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─71日目 カオルのお仕事(前編)─


──早朝。


携帯に一通のメールが届いた。


「……来たか」


既に身支度を終えていた俺は携帯を開き、メールを確認する。


『斑鳩第4翼 高橋薫様


標的の占拠地及び地図を送信致します。


数は4人。内1人は捕獲、劉紋会まで、との事です。


それでは、ご武運を祈ります


劉紋会関東支部一同』


「相変わらずカタイ文章だよな、もう少し愛嬌あっても良いと思うんだけど」


軽く笑いながらも携帯を閉じ、ズボンのポケットに閉まい込む。


「さて、そろそろ行くか」


サクラを起こさないように、一切の足音を立てずに玄関へと向かう。


「……行ってきます」


ただ、それだけを言って。











──送られてきた地図によると、場所は家からそう遠くは無かった。30分もすれば見えてくるだろう距離。人気の少ない朝の路を歩きながら、俺はもう一度携帯を見直す。


敵は4人。


内1人は捕獲。


「となると……やっぱり頭、だよな」


先日オダさんが言っていた、格が違う奴だろう。正直言うと捕獲は難しいかも知れない。


「ホント、嫌な仕事だよ……」


そんな愚痴をこぼしながらも、俺は1人歩いていった……。











んちゃ。たった今起きたサクラでふ。


顔を洗うために一階へ降りると、テーブルに一枚の置き手紙が。


『サクラへ


少し出掛けます。朝と昼の分は作ってあるのでそれを食べるように。晩には帰るから心配無用。


何かあったらカイトに連絡しといてくれ。


K』


「……むぅ」


目を擦りながら内容を読む。カオル兄は昔から置き手紙の時には自分の名前書かずに頭文字だけ書くんだよ。別にどっちでも変わらないのにねぇ?


「……ユッキーでも呼ぼうかな」


「呼ばれる前に居たりするのさー☆」


「うにゃ!?」


突然現れたユッキーにびつくり!イヤそりゃするでしょ!?


「どっから入ったのユッキー?」


「正面からだけど?」


嘘つけ。窓開いてるじゃん。


「およ?今日はカオルっち居ないのん?」


「朝から出掛けてるみたい。晩には帰ってくるって」


「ふーん……」











「結構風あるな……」


俺は今、目的地から50メートル離れているビルの屋上に居る。目的地の中の状況をより知る為に。


俺の視力、感知力は半径約100メートルまで効く。家に居るときに何処からか人が侵入したりしても分かったりするので便利だ。因みにこの能力は斑鳩全員が使える(範囲等は個々によって異なるが)。


「…………」


どうやら敵は4人の他には居ないみたいだ。二階に3人、三階に1人か。


「よし、じゃあ行きますか」






そして。


「任務開始」


鍵の掛かったドアを破壊し占拠地へ乗り込む。


「何だ!?」


ちっ、もう気づいたのか。


「んだテメェは!?」


「あ、ただの高校生なんでお構い無く」


「あ、そう?でも茶くらいはってゴルァッ!!」


無駄にノリ良いなーこの人……ん、殴りかかってきた。


「ほいっ」


「ぶへぁっ!?」


顔を壁に思い切りぶつけてやりました。


「………………」


1人目完了。


「何だ!?」


また人が気づいた。


「んだテメェは!?」


「それさっき聞いたよ」


2人目が現れた。


「ふんっ」


「へぶらっ!?」


床に叩きつけてやりました。


「………………」


2人目完了。


「何だ!?」


……またかよ。


「んだテm」


「いい加減にしろやぁっ!」


「げふぉっ!?」


顔に飛び膝蹴りをかましてやりました。


「………………」


3人目完了。


「……これなら俺じゃなくてもいけたんじゃね?」


それともオダさん達が弱すぎるのか……真相は闇の中である。


「どっちにしろ残りは1人だ」


さっさと捕まえて帰ろう。うんそうしよう。アレ?でもなーんか忘れてるような……。


「ヘェ……これ、君がやったのかい?」


「?」


階段の上の方から声がしたので顔を上げると、さっき倒した人達とは明らかに違う雰囲気を醸し出した、俺とあまり歳が変わらなさそうな男が立っていた。


あ、コイツ強いわ。


「君……もしかして劉紋会の人?」


「ああ。ちゃんと心当たりはあるみたいだな」


「そりゃあね。仮にも人様の金に手出してる訳だし?」


「なら止めろよそんな事」


「そうはいかないんだよ」


ハハッと笑いながら男は続けて言う。


「俺達には金が必要なんだよ。“ある人”から頼まれててね」


「……用は雇われの身って事か?」


「少し違うなァ、上司部下の関係ってトコさ」


「あっそ」


「反応薄いなっ!」


だって盗んでるのに変わりは無いし……ねぇ?


「とにかく、そんなワケだからさ、こんな所で捕まってられないんだよ」


「どういうワケかは全く知らんがこのまま放っておくつもりは毛頭無い」


「そうか。なら──」


その瞬間、男はイキナリ階段から飛び下り、俺の頭上へと攻撃を繰り出してきた。


「うおっ」


身体を横へ捻り回避すると同時にコンクリートが砕ける音が聞こえた。うわっ久々に聞いたよこの音。


「君、強そうだからね。手加減は無しだ」


「そりゃどーも……」


相手の手には鈍く光る2メートル程の棒。


「俺は『長突』のシマノ。宜しくね、劉紋会の人」


「カオルだ。覚えとけ」


……自己紹介してたのに相手が再び棒を握り振り下ろしてくる。


「ったく……」


目の前まで来たそれを手で受け流す。棒はそのまま下へといき、俺の隣の床を割る。


「!」


「二度も同じ手が通用すると思ったか?まぁ最初もかわしたんだけどな」


「ヘェ……今のを受け流す、か。ふんふん」


「…………?」


何故かは解らない……でもこの男は、シマノは自分の攻撃を簡単に避けられ、受け流された事を喜んでいる。


何かを狙ってる?少なくともあの棒には仕掛けがあるだろう。


「やっぱり闘いは楽しまないとね。損だよ損」


……前者は無さそうだ。


「闘いを楽しむ?ふざけんな。競技でも無いのに人を傷付ける事の何が楽しい!」


「うーん……自分が強いと実感出来るから、かな?」


「………………」


コイツ、半分戦闘狂みたいな状態だな……仕方ない。


「分かった、来いよ。お前の力の無さを教えてやる」


こういうヤツは一度痛めつけるのが一番だ。











──その頃の高橋家。


「む〜ぅ……こっちだぁ!」


「ぶっぶー残念♪それババだよん♪」


「なんてこったい!」


「それにしてもカオルさん……一体何処行ったのかしら」


「んな心配しなくても大丈夫だってチアりん、どっかのヤクザ倒しに行くんじゃ無いんだし」


「そ、そうだけど……」


「チアキちゃんはカオルさん絡みだと心配性になっちゃうからねー」


「ホントホント、カオル兄の何処が良いのやら」






カオルが実際そうなっているとはこれっぽっちも知らぬまま4人で遊んでいるサクラ達なのであった……。


ハイまーたコメディ要素が薄くなりましたよー♪ もうカオルなんて人間じゃないやーいアッハッハッハッh(ry はいスミマセンも少し自重しますm(__)m

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