。和食全般なら何でも」


「そ、そう、なんだ」


「……それだけ?」


「うん、そうだけ」


「ハルカーちょっとトイレ着いてきてー」


「どぉぉぉぉぉぉぉ……」


……アミに引き摺られて行きました。


「んあ?何だアリャ」


「まっっったく解らん」






「なに!やってんの!」


「うぅ……っ」


再びホンジョーです……私の必死の会話も虚しくアミに否定されてしまいました。


「何処のアンケートよ?もっと世間話とかしないと!」


「で、でも何話したら良いか解んないよぉ」


「ならあたしがカオルと話してみるから、それを参考にしてみてよ」


「うん」






「たっだいまー」


「長いトイレだったな。てかトイレあったのか」


「知らなかったの?遅れてるわね〜カオル」


「新幹線のトイレの有無だけでんな事言われるのもどうなんだろうな」


「ハハ、まーアメ上げるから気にしないの」


「子供か俺は」


「まだ未成年でしょーが」


「イヤそうじゃなくて」


すごいアミ……カオル君と普通に喋ってる。よーし私も……。


「カオル君、これ良かったら食べて」


「ん?ああガムか、有り難う」


「あとこれも良かったら」


「クッキー?あ、ありがと」


「他にも色々」


「ハルカー他の車両の様子見に行こー♪」


「あぁぁぁぁぁぁ〜……」


「……おいカオル、だから何だアリャ?」


「だから全く解らんと」






「……ハルカ、さっきのは?」


「え、アミが飴渡してたから私もお菓子渡せば良いかなーって」


「何でそうなるのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


「はぅっ!?」






──この後大阪に着くまで、私達2人がカオル君達の元へ戻る事はありませんでした……うぅっ、私って何時もこんな感じ……。


ホンジョーさん……うん、あんな感じでしょ?何か間違ってますかね?間違って無いでしょ?ね?ね!?     ……スミマセン今後自重します。(^^;

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